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男子のHPVワクチン定期接種化がいつになるか分からない件

2024/5/22 厚生労働省のワクチン基本方針部会で、HPVワクチンについての議論が行われました。(議事録は7/3にupされました)

資料

議事録

この会議では、1.キャッチアップ接種について 2.男子のワクチン接種について の2点が議論されました。

前回のワクチン小委員会から引き継いだ男子のHPVワクチン接種の論点について、小委員会で委員長だった鈴木委員から4つに分けて整理がありました。

○鈴木委員
1つ目は、今年1月時点でWHO加盟国194か国のうち137か国で国の予防接種プログラムに導入されており、59か国で性別を問わず男性も接種対象になっている。日本も男女問わず接種するというジェンダーニュートラルワクチネーションという考え方を取るべきであるという意見。
2つ目、海外諸国では2回接種で実施されており、また、2022年に出されたWHOポジションペーパーに基づき、1回接種のプログラムが導入されている国が、英国、オーストラリアをはじめ38か国ある。このように、日本も3回接種ではなく2回接種、さらには1回接種について検討すべきではないかという意見。
3つ目は、男性での陰茎がん、中咽頭周辺がん、肛門がんを合わせると、年間約5,000人の新規患者が発生し、そのうちHPVが関連しているものが半数以上を占める。基本計画の原則に沿って、ワクチンで予防可能なものは予防するという考えを取るべきではないかという意見。
そして、4つ目は、男性にも接種機会を同等に確保することで、女性の接種率の改善にもつながるのではないかという意見。
これらの意見、本質的に重要なものですけれども、薬事承認の範囲内で有効性、安全性、費用対効果を検討するという現在の小委員会の前提に関わるものでありますことから、適切な議論の進め方について事務局で検討していただきたいとして、委員会の議論をひとまず取りまとめた次第です。

しかし、結論は費用対効果に課題があるとして、小委員会にて議論を継続ということになりました。
いわば、議論を差し戻したとも言える状況だと思います。

○脇田部会長
ワクチンの有効性、安全性については一定程度確認をされているけれども、費用対効果の結果は課題がある状況であるということで、薬事承認の状況も見ていく必要があるところであります。
引き続き科学的知見に基づいて議論を行っていく必要があるので、特にワクチンの薬事の状況については事務局において引き続き注視していただくとともに、小委員会でまた議論を継続していただく形で進めさせていただければと思いますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
それでは、そういった形で議論を進めていただいて、時期を見て基本方針部会でもまた議論をさせていただければと思います。

「59か国で性別を問わず男性も接種対象になっている」状況で、先進国であるはずの日本が、男子のHPVワクチン接種の定期接種化を足踏みしていいと思えません。

費用対効果に不確実性があるとして課題を残しつつも、定期接種を行いながら同時並行的に知見を集め、評価していくような考え方が必要ではないかと感じた次第です。

キャッチアップ接種については、今年度(2025年3月末)で終了なので、夏休みに接種率を高められるかが最後の勝負です。

以上

るんるーん♪