ワクチン接種
いきなりですが、私はこどもの予防接種を積極的にすすめています。NICUで長いこと仕事をしてきて、400gで出生したり、重篤な疾患を産まれてきたお子さんが、NICUを退院して、「さあ、これから」というときに、予防できる感染症にかかってしまって、重篤な後遺症を残してしまったり亡くなってしまった、という経験があります。ワクチン接種できない状況でも、そのような感染症の危険性を減らすためには、社会全体で可能なものは感染症をコントロールするしかない、と考えているからです。
外来に来られる方は「接種する」ことを前提ですが、乳児健診などでは、まれに予防接種について聞かれることがあります。
「〇〇ワクチンはした方がいいんですか?」「同時接種ってどうなんですか?」などなど・・
健診の場では1人にかけられる時間に制限があるので、簡単にしか説明できませんが、自分の外来で初めて接種をする前には、おおまかではありますが、副反応、効果についてお話をさせていただいています。
私が小児科医になった20年以上前から、日本はワクチン後進国だといわれていました。欧米では、小学校入学にワクチン接種歴が確認されている国もある中、日本では定期接種(公費負担)の種類も少なく、最終的には両親など養育者の決定にゆだねられていました。
ワクチン接種についていろんな意見があることは承知しています。もちろん、健康体に薬品を投与するわけですし、100%安全が保障されているわけでもありません。宗教も含め、ご家族それぞれの事情があることもわかっていますし、そのようなご家族にもたくさんお会いしました。
決して強制的に接種すればいいと思っているわけではなく、現在のコロナワクチン接種でもいわれているように、「接種しない権利」もあると思っています。
ただ全般的にいえるのは、ワクチン接種、予防接種についての情報提供が少ない、ということです。特に、乳幼児の予防接種は、本人の希望を確認するわけにもいかず、養育者が決めるのです。接種すること、しないこと、どちらもその子どもの将来に影響することかもしれないのに、外来でもはっきりと口にはされないけれど、「なんとなく」接種した方がいいよね、「なんとなく」怖いよね、という雰囲気が感じられます。
それはひとえに医療従事者がするべき「予防接種についてのお話」をきちんとできていないから、ということだと思います。そのお話は、あくまで中立的なものでないといけないと思います。
両極端な意見は今ではSNSも含め、いろんなところで配信されていますから、それを目にすることがあるでしょう。悩んで迷ったときに、近くに相談者がいない場合は、身近なところでインターネットで情報を得ることが多いと思います。
予防接種のみではなく、育児における様々なところで、「インターネットで調べてみたんですけど・・・」と言われることがあります。それが悪いわけではないのですが、正しい情報もあるのと同時に誤った情報も、たくさん混在しているので、不安で冷静ではないときほど、インターネットではない情報収集が必要だと思います。
今まで20年近く、外来で予防接種を行っているのに、予防接種について多くの人にお話しをする機会があったかというと、お恥ずかしい限り20回いやそれより少ないかもしれません。(外来で個別にお話しするのは除きますが)
今の予防接種は、市町村から接種のお知らせがきて、問診票に大まかな説明文書がついていて、それを読んで、署名して、接種する、という流れです。
定期接種のワクチンは、それぞれ何のためのワクチンなのか、とか、副反応はどんなのがあるのか、ということを知ってもらうことが大事ですし、任意接種についても、それがどのようなワクチンで、接種することによるメリットデメリットを知ったうえで判断してもらいたいと思っています。
今のコロナワクチンについても情報が少ないことが、接種することに対する不安につながっているのは事実です。そしてあくまでも正しい中立的な情報を提供できていない、それが乳幼児の定期接種も含め、一番の問題ではないでしょうか。
育児、というところからは少し離れるかもしれませんが、自分の勉強もかねて、それぞれのワクチンについて書いてみようと思います。
詳しいことは、教科書を見てもらったらいいと思うので、あくまでもわかりやすく、簡単に。
最終的には、多くの人に伝えることにつながるように、と考えています。
「育児」をテーマにしているので、コロナワクチンについては少し後回しにします(実際コロナワクチンはわからないことも多いので、自信がない、ということもありますが)
まずはヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、というところからはじめる予定です。
ではまた。
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