リーダーシップについて(10X型リーダー)
今回は「ビジョナリーカンパニー4 - 自分の意志で偉大になる」の内容からリーダーシップ(10X型リーダー)の特長について整理した。
人材マネジメントの6つの構成要素の中で、等級・人事評価に関わる内容である。不確実な時代にあって、 受け身で動くのではなく、自ら創造し、勝ち進む。 こうした 「偉大な企業」 の経営概念・ 手法を、 膨大な調査研究を基に明らかにする。
中でもリーダーに求められる資質・特徴について記載すると共に、どのような経営概念・手法を用いているのかも記載する。
不安的な環境下で、長期にわたって躍進を続ける企業「10X (10倍) 型企業」 がある。 この10X型企業を率いるリーダーには、次のような特徴がある。
・狂信的規律
10X型リーダーは自らの探求に集中し、妥協しない。 並外れた粘り強さを持ち、自ら設けた基準から決して外れない。それは狂信的でもある。
・実証的創造力
10X型リーダーは、不確実性の時代に自らの目標を定める際、 社会通念を無視する。 専門家の提言も気にしない。 注目するのは、専ら実証的データだ。 それを基に大胆で創造的な行動に出る。
・建設的パラノイア
10X型リーダーは、良い時も悪い時も警戒を怠らない。 先行き明るく、 楽観的な状況下にあっても、「いつなんどき逆風に見舞われてもおかしくない」と考え、最悪の事態に備えておこうとする。パラノイア (妄想症) それ自体が10X型リーダーを特別にしているのではない。 パラノイアの結果として効果的な行動を起こすことで10X型リーダーは自らを差別化している。
・レベルファイブ (第5水準) 野心
上記3つの資質に命を吹き込むのが、 やる気の原動力 「レベルファイブ (第5水準) 野心」 である
10X型リーダーは、人を虜にするほど魅力的な野心にある。それがレベルファイブ野心である。自己を超越した大義を果たすのに不可欠な情熱だ。個人的なエゴや利益を超えて、偉大な企業を築いたり、 世界に変革を起こしたりするような大目標を達成しようとする。
また10X型企業が用いる手法には、 次のようなものがある。
①20マイル行進
「毎日20マイル歩く」というように、 長期にわたって一貫性を保ちながら、 工程表に従って着々と進む。
②銃撃に続いて大砲発射
イノベーションを展開する時、 “銃撃” してから“大砲"を撃つ。 すなわち、 低コスト、 低リスクの実証的テストを行った上で、目標に向けて経営資源を集中する。
③死線を避けるリーダーシップ
10X型リーダーは、 突発的な変化が猛スピードで破壊的に訪れるとの前提で行動する。その際欠かせないのが次の3手法。
・「バッファー (緩衝材)」 を用意する
10X型リーダーは、 万が一に備えて、現金など手元資金を積み上げ、バッファーを用意する。総資産の中で手元資金が占める割合を示す現金比率(キャッシュ・アセット レシオ) を見ると、10X型企業は平均よりも3~10倍も高い。
・リスクを抑える
10X型リーダーは保守的で、 リスク回避型の手法で会社を率いている。すなわち、 20マイル行進で成長を抑える」 「大砲発射の前に銃撃に出る」 「バッファーを用意して健全な財務体質を築く」のである。
・ズームアウトに続いてズームイン
10X型リーダーは「二重レンズ」の素質を備えており、 ズームアウトし、 ズームインする。 環境変化に細心の注意を払いつつ、目標を達成する。このようなリーダーの下、 10X 型企業は、 リスクを抑えつつ優れた成果を出している。
●本書で紹介している10X型企業は、次の7社である。
アムジェン、 バイオメット インテル、マイクロソフト、プログレッシブ保険、 サウスウエスト航空、 ストライカー。