クランプスのお祭り(オーストリア・マリアツェルにて)
(ご注意ください。)
記事にはいくつかの写真を添付しております。あえて述べますが、これらは著作権があります。コピーならびにご使用されたい方は、ご連絡ください。いくつかの写真は、本記事投稿者が同行者から頂いたものであるためです。
2023年11月25日に行われたクランプスのお祭りに行ってきました。このクランプスというお祭りですが、日本ではあまり知られていないと思います。私も、大学の同僚から「興味深い伝統的な宗教行事があるから行ってみないか」と誘われるまではクランプスのことを知りませんでした。
行く前にクランプスについて調べました。
クランプスはオーストリアのアルプス地域周辺で行われる12月25日のクリスマス前の伝統行事です。
毎年12月6日に聖ニコラウス(サンタクロースのモデルとなった聖人)がプレゼントを持って子どもたちの前に現れます。クランプスの伝統行事では、聖ニコラウスとともにお祭りに現れるヤギのツノを持った悪魔が現れます。この悪魔のことをクランプスと言います。聖ニコラウスは良い子にしていた子どもたちにクッキーやチョコレートなどのプレゼントを渡しますが、悪いことをした子どもたちにはクランプスが罰を与えて連れ去ってしまいます。日本の「なまはげ」と似ています。
クランプスはいくつかの街や地域で行われています。私が行ったのはオーストリアのマリアツェルというキリスト教の巡礼地でもある街です。ウィーンからバスで2時間くらいかかるアルプス山脈に近いところにあります。ウィーンでは雪が降っていませんでしたが、アルプスに近づくにつれて雪が降り積もっていきました。
マリアツェルは大きなカトリックの教会があります。
この教会には木像の聖母マリア像があり、信仰の対象となっています。「バジリカ」と呼ばれる巨大な教会です。クランプスのお祭りの前に教会に入ってみましたが、ちょうど礼拝が行われていました。
クランプスのお祭りは日が暮れてから行われます。
時折吹雪く中をずっと待つのはつらかったですが、聖ニコラウスがクランプスとともに現れると歓声が上がり、その後は寒さも忘れて撮影に勤しんでいました。
クランプスは様々な顔を持っています。姿もいろいろです。
鐘を鳴らして鎖(あるいは箒のようなもの)を持って歩いて、観客を脅かしたり叩いたりします。クランプスは子どもだけ目をつけるわけではありません。大人には持っているもので叩きます。私も思いっきり足を叩かれました。しかも4回もです。結構痛かったです。同僚が、海外(アジア系)からの観光客は珍しいから目立ったかもね、と言っていましたが、確かにアジア系の顔だちは周囲を見た限りでは私だけでした。もっとも叩かれればそれだけ身体から悪いものが出ていくとも言われています。4回も叩かれたのですから無病息災になったと思います。
もし、11月下旬から12月上旬にかけてオーストリアのアルプスに近い地域に行かれたなら、ぜひこのクランプスという伝統行事にも足を運んでみてはいかがでしょうか。日本にはないクリスマスの雰囲気を味わうことができます。