瞬発力を発揮できたらいいですね
2023/08/26(土)
ひさびさにカメラを持って散歩した。
今日も30℃超えで、できればもう少し暑さが落ち着いた日にやりたかったんだけど、思い立ったのでパッと実行した。原稿もこのくらいの瞬発力を発揮できたらいいですね。はい。僕もそう思います。
小説の舞台にする予定の街を散策したかったのだ。
私は美しい風景描写をたっぷりと重ねていくタイプではないんだけど、それでも実際に主人公の目線になって歩いてみると、文章に書きやすくなる。簡潔な文章でも知っていて書くと、言葉の外ににじみでるものはあると思う。単純に、距離感覚ってストリートビューで見るだけではつかみにくかったりするしね。いつか発表して読んでもらうときがきたら今日の日記を思い出してください。
小一時間ほど歩いたら、全身が汗だくになり、服の色が前も後ろも完全に変わってしまった。もしこのあと人と会う約束があればタクシーで帰ってシャワーを浴びて着替えて出直すレベル。恥ずかしい。でも生き物だから仕方がないと開き直って、秋永服ビチャさんはふだんなかなか来ない本屋に立ち寄って文芸誌を買ったり、外の席でビールを飲んだりしました。
夕方から夜にかけて短い小説を書いて、ネットに載せた。よかったら読んでみてください。
ツイ友の人が主催する小説コンテストに参加しようと2、3日前に思い立ったのでこれもパッと実行した。小説の気分転換に小説を書く……なんて言うとちょっとかっこいい感じだけど、それはたくさん本を出している人の場合であって、依頼されている原稿もこのくらいの瞬発力を発揮できたらいいですね。はい。僕もそう思います。
2023/08/27(日)
終日、淡々と用事を片づける。
気温は少し下がったはずだが、洪水警報が出るほどの大雨のせいで、とても蒸し蒸しする。
空いた時間に、昨日買った文芸誌の短篇をいくつか読む。
それぞれの作家の個性が発揮されつつ、どこか似通った雰囲気がある。注目される書き手たちが、いま書くべき文学的なテーマをつかまえ、商業的な価値も鑑みて何かフックのある物語を書くと、こういうふうになる……という「流れ」みたいなものを感じる。
私が書きたいもの/書けるものに、いま商業的な価値はどのくらいあるだろうか。そういう「流れ」に合致するだろうか。あるいは、合致しないことが個性となるだろうか。
2023/08/28(月)
羽海野チカ『3月のライオン』の最新巻が出ていたので、買って読む。
あいかわらず面白い。
日記を読んでくれている人にも愛読者は多いと思いますが、では、このマンガの何が人気なのだろう。
数年前に実写映画になったが、これが賛否両論だった。
私は賛のほう。シリアスなストーリーを、実写ならではの生身の俳優の迫力で見事に描いていたと思う。
とくに香子が……有村架純が演じる香子がとてもよかった……。マンガでは序盤のキーパーソンだった、零ちゃんに複雑な憎悪と羨望を持ち、零ちゃんも忌避しつつ惹かれてしまっている年上の女性。
青年誌連載ということで、ウミノ先生なりにエロティックな要素を入れようとなさったのだと思う。たぶん。しかし作者も、多くの読者も、あまり望まないキャラだったのかな……物語が進むと、しだいにフェイドアウトしていった人物だった。
そこが映画で補完されていた。香子ってこういう人だったのかと、映画を観て始めてわかった気がした。脚本もいいのだろうけど、有村架純さんがすごい俳優なのだと思った。
でも「映画はマンガと全然ちがう」という人も少なくない。言いたいことはわからなくもない。ウミノ先生の絵だからこそ表現できるかわいい部分や破壊的なギャグは、実写ではあまり採用しなかった。無理に再現しようとしなかった。それはクレバーな判断だと思うんだけどな……。
このマンガの人気を支えているのは、実は棋士たちのストーリーではないのではないか、ということはずっと考えている。