今この瞬間を生きる。

ワタシはここ数年で大切な人をふたり亡くした。

1人は可愛がってくれた先輩。
1人はSNSで繋がったお友達。

2人の死はホント突然で。
ある日いきなり手に持っていたものを、
知らない人から取り上げられた気分。

いきなり、もうここにはいません。
いきなり、さよならをしてください。
なんて。
そんなに人間器用じゃない。
なんですか、それ。

今日は1人の先輩の話をします。

毎年誕生日にはお祝いをしてくれた先輩。
ちょうど、9.10.11月と仲良しメンバーで誕生日が重なるから一緒に合同誕生日会をしていた。
先輩はおしゃれで可愛くて、ワタシの憧れだった。
可愛いお店をたくさん知っていて、
いつもそういう時は先頭に立って企画してくれた。

でも、その年は何故か誕生日カードが届いただけだった。
あなたの未来が光り輝くものであるように。
あなたの素直でまっすぐなところが好き。
あなたの笑顔がほんとに大好きだから、
ずっとずっと私の大好きなあなたでいてください。

その時はこの先の未来に起こることなんてもちろんわかるわけもない。
どんな気持ちでこのカードを送ったか、
私には考えることすらできなかった。

カードありがとうございます。
そのメールの返信はなかった。
きっと忙しいんだろうなってそう思ってた。
今年は誕生日会はなしかな?
そう誰もが思っていた。

その数ヶ月後、
先輩の旦那様から電話があり、
病と闘っていたこと、
内緒にするように言われていたことを知った。

はじめは悲しみより悔しさが先に来て、
なんで言ってくれなかったんだろう。
言ってくれたら残りの時間、色々できたことあったのにと思った。悔しかった。でも、悔しさの次にすぐ悲しみが襲ってきて、
引き出しの中にしまってあったバースデーカードの意味を知り、大声で泣いた。

悲しみは深く、何も手につかなかったけど、
まだ小さかった息子がいたワタシは、
この子を育てていかなくてはいけなくて、
日々忙しく生きるしかなく。
悲しみに浸る時間なんてほんとなくて。
それが救いでもあったのかも。
忙しく今を生きることで、前を向いて生きていけたんだ。

いつだって、突然にやってくる。
悲しみも苦しみも。
残されたほうは、
どうやって生きればいい?
忘れたくない。
でも、忘れなきゃ進めない。
そんな葛藤のなか、日々は過ぎていく。

人は全てを覚えていられないから、
気づくと少しずつ記憶から消えていった。
消えていった…ではなく、閉まっておいたが正しいのかな。
でも、ワタシが彼女と過ごした時間は、
たしかに存在していて、
ワタシが今まで生きてきた人生のほんの一部分に今も生きている。

普段は思い出さなくとも、
ふとした瞬間に、
あ。こんなこと前にもあったよなとか、
あ。これ、好きだったよね、とか。
ちゃんと覚えてる。
その時に流れていた曲だったり、
その時の天気だったり、
覚えてるものなんだな。

前置きが長過ぎたけど、セカコイを読んで、
いきなり思い出した。
去っていくものの思い。
残されたものの思い。
そして、今ならわかる。
先輩は自分がいなくなった時の世界を予測できたから、ワタシにあの手紙を残したんだ。
そうだよね、きっと。

人生って何があるかわからない。
ある日突然の出会いもあれば別れもある。
ほんとわからないんだ。
だから、ワタシが生きてる限りは、会いたい時に会いたい人に会いにいきたいし、
全力で気持ちを伝えていこうと思う。

透くんが望んだ世界。
そこで生きていくのは、少し酷な気もするけど。
でも、2人が生きた時間は永遠に変わらないんだよね。
記憶のパズルをひとつずつ集めながら、
幸せに生きてほしいな
って心から願った。

ワタシも、今この瞬間の気持ちを大切に生きたい。
そして、自分が生きてきた時間をできる限り覚えていたい。
 




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