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息継ぎ、息継ぎ、また息継ぎ
【マッキーからのメッセージ-19-】
昨年末に、長かった入院生活を過ごした回復期病院を退院した。3週間の自宅での準備期間を終え、新横浜のリハビリテーションセンターに入所後、約一か月が経つ。
リハビリは順調に行ってるか、と言えばノーコメント。おそらく少しずつ進歩しているんだろう。自分ではよく分からないけど、気分は明るい。
だけど、構音障害は相変わらず良くなっていない。ほとんど変わって無いような気もするし、わずかに良くなっているような?気もする。
呂律が悪いのはもちろんだが、息が持たない(続かない)ことが悪いことに拍車をかけている。
僕の場合、いわゆる「のどちんこ」と呼ばれる、軟口蓋(なんこうがい)という部分が麻痺を起こしたために、発音時にきちんと動かず息が漏れてしまう。大きな声を出すとやや漏れは少なくなるようだ。
普通に話そうとすると、半分しか息が持たない。はっきり話すことを目指して声を大きくすると、持つのはさらに半分。つまり4分の1しか息が続かないのだ。これはかなりしんどい。
「久しぶりだけど元気そうで安心した」
健康な時なら一言で言えるセリフも、
「久しぶり」「だけど」「元気」「そうで」「安心した」と、たったこれだけ言うのに息継ぎをしなくてはならない。発音の悪さに加えて息継ぎの問題が重なっている。
あぁ、最悪だ。どんなに頑張ってもまともに話せない。右半身の身体の麻痺は仕方がない。だけど構音障害は見えないだけに、ずっと僕の心を今でも苦しめている。
まともに話せたらどんなに素晴らしいだろう。すぐにでも写真講座や、脳卒中の体験談などを話したいのに。ねえさんに「ありがとう」の気持ちをたくさん伝えたいのに。
ねえさん(妻)の書いた「蘖 hikobae」にある、「マッキーは喋りたかったのだ。説明したかったのだ。でも言葉が出ない」は本心。息継ぎでコマ切れになると思うと、最初の一歩が出せないのだ。
SNSなどで「回復してるね!」と励ましてくれるのはとっても嬉しい。文章には決して現れない、この気持ちを知って欲しかった。
まだ、みんなに会う勇気が出ない。もう少し、待っていてください。