金色のコルダAS神南 如月律攻略感想
※個人の感想ですよ〜。
意外性の塊だった芹沢ルートを終え、次は律ルートへ。
芹沢の感想にも書いたが、AS神南において小日向が神戸までやってくるのはヴァイオリンのレベルアップを図るためだが、その根本にあるのは律と交わした約束である。
約束通り、夏大会の決勝で律と同じステージに立つためには今の実力では難しい。そこで神南に転入するわけだ。
コルダ3、4、オクターヴとやってきて毎回思うのは、誰かのルートに入る前のフラットな状態だと小日向はほんとに律が好きだなあということだ。
好きという言い方だと誤解されそうなので「憧れ」と言い換えてもいい。小日向にとって、幼い頃からちょっと憧れてた男の子が律なんだと思う。ちなみに私は律かなを特別視しているわけではないので、これは固定カプ厨による妄言ではない。公平に見てもそのように見える、という話だ。つまり律は、他のキャラよりもヒロインとの恋愛に圧倒的アドバンテージがある。ヒロインに最初から意識されているというのは強いのだ。
しかし、律かなで即カプが成立しないのは律が度を超した鈍感力の持ち主だからだろう。もしも律が大地みたいに相手の気持ちを的確かつ敏感に把握するタイプだったら、律かなルートは彼のヴァイオリンが壊れる前に完結してしまう。
そんな律と小日向は横浜で再会する。
律の魅力といえばやはりあの天然ぶり。
ストイックで真面目だが、律は冷たいわけではないし付き合いが悪いわけでもない。いきなり海に誘ってもショッピングモールに誘っても、なんだかんだで一緒に遊んでくれる。
ただ、水着の感想を求めても「大人っぽい水着を着るようになった。小学校の時と違う」とマジで水着の感想しか返してくれなかったり、間接キスにドキドキする小日向への返しが「水分補給は大事だ」だったりと、こちらが求めたものと絶妙に違うだけだ。
すべてのやり取りにおいてそうなので、小日向を操る私はおもむろに黒いサングラスを着用し「ちがう、そうじゃない」と呟いた後またそれを外し、いやでもさすがは律、それでこそ律、そこがいい、と思い直した。
そんな律相手に、まさか「見られたら困るシーンでとっさに2人して布団に隠れたものの、互いの身体が密着してドキドキ」というイベントが起きるとは思わなかった。
これはときメモGSだったのか。
さすがの律もこれにはちゃんと赤くなったりドキドキしてくれたりする。
私は何しろまだ芹沢しか攻略していないので何とも言えないが、律に関して言えばASシリーズは3、4よりもだいぶスイートな気がする。
スイートなイベントがありつつも、律ルートの要はやはり彼の怪我だ。
もとの怪我が治りきる前に無理をした律は慢性的な腱鞘炎を抱えてしまい、プロの演奏家への道が閉ざされてしまう。律ルートは小日向との恋愛もさることながら、どん底から立ち上がる律自身の物語といえる。
正史たるコルダ3では、律は怪我のせいで夏大会途中でアンサンブルを降り、小日向に「お前が星奏の柱になれ」みたいなことを言って後を託す流れだった。
しかしAS神南では、星奏が準決勝で敗退する理由は律の怪我とは無関係だ。
故に、律の怪我が致命的なものである事は他校の生徒には知られないままになっている。ただルートに入ると、他校の生徒の中では小日向だけが律の怪我を知ることになる。
しかも小日向は律のヴァイオリンが壊れ、その後病院での宣告により律の心が折れる瞬間に立ち会うことになるのだ。
コルダ3では怪我までのイベントが少なかったせいか、夢を絶たれた律の苦しみが私にはいまいち伝わってこなかった。律は表情をあまり変えないタイプのキャラなので、苦しんでいる姿がはっきり描写されないと、やけにあっさり夢を諦めてすんなりヴァイオリン職人を目指し始めたように映ってしまう。
しかしASでは3よりずっとその描写が丁寧で、律の悲しみや苦しみ、さらにはこれからもヴァイオリンを続けていける小日向への嫉妬まで描かれていて、律の絶望がはっきり伝わってくる。
そこから、律の直したヴァイオリンでファイナルのステージに立つことを誓う小日向。その小日向を見て演奏家以外の手段で音楽と関わっていくことを考え始める律。
このイベント後、律が小日向を女の子として意識し始めるのも納得の流れだ。正直に言うと3では、律に「お前のおかげだ」みたいなことを言われても「いや私は特に何もしてねえ」と思ったのだが、ASでは確かに小日向のおかげで律は立ち直っている。やはりヒロインはそうあってほしいと私は思う。
律ルートは、最初から律に憧れる小日向と小日向のことを全然意識していない律、という状態からスタートするが、その律が彼女を女の子として好きになっていく過程がとてもよくわかる。
律の天然ぶりと小日向のやり取りを微笑ましく思ったり、やっと意識してくれた律の珍しい照れ顔に身を乗り出したり、律の絶望や葛藤をはらはら見守ったり、とてもいいシナリオだったと思う。
ただ、一つ不満がある。
といっても、これはルートシナリオに対する不満でもキャラに対する不満でもない。
そもそもこれはASのような「if」でやるべきシナリオではなかったと思うのだ。
このシナリオは最初から、ifではなく正史であるコルダ3でやってくれないと困る。異論があるのは重々承知で私の正直な気持ちを言うが、これは神南にいる小日向ではなく、星奏の小日向でやってほしいシナリオだったと思う。
AS律ルートがすごく良かったという前提で言うが、このASシリーズが「もしかしたらあったかもしれないif」ならば、いくら素晴らしいとはいえコルダ3の補完みたいなシナリオではなく、律が怪我をしないif、ヴァイオリン職人を目指さない律のいるifをもっと大胆に描いても良かったのではないかと思った。
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