下天の華 夢灯り 黒田官兵衛攻略感想
※個人の感想ですよ~。
さて、下天の攻略もいよいよ官兵衛で最後。
残りが4人になった時「攻略ラストは誰がいいでしょうか」と呟いたら「ラストは羽柴軍で締めたらすっきりすると思いますよ」と勧めてくださったフォロワーさんがいた。それを聞いた時点で残っていた羽柴軍は官兵衛だけだったので、大トリは官兵衛に決めた(素直なのだ)。
ほたるへの一途な恋心ゆえに、他ルートではどうしても当て馬横恋慕野郎になってしまいがちだった官兵衛をようやくこの手で幸せにできるのかと思えば感慨深い。
待たせたな。
そう呟いてゲームスタートだ。
夢灯りはどのルートも、安土を巡る陰謀が縦糸に、攻略キャラとの恋愛が横糸にくるのだが、官兵衛は最初から陰謀の主犯が半兵衛だと知っている。だから、犯人を見つけて倒すのではなく、半兵衛の暴走を止めるのが彼の目的である。官兵衛は「安土の盾」を排除したいのではなく協力を求めたいのだが、当然ほたるはそれを知らない。
ましてや官兵衛は寡黙で不器用、天才軍師という評判も聞こえている。だから、ほたるは彼の行動に何か裏があるのではと思うし、惹かれつつあってもそう易々と自分の正体は明かせない。
それに灯籠流しの夜のあれは、官兵衛にとっては恋心からくる行動(かつ、ほたるの正体を探る手段)かもしれないが、ほたるにしてみれば、よく知らない男にいきなり押し倒されて犯されかけたようなものなので、それ以降官兵衛を避けたくなるのも無理はない。
出会って間もない頃、ほたるから見た官兵衛は良く言えばミステリアス、悪くいえば胡散臭いのである。だが、ほたるは次第に彼の誠実さや不器用な優しさを知って惹かれていく。
半兵衛の謀反が絡むストーリーなので他と比べてもかなりシリアスなルートなのだが、なにしろ官兵衛がグイグイくるので、お香を含めた恋愛イベントでは終始ニヤニヤできる。
官兵衛は、最初に押し倒したことに始まり、ほたるの髪に口付けたり、抱き寄せてみたりと結構やりたい放題しているのだが、それでも「エロい」というよりは「真面目」という印象だ。
それは彼がほたるに一途だからだし、迫った後でほたるが戸惑えば、即座に「すまない」と謝り「姫があまりに愛らしかったから」みたいなことを真顔で言ってくるからだ。また、自分の行動によってほたるが困ったら、分かりやすくしょんぼりするからだとも思う。官兵衛は普段が怜悧な印象なので、そういう不器用な面を見せられると「君、可愛いとこあるじゃないか」とこちらの好感度が爆上がりするのだ。
官兵衛ルートはシナリオもいいのだが、何よりそのキャラがよかった。ネオロマには今までいそうでいなかったキャラである。
というのも、ネオロマに限らず、乙女ゲーでは「最初からヒロインにズブズブ」というキャラは意外に少ない気がする(私のプレイ済み乙女ゲームはツイプロ参照)。登場時から、ヒロインに好意や憧れ、執着、忠誠心など(つまり、まだ恋心ではない)を抱いているキャラは多いが、最初から恋心を抱いている事がはっきりわかるキャラはほとんどいない。遙3の譲くらいではないだろうか(コルダ3の水嶋新の場合、登場後すぐは本気かどうか微妙なので外す)。
最初からヒロインに好意を持ってるキャラは、攻略が進むにつれて「この好意はただの好意ではなく、恋なんだ」と自覚に至るのが普通だ。
それなのに官兵衛は、最初から本人が恋を自覚しており、しかもヒロインにそれを伝えることにためらいがない(このあたりが、想いを口に出せなかった譲と違う)。
また、官兵衛のように寡黙で表情筋が微動だにしないようなキャラが、エンディング前から「好き」「愛らしい」「美しい」と連発するのも新しい風である。ほたるを賛美するときだけは「貴様、言葉を省きがち設定はどこにいった?」と問い詰めたくなる饒舌ぶり。
例えば月森やクラヴィスやリズ先生や敦盛、百地あたりが、エンディング前にそれらのセリフを連発したらみんな発熱を疑うだろう。だが官兵衛はまさにそんな感じだったのだ。
また、官兵衛ルートでは半兵衛との友情や、秀吉への揺るぎない信頼がきちんと描かれているし、みんな大好き石田佐吉も沢山登場する。
羽柴軍に入りてえ。
そう思えるやり取りが色々見られるルートでもあった。
そしてこれは、羽柴軍の3ルート全てに言えることだが、友情(あるいは忠誠心)の描写がちょうど良かった。
というのも、乙女ゲーにおいては、濃すぎる友情描写が時に邪魔に感じられることがあるからだ。ヒロインとの恋模様よりも友情描写に比重が傾きすぎると、恋愛描写が減るためだろうと思う。
だが、夢灯りはこれがちょうど良い塩梅だったのだ。例えば終盤、官兵衛が命がけで半兵衛を止めるのだが、ほたるは「半兵衛の自害を止めてくれ」と頼まれている。これでもし、ほたるの役目が見守る事だけだったら、どうしても両兵衛の友情ばかりがフューチャーされてしまっただろう。
そして、官兵衛ルートの中で特に良いと感じたのは、灯籠流し夜の押し倒しイベントがきちんと回収されていることだ。
官兵衛のことを好きでもなんでもない時には完全に怯えていたほたるだが、同じことをされても、彼を好きになった後には受け入れる体勢になっている。ちゃんとほたるの気持ちの推移がわかるようになっているのだ。
エンディングでは羽柴軍が四国に発ち、さらに一年後、文通を続けた官兵衛とほたるが再会する。
ここで2人が抱き合うスチルが出るのだが、官兵衛が「ほたるをがっちりホールド」というか「絶対離してたまるか」みたいな抱きしめ方なのが良かった。
後日談はそのすぐ後だ。
想いが通じてもイマイチ恋人感が希薄な二人。官兵衛のいいところは、好きだ好きだとグイグイ来るくせに、いざとなればほたるの気持ちをきちんと考えるところだ。
つまり官兵衛は、ほたるにはっきり求められていないと思っており、しかもほたるがあまりにもウブなので色々躊躇いがあったらしい。ほたるはほたるでクソ真面目なので、普段からあまりラブラブなことを言ったりやったりしない。
しかし、外野に指摘されて「私は官兵衛殿が好きなんだから、このままではいかん」と思う。
一旦腹をくくったほたるはすごい。
恋文を書くくらいならともかく、ほたるは官兵衛の私室に忍び込んで、自分がされたのと同じように官兵衛を押し倒すのだ。
女の子がこういう攻めの体勢になったネオロマのスチルは初めて見た気がする。コルダ4で冥加先輩に壁ドンした小日向くらいだろうか。
しかしほたるの場合は壁ドン以上、「女性上位」としか言えない体勢である。
官兵衛は戸惑いながらも嬉しそうだ。その体勢で好きな女に愛を告げられたのだから、そりゃそうなるだろう。
額にキス、からの接吻にはもちろんときめいた。ただそれ以上に、私はスチルに描かれたほたるの美尻というか、ヒップラインに釘付けだった。
あんなにまともに乗っかられて、官兵衛の官兵衛は無事だったんだろうか、姫路に行くまで耐えられたんだろうかと余計な心配までしてしまったのは私だけではないと思いたい。