金色のコルダオクターヴプレイ記 衛藤ルート感想
フェスタルート、トリを飾るのは衛藤だ。彼を選んだ理由は「何となく良さそう」と私の勘が告げたからだ。
そして期待は裏切られなかった。
衛藤は長らく私の中で、いるらしいのは知ってたけど接したことのないUMAのような存在だった。しかし、オクターヴ発売前に2ffが出たため私はそこで初めて衛藤を攻略したのだ。
攻略前、友人に「衛藤ってどんなキャラ?」と尋ねたところ「『あんたのヴァイオリン、まだまだだね』って言いそうな…越前リョーマ的な…」と、ネタバレを避けるためか薄ぼんやりした返答がきた。
しかし、衛藤を知った後ではその答えがわりと的確だとわかる。
帰国子女、ヴァイオリンの才能持ち、学ラン、攻略キャラ最年少、自信家、そしてちょいと生意気。さらにいきなりファーストネーム呼び。
衛藤のように追加扱いでゲームに途中参戦したキャラは、最初からいるキャラに比べて不利だ。なぜなら、プレイヤーはすでに自分の推しがいる状態で衛藤に会うからだ。
にもかかわらず衛藤が人気なのは、上記のようにこれでもかというほどオイシイ部分を詰め合わせたようなキャラだからだと思う。
ただ、年下といっても衛藤は可愛いわんこ系ではなく、かっこいい系の容姿と性格で大人びたキャラである。
オクターヴの衛藤ルートは、彼のかっこよさはもちろん、可愛さの方も楽しめる仕上がりであった。
妖精の店を冷やかしたり、お揃いのボディペイントをしたり、魔法島らしいイベントも楽しめた。
そしてここから、衛藤がコルダに途中参戦したことを逆手にとったイベントが展開していくのだ。
衛藤はフェスタメンバーの中で唯一星奏に入学していない。日野が学内コンクールの話をすると、そこに自分がいなかったのがしゃくだと悔しそうにする。
学内コンクールの頃に星奏にいなかったのは加地も同じだが、彼の場合は、もしいたとしても参加者に選ばれなかった可能性が高い(ただ、その話が加地ルートで出てきてしまうと加地の闇が深まるので、出てこなくて良かった)。
その点衛藤は、もしその時点で星奏にいたとしたらおそらく参加者に選ばれただろう。
衛藤は自分でもそこは微塵も疑っていない。だから「もし自分がその場にいたら」「同学年でなくてもせめて入学できる年なら」と余計に悔しいのだろうと思う。
衛藤は「日野と出会う前の時間に嫉妬してる」と言っていたが、衛藤ルートは全体を通して、自分以外のフェスタメンバーと日野との絆を羨ましがる衛藤が描かれる。
衛藤のいいところは、彼が可愛い系の年下キャラじゃないために「俺と出会う前から一緒にいる仲間との絆が羨ましいよ!」とは言わず、「こんな風に嫉妬するの、ガキくさいよな」と言うところだと思う。
衛藤はなかなか弱音を吐かず、かっこ悪いと衛藤自身が判断したことは必死に隠そうとする。もし口に出してしまったら「俺はガキか」と自嘲する。
だが、普段大人びているだけに、そういうとこが七海などとはまた違う「可愛さ」なのだ。
そういう口に出せないもやもやを抱えたまま迎えた試練の場は、まさかのハルかな同時攻略ルートである。
それまで「ガキくさく嫉妬する自分はかっこ悪い」と黙っていた衛藤が、自分の8年後を知るハルに、つい弱音を吐く部分がすごくいい。
そこから衛藤が、今までの話はさておき、これから8年先があると結論するのも良かった。年の差や出会うまでに過ごした時間について、不安に思っているのは自分だけでなく、日野も同じなのだと気づくところも。
8年後の未来に思いをはせるエンディングは、大トリにふさわしかったと思う。
あと、ルートとは関係ないが、私の最推しの一人である冬海を公式に下の名前で呼んだのは衛藤が初めてだ。
オクターヴ発売前、私は勝手に脳内で「冬海を真っ先にファーストネームで呼ぶキャラは誰だ選手権」を開催していた。ちなみに本命はダントツで水嶋新。対抗で榊。大穴が土岐といったところだった。
しかし優勝はまさかの衛藤。
日野や天羽でさえ成し遂げられなかったことを衛藤は実にさらりとやってのけていて、そういうとこが実にスマートだと思うのだった。
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