【映画感想】『市子』幸せとは何か、人はどれだけ自分の過去から逃れられるのか
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家事の合間にシネマ☆スターライト
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こんにちは。
映画大好き主婦のあきこ☆すたーらいとです。
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今回は2023年話題作『市子』の感想をお届けします。
家事や子育て、パートで毎日忙しい中でも、映画って心を潤してくれる大切な時間なんですよね。そんなわたしが、家事の合間にスマホで観た映画『市子』。これがもう、すごい映画だったんです!
映画館で公開されたときから予告を見て気になっていた映画でした!市子演じる杉咲花さんの目力がすごくて、彼女の表情から目が離せなかったです。これは絶対良い映画だ!と確信していました。
市子の物語を通して、深いテーマが次々と浮かび上がります。今日は、その中から 3つのポイント に絞ってお話しします。
初めに、衝撃のストーリー展開、次に市子を取り巻く複雑な人間関係、そして最後に市子の求めた普通の幸せについてです。
ポイント1:衝撃のストーリー展開
まず、この映画の何がすごいって、とにかく ストーリー展開が衝撃的 なんです。
物語は、市子が恋人の長谷川からプロポーズされた翌日、突然失踪するところから始まります。
長谷川と市子は3年間2人で幸せに暮らしてきました。でも2人はお互いの過去を話してはこなかったんですね。そこで、長谷川は市子を探すために市子の過去をたどっていくんです。
過去をたどるうちに、市子は無戸籍で生まれたこと、難病を抱えた妹の月子の身代わりとして生きてきたこと、その妹の介護負担が市子にのしかかり月子の人工呼吸器を止めて殺めたこと、さらには義理の父親をも殺してしまったことまで明らかになっていきます。
市子の戸籍が無い理由は、母親がDV夫と離婚をしてまもなく新しいパートナーの子どもを妊娠したので、「離婚後300日問題」で出生届が出せなかったんですね。それで母親は病弱な妹・月子の戸籍を市子に使わせたんです。
次々と明かにされる市子の過去に「これ本当に一人の人生?」って驚きの連続でした。妹としての人生を背負わされ、義理の父の虐待から逃げられず、社会から逃げるために嘘を重ねるしかなかった市子・・・。一人の人が抱えるには重く壮絶な境遇です。
ポイント2:市子を取り巻く複雑な人間関係
次に、映画全体を通して感じたのは、市子を取り巻く 人間関係の複雑さ です。
市子は小さい頃から周りの人に翻弄され続けてきました。母親の決断で無戸籍になり、妹・月子として生きることを強いられた市子。
そのため、常識も非常識も分からない市子から離れていく友だちたち。刹那に体の付き合いだけでしかないような最初の恋人。
さらに、義理の父からは性的虐待を受け、それを目撃してしまった同級生の北。北とは、義理の父を殺した後に遺体を処理するという「罪の共有」も抱えてしまいます。
長谷川との愛ある穏やかな生活があった一方で、市子がこうした暗い過去や複雑な人間関係を長谷川にも誰にも明かせず抱え込んでいたと思うと、本当に胸が苦しくなります。
長谷川は唯一、市子と心から想い合える関係だったと思います。
長谷川は市子を探す中で市子の母親を見つけ出します。そして母親から壮絶な過去の真実を聞いて長谷川は泣くんですね。
母親は「もう放っておいてくれ」と言いますが、長谷川は「市子を助けたい」と声を荒げます。
長谷川は罪を重ねた市子を警察に突き出すとかじゃなくて、ただ市子を抱きしめたいんです。戸籍の無い市子を自分が守ってあげたいと思っていました。
普段穏やかに話す彼が声を荒げた場面では、彼の市子を強く想う気持ちにわたしも震えて涙が出ました。
無国籍ゆえに、本当に愛してくれる恋人とも結婚できない市子を思うとやるせない気持ちになります。
ポイント3:市子の求めた普通の幸せ
最後に注目したいのが、 市子が求め続けた普通の幸せ です。
どんなに過去が複雑でも、市子は幸せを求め続けます。
パティシエになって友だちとお店を持つという「夢」を話す場面もありました。
長谷川との幸せな暮らしや、家族4人で過ごした楽しかった頃の写真を大切にしている姿から、「普通の生活」への憧れが感じられます。
ただ、そんな幸せを求めつつも、市子はいつも過酷な選びを強いられてきました。
ラストシーンで市子は海を背にして黒いワンピースと黒いサンダル姿で一人歩いて行くんです。市子のさらなる罪を隠すように蝉の鳴き声が響きます。
市子は晴れやかな表情で鼻歌を歌います。その鼻歌は「虹」(新沢としひこ)という歌です。
「虹」の鼻歌はラストシーン意外にも劇中で2箇所出てきます。冒頭の部分と、市子が妹を殺めたあとに、母親が「市子、ありがとうな」と言って台所で歌っていた鼻歌も「虹」でした。
「虹」はわたしも大好きな歌です。ピアノやウクレレで弾き語りもします。
「虹」の歌詞にはこんな言葉があります。
殺人を犯したあとに「きっと あしたは いいてんき」と歌う母親や市子はもう正常な考え方はできないのかもしれないと感じ怖くなりました。
わたしは「きっと あしたは いいてんき」という歌詞には希望を感じるし、明日もがんばろうって励まされます。
でもわたしの思う「虹」と市子が思う「虹」は全く異なるんだろうな。
市子の鼻歌は取り返しのつかないことをしてしまった現実から逃げるように、罪を正当化しているようにも感じました。そして普通の幸せを得たいのに得ることができない悲しさも伝わってきました。
まとめ
『市子』は、一人の女性の人生を通して、 幸せとは何か、人はどれだけ自分の過去から逃れられるのか を問いかけてくる映画でした。
市子はたくさんの人を殺した殺人犯だけど、それは生きるために仕方のなかったことなんじゃないかとさえ思えてきました。
一つ一つの選びにたいして、どうしたらよかったとか回避する方法はなかったのかとかいろいろ思ってしまうけど、あの選択しかなかったように思えます。それくらい市子の境遇は壮絶なものだったんですね。
元をたどれば出生届を出さなかった母親が悪いんじゃないかとか、いろいろ思うところもあるけど母親の苦しみや葛藤も描かれていて、何が正しいのか何が間違っているのか誰にも判断できないと思いました。
この映画は、市子をただの悪人として描いているわけではなく、彼女の境遇や背景をしっかり描いているところが素晴らしかったです。
市子が普通の幸せを掴むために背負った罪と、その背後にある悲しい選択…。観る人によって、市子への感情は全く違うと思います。
映画の結末はハッキリとは描かれていません。結末は観る人の感情にゆだねられていました。
また良い映画に出会えました。
ぜひ、皆さんもこの『市子』という映画を観て、どう感じたのか教えてくださいね。コメントで感想を聞かせてもらえると嬉しいです♪
チャンネル登録や高評価もよろしくお願いします。
それでは、次の映画でお会いしましょう。
ありがとうございました。
チャオ☆
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・
あきこ☆すたーらいとの紹介
関西弁のおしゃべりママ。声で元気を届けます!豊富な子育て経験を活かして2021年より音声配信アプリ『stand.fm』にて、子育てなど日々の出来事を配信中。バッグやポーチの制作販売も行うハンドメイド作家。
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