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金色のコルダオクターヴプレイ記 加地ルート感想

 コルダ2のキャラが登場するフェスタルートには攻略前から「こいつのルートはキツそうだ」と思ったキャラが何人かいる。
 キツそうランキング圧倒的一位が金やんだとしたら、理事長と銀メダル争いをしそうなのが加地だと思った。
 なぜなら、選ばれし才能の持ち主ばかりが揃うフェスタルートで、加地だけが才能の壁にぶつかって挫折しているからだ。
 妖精主催の学内コンクール出場者+海外で賞を獲った衛藤。そんなメンツと一緒に加地は「音楽で島を救え」と言われるのだ。これが地獄でなくて何なのか。リリのドSぶりには時々はっとさせられる。
 私などはコルダ2の最中、加地をうっかり育て忘れる→加地だけレベルが圧倒的に足りない→もうコンサート直前→ヴィオラ担当がいない→アンサンブルどうすんだよ!→加地よりレベル高いモブ連れてこい!→急遽呼ばれたヴィオラが須永だったりする
 ということを繰り返してきた(学ぼう)。つまり2はわりとシビアに加地のレベルを設定してあるので、加地が「僕には才能がない。君たちとは違う」と言うのは間違いではない。
 さらに、妖精の存在も加地は初耳だ。日野世代の星奏には妖精が見えるやつには音楽的才能があるという常識(常識?)がある。
 逆に言うと才能がないやつには妖精が見えない。星奏入学前の衛藤だけは妖精に耐性がないが、彼にはコンクール優勝という実績がある。
 第2章冒頭で、すでに加地が気の毒になってくる展開だ。
 加地はリリと初対面なので、最初から全く信用していないし警戒するのは当たり前である。おかしいのはお前じゃなくて、妖精とやらに馴染みすぎてる他のやつらだよ!と加地の肩を叩いて励ましてやりたくなる。
 ただし、露店でレベルアップアイテムや相性操作のリボンについて突っ込まれた時には「今見たことは全て忘れろ」と黒の組織の顔になった私だ。

 加地のルートは最初から最後まで彼自身との戦いである。
 悪霊が現れて、加地が喉から手が出るほど欲しい音楽的才能をやろうと誘うのだ。しかし加地は何度もその誘惑をはねのける。
 加地はブッダかイエス。
 そう思った。もちろん、聖☆おにいさんの方ではない。
 埒があかんと思ったのか、最後に悪霊は一番強力な誘惑をぶつけてくる。加地にとってもっとも大事なもの、つまり日野を音楽で必ず成功させてやると持ち掛けるのだ。ただし、これが完全に逆効果。
 日野最推し、過激派、同担歓迎(ただし、解釈違い考慮願います)なのが加地である。悪霊の誘惑は加地の逆鱗に触れ、彼は悪霊を退ける。
 解脱。
 シッダールタだった加地は悟りを開いてブッダとなる。
 つまり、自分は音楽の才能を持たないが、それを愛し続けて広めていきたい。そう改めて誓うのだ。
 加地はあの言動に惑わされがちだが、実に合理的思考の持ち主で理性的な男だ。そんなやつが、こんな訳のわからん場所に連れてこられてさぞかし大変だっただろう。
 それでも彼がこの島でも常に楽しんで見えるのは、そばに日野がいたからだ。
 加地はいつもいつでも日野の幸せを考える。日野が幸せなら、幸せにするのは自分でなくても構わないと思っている。
 それは加地の音楽への向き合い方とよく似ている。




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