今日の佳き日に
朝7時40分。
マンションの階段を駆け降りて家を出る。
駅までのいつもの道を足早に歩く。
カーブを曲がると道の脇のスペースに袴を着た2人の女性の後ろ姿と、正面から写真を撮るお母さんと思われる女性。
今日はどこかの大学の卒業式なのかな、と頭に浮かぶ。
信号待ちをしていると横から別のオレンジ色の袴の女の子が歩いてきた。道路の向こう側で同じように袴を着ている女の子に恥ずかしそうに誇らしそうに何回も手を振っていた。
そう、女の子。小学生。
そうか、近所の小学校の卒業式か。
袴=「大学の」卒業式、が私の脳内の図式だったから後ろ姿で思い込んでいたけど、この辺りでは小学生でも袴を着るんだな。
その後も制服姿、ジャケット姿、思い思いの洋服に身を包んだ女の子たちとすれ違った。
みんな笑顔でるんるん楽しそう。
やっと駅に着いて電車に乗る。
週末にライブに行くことを思い出して、曲を聴こうと思って久しぶりにアーティスト名で検索すると新曲がズラリ。
その中に懐かしいカタカナ「コイスルオトメ」
もしかして...??と思いながら再生するといきものがかりの曲のカバーだった。
13歳時の私が狂ったように聞いていた大好きな曲を、26歳の私が大好きなアーティストがカバーしている。
電車の窓に映る自分の顔が何とも言えぬ嬉しさでにやける。
職場の最寄駅に着く。
バスに乗り換える時に、昨日洗って少し白さを取り戻したスエード生地のパンプスが目に入る。
職場までバスで5分の道中で、もう一度確かめるように曲を聴いた。
朝8時40分。
職場に到着。
この幸せな1時間に。
今日の佳き日に。