金色のコルダオクターヴプレイ記 八木沢ルート感想

初めに言っておく。
この八木沢ルートについて、ビタイチマイナスな事を言われたくない人は、もうここで撤退してほしい。
私は、このルートで起きたイベントについてはほとんど誉めていないからだ。
八木沢については悪く書いていないが、ルートについては書いている。
しかも例によって「こういうイベントが欲しかった」という妄想も披露している。
それでもいいという人だけ読んでほしい。

正直に言ってこのルート、これまで私がプレイしたルートの中でワーストである。もちろん、※個人の感想です。という注釈付きなので、「絶対的にこのルートが良かった、萌えた」という人だっているだろう。
私は3キャラの中ではハルについで八木沢が好きなので、もしかしたら推しの逆補正フィルター(もっと良く出来るはず)がかかっているため、このルートに不満があるのかもしれない。

私はASシリーズ未プレイである。
だから私の中で至誠館はずっと男子校だ。
ただ、ツイッターをやっていたらある程度は情報が入ってくるし、私はネタバレが気にならないタイプだからミュートもしない。
至誠館分裂騒動について私が知っていることは、長嶺というメガネ男子がキーマンだということと、彼が分裂したもう片方の部を率いていること、八木沢の友人でやはり火原の教え子だということくらいだ。
それ以上は何も知らない。公式サイトも見ていない。つまり私は、限りなくオクターヴの小日向に近い状態で八木沢ルートに臨んだことになる。
そんな私が八木沢ルートをやった感想は率直に言って「このルート、私(小日向)は特に何もしてない」だった。
八木沢が、大事な出来事を忘れた自分に対して自己嫌悪に陥り、悩み、それを自力で思い出し、3Bのアドバイスを受けてやっぱり自力でそれを乗り越える。
小日向はそれをひたすら「八木沢部長、ガンバッ!」と見守っていた感じであった(手作り菓子は一緒に食べたが)。
ハルモニアに来る際に、八木沢がつらすぎて忘れてしまったものとは、少しだけ前の出来事。もちろん、例の分裂騒動と袂を分かった元親友のことである。再会してすぐに、バイクがどうとか言い出した八木沢の記憶の断片からすぐに皆さんは、襟足長めのメガネを思い浮かべただろう。
私は公式の長嶺イラストを見たことがないので、ツイッターで流れてきた、段ボールの中で体育座りをしている彼を思い浮かべた。
本物は絶対こうではないとわかってはいるが、それしか知らないのだから他を思い浮かべようがない。
少しは知識がある私だってこんな状態なのだから、小日向はもっと訳がわからなかったはずだ。
ここで「八木沢さんが切ない」「思い出してあげて」とか「このルートしんどい」とか言っている人は、ASをやった人だろう。やってない小日向(私)は切ないどころかきょとん顔で、好きな男が悩んでいるのをただ眺めていた。これが迂闊に助言していいタイプの話でない事くらいはわかるから、「ですよね~!」という相槌も気軽に打てない。
だから眺めるだけ、よく言えば見守るだけだった。悩める八木沢にアドバイスしたのも、八木沢に親友ともう一度話す決意をさせたのも小日向ではなく3Bコンビだ。
これはもしや「好きな男のピンチに何も出来ないのが切ない」という気持ちを味わわせるためのルートなのだろうか?
エンディングで八木沢は「あなたのおかげで」「あなたが見守ってくれたから」と言ってくれたが、私は、
「俺はマジで何もしてねえ」
と思った。
さらに、この地で晴れ晴れと前向きになった八木沢は「あなたとの絆のおかけでここに来られた」と言ってくれたが、ここでも私は、
「いや、キャンプルートの皆さんがここに呼ばれた最大の原因はアレクセイだ。俺は何もしてねえ」
と思った。
だから最後に告白とともに「ありがとう」と言われてもやっぱり、きょとん顔であった。何かよくわからんうちに、八木沢が立ち直って礼を言ってくれ、しかも告白までしてくれたという印象だったのだ。

キャンプという、せっかく八木沢が大活躍出来そうなシチュエーションがあるのに、なんでこうなったんだろう。
もっとキャンプしようぜ!山で遭難しかけて山小屋で八木沢と一夜を過ごそうぜ!
「大丈夫ですよ。火のおこし方は心得ています。あの…寒いようでしたら、寄り添うのがいいかもしれません。もしあなたが嫌でなければ」
みたいなやつを見たかったんだよー、私は。
私の八木沢ルートへの期待が大きすぎたんだろうか。
不満なのは私だけなのか、皆さんは大満足なルートだったのか、私がおかしいのかと、現在進行形で疑問符の迷宮をさ迷っているところだ。
分裂騒動が、単純には解決できないセンシティブな問題で、(ここでは)部外者である小日向がひょいひょい首を突っ込めるような問題でないのは分かる。しかし、もうちょっとヒロイン小日向を活躍させてほしかったと残念に思った。
だが、最後のスチル。これは良かった。シナリオはワーストだと思ったが、このスチルは全ルートの中で一番良かった。
シャツのシワの寄り具合とか、八木沢の表情とか、画面をしばらく凝視するくらい良かった。
それに、もしかしたら八木沢はハルモニアでの出来事をかなり覚えているのではないかと匂わせた所もいい。
夢から覚めた後、その内容をすっかり忘れている者もいれば、断片的に覚えている者もいるように、ハルモニアの記憶もそうなのではないだろうか。
八木沢は恩師とその親友に言われたことを何かのきっかけ(鐘の音とか)で、ふと思い出すだろう。そしてその時こそ、彼が親友ともう一度向き合う時なのかもしれない。
何度も言うがAS未プレイで、長嶺の人となりを知らない私はそのように思った。

今だかつてなくボロクソ言ってしまった気がするが、クリアした後の私は「やっぱりASをやらないとな」と思った。
八木沢の人徳なのか、私のような未プレイ勢がAS至誠館をやってみたくなるという点はこのルートは大成功だったと思う。

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