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長い旅の途中

【マッキーからのメッセージ -10-】

病室は4人部屋。部屋と同時にメンバーがよく変わる。僕もその時の容態で、3度部屋を変わっている。

一番最初、手間がかかる病人として、ナースセンターの真横に陣取った。
何が手がかかるかといえば、容態が安定しない。夜のトイレは尿器をつかう。車椅子への乗り降りは看護士の付き添いが必要。
はっきり言って何もできない。身体的にもあちこち痛みが走り、とても辛かった。

次に移ったのが、ナースセンターからひとつ離れた部屋。
完全介護から一歩先に進み、少し自分がやる事が増えた。トイレにも自力で行くようになったが、車椅子でのトイレは付き添いが必要だ。ときおり襲って来る「感情失禁」では、思い出し笑いのような現象や、落ち込んで激しく嗚咽する様子を隠すのに苦労した。

今いるのは3つ目の部屋で、もう一つナースセンターから離れている。
ここは基本的に全て自分でなんでもやらなくてはならない。トイレはもちろん、リハビリのプログラムも時刻を調べて自分で移動する。1階の売店にも行けるようになった。
自由である代わりに責任を負う。

この部屋に移ってから、ブログやFacebookにも積極的に関わるようになった。

同時に、メンバーにも恵まれた。前からこの部屋にいる2人、口数は少ないけど僕の事を気にかけてくれた。2人に僕は(スマホに打った画面を見せて)声をかけた。

「こんにちは。みなさんの普段話しているように僕に遠慮なく話してください。会話が難しいため参加は出来ませんが、よろしくお願いします」

それを読むと、
「うん、わかるよ。わかる」
2人とも涙声で答えてくれた。
2人はいつまでも泣いていた。

後から聞くと、2人とも「構音障害」があり、話すことができない苦しみを良く知っていた。意外だった。


2人はよく
「マッキー、おはよう!」
「マッキー、リハビリお疲れ!」
「マッキー、もう飯食べた?」
と話しかけてくれた。

僕にとって、それまでリハビリの時しか無かった、貴重な話す機会が増えた。とても嬉しかった。


明日、その内1人が退院する。
再来週、もう1人が退院する。
半年の入院を終えて退院する。

笑い声をありがとう。
優しさをありがとう。

元気で。

9月27日

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