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怪盗レッド日常ショート クリスマス1

※以下のショートストーリーは、秋木真が個人で書いた非公式になります。

 花里家のお屋敷。琴音の部屋。
 コンコン。
琴音「はい?」
 琴音はドアを開ける。
家政婦「お嬢様、お届け物が届いたのですが……」
琴音「だれから?」
家政婦「それが差出人がなく、今確認を行っているところです」
琴音「広間よね。わたしも行くわ」
家政婦「ですが、危険が……」
琴音「爆発物や毒物のチェックはすませたのでしょう。なら、近くにいるぐらいなら問題ないはずよ」
家政婦「わかりました」
 琴音と家政婦は広間に移動する。
 すると、そこには執事やセキュリティスタッフが、箱を囲んでいる。
 その中に、響の姿もある。
琴音「響君!? きてたの?」
響「琴音さん。お邪魔しています。家にいたら不審物が届いたとの知らせを受けまして」
琴音「もう……響君に迷惑かけたらダメでしょう」
 琴音は、スタッフを注意する。
響「迷惑ではないですよ。それに、スタッフの方たちも、危険かどうか心配しただけでしょう。それよりこちらの届いた物ですが、危険物検査はクリアしているので危険性は低いです。ただ通常の配送方法では届いておらず、いつの間にか玄関前に置かれていた、という話です」
琴音「それって玄関より前にある、セキュリティゲートはどうしたの?」
響「突破したんでしょうね。なんらかの方法で。ぼくとしては危険性はないと思います。ただ万が一ということもあるので、この場で開封させてもらってもいいですか?」
琴音「もちろんよ」
響「失礼します」
 琴音は部屋の端まで下がり、スタッフがガードする形で、響が箱を開封する。
響「本?」
 響は箱の中身を確認して、けげんな顔になる。
 取り出されたのは、子供向けの怖い本だった。
 響は本n危険がないことを確認する。
響「琴音さん、変わった贈り物ですが送り主に覚えは……琴音さん?」
 琴音は本を見て、口元をおさえて、驚いた顔をしている。
琴音「うそ……」
響「この本がどうかしたんですか?」
琴音「わたしが、昔持っていた本よ……。よく弟に読み聞かせてたお気に入りで……」
 その言葉に、部屋にいる花里家のスタッフたちが、顔を曇らせる。
 当然、だれもが花里琴音の弟が幼い時に行方不明なままなことを知っていた。
響「そうですか。なら、これは安全ですね」
 響は本を琴音に渡す。
琴音「この本はだれが……」
響「わかりません。その謎は送り主がいずれ解いてくれるはずです。時間はかかるかもしれませんが」
琴音「そう……」
 琴音は本をギュッと抱きしめる。
琴音「……こんなにうれしいクリスマスプレゼントはないわ」
 琴音はそう言って、一筋の涙をこぼした。END

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