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HPVワクチン?子宮頸がんワクチン?子宮頸がん予防ワクチン?どの名称が適切か
ヒトパピローマウイルス(HPV)の特定の型から感染を予防するワクチンとして、サーバリックス(2価)、ガーダシル(4価)、ガーダシル9*(9価)の3種類があります。これらのことを通常「HPVワクチン」と呼びますが、厚労省などの公的なサイトでも他の名称が使われることがあります。
*注:9価ワクチンの名称は薬事承認の際に「シルガード9」になりました
厚生労働省/子宮頸がん予防ワクチンQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html
2022年1月22日追記
厚労省のHPが更新され、「子宮頸がん予防ワクチン」の表記をしたページは閉鎖となり、新しいページからは「HPVワクチン」に修正されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_qa.html
旧名称が使われたページのアーカイブはこちら
追記終わり
こちらは「HPVワクチン」の名称を使用。
厚生労働省/ヒトパピローマウイルス感染症(HPVワクチン)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html
個人的には「ヒトパピローマウイルスワクチン」や「HPVワクチン」の名称が正しいと考えています。
【HPVによる感染症は、子宮頸がんに限らない】
厚生労働省/ヒトパピローマウイルス感染症とは
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/hpv/index.html
子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっていることが分かってきました。
「子宮頸がん予防ワクチン」等の名称を使用することにより、これ以外の病気を予防する効果がないと勘違いされないか懸念されます。
【HPVの感染を防ぐワクチンである】
HPVワクチンを接種すると、対応したHPVの型に対応した抗体が作られます。そのため、HPV感染前にワクチン接種をすることで効果を発揮します。HPVに感染した状態でワクチン接種をしても、感染している型については効果がないとされています。(余談ですが、経験済みでもHPVに感染しているとは限らないので、ワクチン接種をする意味はあります)
また、HPVワクチンは、がんそのものを治療するものでなく、がんなどの病気の原因となるHPV感染を防ぐためのものです。
子宮頸がんとHPVには密接な関係があるものの、ワクチンの原理からして「子宮頸がんワクチン」よりも「HPVワクチン」のほうが相応しいのではないでしょうか。
参考
https://www.minesot.com/2018/12/hpvv-1.html
【HPVワクチンは男性にも有用である】
海外情報を翻訳したこちらのサイトが分かりやすいので、少し長いですが引用します。
海外がん医療情報リファレンス/ヒトパピローマウイルス(HPV)とがん
https://www.cancerit.jp/1035.html
HPV関連がんは以下の通りです。
・子宮頸がん:ほぼ全ての子宮頸がんはHPVにより引き起こされます。定期検診により、医療従事者ががん化する前の前がん細胞を発見し、切除できることで、多くの子宮頸がんを予防できます。結果的に、米国における子宮頸がん罹患率は低下しています。詳細は子宮頸がんに関する傾向と統計を参照してください。
・中咽頭がん:米国における多くの中咽頭がん(70%)はHPVにより引き起こされます。その新規症例数は毎年増加しており、かつ、中咽頭がんは現在、米国において最も頻度が高いHPV関連がんです。詳細は口腔がんと咽頭がんの診断と生存率における傾向を参照してください。
・肛門がん:肛門がんの90%超はHPVにより引き起こされます。肛門がんによる新規症例数と死亡数は毎年増加しています。詳細は肛門がんに関する統計を参照してください。
・陰茎がん:ほとんどの陰茎がん(60%超)はHPVにより引き起こされます。詳細は希少がんである陰茎がんに対する推奨治療 を受ける重要性を参照してください。
・膣がん:ほとんどの膣がん(75%)はHPVにより引き起こされます。詳細は希少がんである膣がんの症状と治療 を参照してください。
・外陰がん:ほとんどの外陰がん(70%)はHPVにより引き起こされます。詳細は希少がんである外陰がんの新規症例数と死亡率を参照してください。
米国では、高リスク型HPVは女性で全てのがんの3%を、男性で全てのがんの2%を引き起こします。毎年、HPVが頻繁に見つかる身体の部位でがんの新規症例が約44,000例発生し、HPVが約34,000例のがんを引き起こすと推定されることが米国疾病管理予防センター(CDC)による最新統計からわかりました。
HPV感染で陰茎がんにもなりうることから、男性にも関係することが分かります。
はい、16・18型が多いですね👶#マシュマロを投げ合おうhttps://t.co/to0iMVNKq8 pic.twitter.com/BS9wexvW4d
— 峰 宗太郎 (@minesoh) March 25, 2020
全ての種類のHPVワクチンで16・18型には対応しているので、男性側自身にもワクチンの恩恵が受けられます。
実際、アメリカなど海外では性別に関係なく予防接種が行われています。
横浜市/アメリカ合衆国のこどもの定期予防接種について
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/shikkan/kakkoku/usaimmunization1.html
*: HPVワクチンについて、アメリカ合衆国では男女とも対象。
男性に子宮は付いていないので、「子宮頸がんワクチン」の名称だと、男性に無関係と思われてしまうおそれがあると思います。
【なぜ「子宮頸がんワクチン」等と表記される場合があるのか】
正直、よく分かりませんが、HPV感染で最も深刻な健康リスクがある病気が子宮頸がんであり、HPVと子宮頸がんの関係が密接だからだろうと推察します。
また、病気の名前を冠したほうが、ワクチン接種の目的が分かりやすいから、という理由が考えられるかもしれません。
余談ですが、「子宮頸がんそのものを予防する効果は証明されていない!だから子宮頸がんワクチンは不要!」などと訴える輩が存在しますが、この手のクソデマロジックに引っかからないように注意が必要です。
おまけ:AIゆういちろうによる回答
AIゆういちろうに「子宮頸がんワクチン」と「HPVワクチン」、どちらが適切な名称ですか?」と投げたところ、以下の回答が返ってきた。
「子宮頸がんワクチン」と「HPVワクチン」のどちらが適切な名称かについてですが、どちらも正しい名称です。ただし、使用する場面や目的によって適切な名称が異なることがあります。
1.子宮頸がんワクチン
この名称は、ワクチンが特に子宮頸がんの予防に効果があることを強調しています。一般の方々に対して、ワクチンの目的をわかりやすく伝えるために使われることが多いです。
2.HPVワクチン
この名称は、ワクチンがヒトパピローマウイルス(HPV)に対するものであることを示しています。HPVは子宮頸がんだけでなく、他のがんや疾患の原因にもなるため、より広範な予防効果を持つことを強調する際に使われます。
医療専門家や公的機関では「HPVワクチン」という名称が一般的に使用されることが多いですが、一般の方々に対しては「子宮頸がんワクチン」という名称も広く使われています。どちらの名称も正しいので、状況に応じて使い分けると良いでしょう。
参考
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
以上
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