下天の華 夢灯り 百地尚光攻略感想
※個人の感想ですよ~。
夢灯り攻略も師匠で5人目。
このルートのほたるは前作同様、最初からとにかく師匠の事が大好きだ。ただ、好きは好きでも師弟愛なのか恋なのかという部分、過去を交えた百地との交流の中でほたるが恋を自覚していくという流れが横糸にくる。
幼女の頃と同じように百地に抱きついたり、うるうるしたり甘えたりと、ここのほたるは無自覚の小悪魔ガールにもほどがあり、彼女に迫られる百地は常に腹でも下したような顔をしている。
とにかく端から見たら気持ちが分かりやすいほたるなので、本人が恋心を自覚するより先に、百地の方がそれに気づく。
序盤から中盤、百地はほたるを牽制したり、ちょっと距離をおいたりして、ほたるが恋を自覚しないようにしている。
百地はほたるに甘いが簡単には落ちない。そこがいいのだ。
乙女ゲームにおいては、百地のような教師ポジションの攻略対象は珍しくない。だが、このポジションの男は扱いをひとつ間違えると「事案」「淫行」の烙印をおされて好感度が下がってしまう。それは、ヒロインの多くが18歳未満だからだ。
だから私は、教師ポジションの男には特に「わきまえていること」を求めるし、教え子に対してすぐにまんざらでも無い顔をする教師キャラより、二の足を踏む教師キャラの方が断然好きだ。「もしやこれは淫行なのでは?」と気づいてしまった教師キャラに対しては、「貴様、いいところに気づいたな」と誉めてやりたい。
ただ、下天のようなファンタジー物は学園物に比べて、歳の差や立場がそんなに気にならないように思う。多分、ファンタジーな舞台ではそれを理由にお縄になったりしないからだろう。
歳の差や立場よりむしろ「俺みたいな男は、前途ある若人にはふさわしくない」という理由で身を引きたがるキャラが多い気がする(遙かシリーズのリズ先生とか)し、百地もここにバッチリ当てはまる。
ということで、「自分はここらへんで身を引くのが正しい」と自己完結する百地。
しかし、ほたるはほたるで自分は百地の事を男として好きなのかと悩んでいるのだ。
そんな彼女が相談相手に選んだ男は、なんと光秀。
え?そこ行く?
恋愛経験ありそうな女房たちの誰かとか、もっと他にいなかったのか。
だが、このルートの光秀は意外にも(意外にもとか言うな)優しいし、アドバイスは的確だ。私の中の光秀の株が上がる場面である。
そして百地は、恋心を自覚したほたるに攻勢をかけられるが、とにかく粘る。エンディング前にヒロインから告白されているにも関わらず「だが断る」と突っぱねる。冷たいわけではなく、危機にはちゃんと助けに来てくれるし、ほたるの訴えには「やれやれだぜ」という顔で話を聞いてくれる。
ほたるが「この恋、諦められねえ!」となるのも無理はない。
ほたるの、師匠好き好き大好き攻勢と、媚薬としか言い様のない香にも耐える百地(あのお香、百地には特に効きがいい気がする)。
忍耐強い。
終盤は、ほたるが百地に振られた状態で、例の陰謀が明らかになる。このルートではほたると百地が伊賀への疑いを晴らすために奮闘する。評定の場に乗り込んだり、先頭に立って野犬と戦ったりして、織田家中に着実に自分のファンを増やす百地。
かくして信長の身は助かり、伊賀への疑いは晴れる。
百地のような手練れがいたのに、どうして蜉蝣丸がまんまと忍法帖を盗んで逃げられたのかとか、抜け忍に対して今まで伊賀はなにやってたんだ、というのがずっと気になっていたのだが、このルートでようやく当時の様子がわかる。
エンディングでは再びほたるから告白。
「よせ」「やめろ」と言われても止めないほたる。この辺りのやり取りは本当に、小さい頃から一緒にいた者同士という感じがする。
なぜなら、ほたるは「これ以上押しても無理」という場合と「もう少し押したらいける!」という場合の境目をきちんと把握している気がするからだ。多分、小さい頃にはこうやって百地に色んなおねだりし、本気で断られたりなんとか承諾されたりしてきたんだろうなと推測できて微笑ましい。
ともかく、エンディングにおいてすら何回か告白を断られ、挙げ句「戦いで一本取ったら言うことを聞いてくれ」と言い出すほたる。
一体何が始まったんだ。
しかし、そこで実に可愛い罠を張って百地に自分からキスするほたる。本当にこのルートのほたるは積極的だ。
後日談でも、久しぶりに百地に会えるのが嬉しすぎて、舞い上がっているほたるが見られる。そして、若人の勢いに呆れたりタジタジしながらもそれに付き合っている百地。
しかし百地の良さは、積極的な弟子にただタジタジしているだけではないところだ。
ほたるの押しの強さに流されていると油断させておきながら、要所では自分から動く。
具体的には、ほたるからキスしたはずがやり返してきたり、「泊まりたいです!」とこちらが押していたはずが急に「お前を欲している」と言い出して暗転させたりするところだ。
「何を」とは言わないが、なんとなく、彼らは夜を待たずに致したような気がしている。