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探さないとみつからない
2023/07/03
月曜の朝からビールを飲みながら、録画しておいた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』最終回を観る。
最後まで面白かった。
若者たちの変化や成長、大人との対立と和解をつぶさに描いて観ごたえがある物語で、彼らの世代がきっとこれから社会を変えていくだろう……という現実味のあるラストは希望が持てて納得できるものだった。
性別とか性役割はあまり関係なく、ただスレッタとミオリネという人がお互いの欲する形で強い絆を結んでいくようすを見せたことは、ちゃんと世の中に響いたと思う。
(なので実は、水星の魔女は狭義の『百合』じゃないんじゃないかと思っている。ちなみにリコリス・リコイルは『百合』です。私の中で。リコリコの話もいずれ日記でしたい)
ただ、序盤の雰囲気から「女子が共闘して男性社会を変革するという本格派のジェンダーSFをガンダムというメジャー作品でやってくれるのか」とときめいた人が、中盤以降、そのあたりは思ったほど叶えられなくて不満の声を上げるのはよくわかる。私もそうなるのかと思った。いま「魔女」という題名にはそういう期待がかかる。
いまどきこんなわかりやすい“踏み台”みたいな悪役が……というグエルがあそこまで人間の器が大きい魅力的な男に育っていくなんて、寮を追い出されてソロキャンプしているあたりで想像できた人はいたでしょうか。いたらすごいな。
「◯◯みたいな作品がない」みたいな意見が出ると、回答はほぼ100%「探せばある」であり、そこで話が終わってしまう。何かを訴えたいときにあまりいい前フリではないと思っている。
でも、そういう人が本当に言おうとしている「◯◯みたいなことを、探さなくてもみつかるようなメジャー作品でやってほしい。そうできる世の中になってほしい」という切実な感情は、笑われるべきではない……なんてことを、最近はよく考える。
その一方で「探せばある」ので、ぜひそれをみつけて、観て/読んで「こんな作品がある」と薦めてほしいとも思うんです。
探さないとみつからないほうの作家としては。
*
土日は慌ただしく過ぎていき、今ごろ「7月になったな……」という実感をゆっくりと得ている。
窓を開けて、夕方の涼しい風を部屋に招き入れる。
卓上カレンダー(文芸誌に載った私の小説の挿絵を描いてくれた与さんのグッズです)を7月に替え、手帳をひらいて、今月および今年下半期の予定をあらためて確認して「グエーッ」と声が出る。
私も私なりに忙しい。
けど、みんなそれ以上に忙しい。体調が万全でない人も多い。
現代社会でひとりの人間に求められる仕事量は基本的に人間という種族のキャパを超えているんじゃないか。
ブルーレイレコーダーの録画の容量がいっぱいになってしまったので、何話も撮り溜めたままのテレビドラマなどを外付けのハードディスクに移し替える。古い型なのでえらい時間がかかる。
これ、いつか観るのかな。
いま観られないということは、基本的に今後も観られないわけです。いきなり劇的に暇になる予定はないので。
観たかった映画も上映が終わってしまった。
いろいろなものが私の横をひゅんひゅん通り過ぎていく。