メンバーのライフミッション作成に伴走した話
昨年、メンバーのライフミッション(人生でやりたいこと)が誕生する瞬間に立ち会った。
メンバーのライフミッション作成に伴走するのは初めての経験だった。仕事の関係から離れて、人生の話を聞かせてもらえるのは非常にありがたいと思うし、私もエンパワーされる濃い時間だった。
チームで働いていると、メンバーがこんな悩みを共有してくれることがある。
実際、私も抱えてきた悩みだ。このままでいいのだろうかと不安に駆られては、公務員試験を受けたり、事業側からコーポレートにキャリアチェンジしたり、そして、本当にキャリアに行き詰まったり。盛大に右往左往してきた。
「人生でやりたいことが分からない」ことが、ずっとコンプレックスだった。
ろくに自分と向き合ってこなかった人が、いざ自分のライフミッションをつくろう!と意気込んでみても、これまで見て来なかったことを見ようとする作業は難しい。
私の場合、コーチに伴走してもらってようやくライフミッションをつくることができた。そして、そのプロセスを経て、自分のミッションは、自分の中にちゃんとあったことを実感した。
そんな経験から、メンバーのライフミッションに伴走した手順を残しておきたい。
1. メンバーの意思を確認する(1on1)
いまいち自分と向き合おうと思っていない人、そこまでライフミッションを言語化する必要がない人と思っている人に、無理に作ってもらうことはない。
私自身、「人生でやりたいことが分からない」ことがコンプレックスだったわけだが、そう言い続けること10年以上。キャリアに盛大に行き詰まってようやく自分と向き合う覚悟が決まった。
いま振り返れば、やりたいことが分からないのではなく、表現するのをサボっていただけだった。
メンバーとは、「いまライフミッションを作るときなのか」「それなりに時間がかかり、ときに痛みが伴うけれど、やったほうがいいのか」をあらかじめ合意した。
その上で、2つ事前準備をお願いした。
2. ジャーナリングで素材を溜める(メンバー)
1つは、ジャーナリングだ。ジャーナリングは、自分の感情を起点に湧き上がってきたことを毎日書き残す活動のことだ。
私は、毎日10分ほど時間をとって、ノート1ページ分書いている。テーマは決めず、形式フリー。
余談だが、私は自己分析が苦手だ。就活のときも苦戦した。本に示されている膨大な問いに答えようとペンを握るものの、いまいち、いつも表層で終わってしまう。
コーチングを受けて分かったのだが、表層で終わるには理由があって、やっぱり自分と向き合う作業は痛みを伴う。妙にフタを開けようとすると、言語化したことがない自分が眠っている気配がすることがある。暗闇のようだし、触り方も分からない。そっとフタを閉じる。
こうして表層で思考がストップする。
ジャーナリングで日々書き溜めた内容が、ライフミッションをつくる素材となるのだ。
結構おすすめだ。
※ジャーナリングの詳細は以下の記事を参考にされてください。
3. 5つの言葉でドラフトを作成する(メンバー)
2つ目は、ライフミッションのドラフト作成だ。手順は以下のとおり。
これは、私のコーチである垂水さんに教わった手法を少しアレンジしたものなのだが、無理にでも一文をつくるところが気に入っている。
仕事も同じだが、多少違和感があったとしても、ドラフトがあってこそ前に進むものだ。「自分のやりたいことが分からない」と言っていた私は、ドラフトがずっとないままだった。
ver0.1でいいから、仮置きする。
4. ドラフトをしっくりさせる(1on1)
メンバーには、だいたい1ヶ月くらいかけてジャーナリングとライフミッションのドラフト作成に取り組んでもらった。その後、1on1の時間を持った。
1~2は、コーチング的に傾聴に努めた。3点目は、ホワイトボードを使いながら、私もブレストに参加しながら、ライフミッションのドラフトをよりしっくるくる表現へとアップデートした。
これで、ライフミッションver1.0の完成だ。
メンバーには、今後もさまざまな経験をして、それを通して感じたことを書き溜めて、ふと立ち止まってはライフミッションを磨いていってほしい。
さて、私は、少人数のベンチャーな環境で一緒に働くことは、それ自体が奇跡のようなことだと思っている。
どのようなキャリアの築き方があるか、定型的な先例もないから誰も解を教えてくれない。「この会社にどんなキャリアがあるか見えません」「何をしたら給与が上がるか分かりません」と会社に求めたいときもあったけれど、ないものはない。
逆に言えば、自分のライフミッションを表現し、周りに伝えることで、仕事との新たな重なりが生まれ、自分らしいキャリアが拓かれていく。そんな余白がある環境と言えるのではないかと思う。ないなら作ればいい。
せっかくベンチャーで働くという選択をしてくれたのだから、仕事はもちろん、メンバーの人生丸ごと応援者でありたいと思う。
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