![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125266183/rectangle_large_type_2_59ceb61aeee7a3fd2676b78716b1a9a0.png?width=1200)
今どきサンタは高くつく 〜子どもの夢か 親の予算か〜
あなたのお子さんは、サンタクロースを信じていますか?
クリスマスプレゼントは、サンタさんとトナカイさんがソリで運んでくれるもの、と信じていますか?
うちの娘K(小6)はどうでしょう。
もう11歳なので、うすうす気づいています。「サンタさんて、パパとママなんでしょう?」ってよく言います。
しかし、我が夫は、それを許さない。
いつまでも「サンタクロースを信じている純真無垢な子ども」でいてほしいらしい。
私は、というと、もう真実をぶっちゃけてしまいたい。
「へへ、そうだよーん。なんで今まで気づかなかったん? あースッキリした。あ、でもT(弟)はまだ小1だから、黙っておいて」
そして、こう続けたい。
「そんで、Kが欲しがってるプレゼントね、値段が高すぎるからちょっと相談」
* * * * *
そうなのだ、上の子11歳も、下の子7歳も、リクエストしているプレゼントの価格がえげつないのだ。
上の子は白のアコースティックギターがいいと言う。(安くても3万円前後)
下の子のリクエストは、LEGOのなんちゃらかんちゃらセットで1万7000円。
「え!? ちょっと、高すぎない? 僕らの時って、ケーキだけでも嬉しかったのに」と、夫も眉間に皺を寄せて、商品が表示されているパソコンの画面をにらむ。
「だけど、Kは、『サンタさんからもらうから、金額は関係ないよねー!』って言ってる…」(私)
「・・・・・・・・・・・・」(夫)
「ええやん、もう言っちゃおうよ。実はサンタはパパとママでした〜! このギターは誕生日プレゼント込みだよって」
「・・・・・それは、嫌だ」
せめて、あと一年、小学生である今年だけは、サンタを信じる娘Kでいてほしいと言う。
* * * * *
数年前に聞いたママ友の話。
息子くんが「クリスマスプレゼントはSwitchをお願いする!」だの「ソフトも欲しい!」だのあれこれ言ってくるのが煩わしく、ついに
「もう、そんな高いのばっかり!サンタなんていないの!いつもプレゼントを用意しているのはママなの!」と大暴露してしまったらしい。
そうしたら息子くんは大泣きしたそうだ。
ママが怒ったこと以上に、サンタは実はこの世にいないという現実に、打ちのめされたらしい。
息子の涙を見てママ友も我に帰り、一緒に泣いたと言っていた。
私はその話を聞いて、涙を流して笑ってしまった。笑い泣き半分、息子くんとお母さんの心情を思っての同情泣き半分、だった。
それから数年後、私もそのママ友と同じ心境にある。
サンタクロースを維持するのには、お金がかかるのだ。暴露したくなるし、泣きたい気持ちにもなる。
そして、これは私の怠惰が原因なのだが、今年は別のことにも労力を費やした。
* * * * *
二人のリクエストはすでに○マゾンで確認済みで、あとはポチッとすればいいと思っていた。
なぜすぐにポチッとしなかったのか、あの時の自分を責めたい。
いざ注文をしようとしたその時、ギターの白が売り切れていたのだ。がーん。
じゃ、とりあえずLEGO!とページをのぞいたら、配送到着日がなぜか元旦ではないか。
・・・・・ギターは別の色じゃダメだろうか。水色とかピンクとか、何も白じゃなくてもいいんじゃないか。
LEGOだって、他のシリーズでもいいんじゃない?
改めて、夫を見つめる。
「サンタはパパとママだって、言っちゃったら、相談できるのに…」
しかし、夫は首を縦にはふらない。
振らないが、さすがに追い詰められたことに気付いた様子の夫、近隣のギターショップやおもちゃ屋に、在庫確認の電話を始めた。
しかし、結果は全滅。
「〜〜〜〜〜、どうしよ。ほんと困った!」
「最悪の場合、色違いやシリーズ違いを選ぶしかない!」
その日、私は午後から人間ドックに行く予定だったので、朝は7時前に豚汁を少しすすっただけ。お腹が空いて頭が回らないし、もう出かけなくてはならないし、で、解決の目処が立たぬまま「行ってきます…」と自宅を後にした。
人間ドックは繁華街近くの病院で受けた。このタイミングでここにいることをラッキーと思い、私は最後の賭けに出ることにした。そこからとことこ歩いて大阪の繁華街・梅田へ。ヨドバシカメラと近くのギターショップへ、直接行くことにしたのだ。
そうしたら、どうでしょう!
あったんです。LEGOのなんちゃらパックも、白いアコースティックギターも!
ああ、来てよかった。ギターの話も色々聞けたし、やっぱネットショッピングにはない良さがあるよね、リアルな買い物はさー。(めちゃくちゃ晴れ晴れした気分)
しかも、ギタリスト気分にちょっとなれたのだ。憧れのギタリストに。
黒のギターケースを背負ってる人って、かっこよくないですか?
私は昔から、音楽ができる人ってかっこいいなーーと憧れていました。
ここでギターを購入して、梅田から自宅までのひとときを、「なんちゃって」とはいえ「ギタリスト」として過ごせるなんて🎶
心の中でワクワクしながら会計を済ませ、ギターを受け取りました。
「ええと、ギターバッグは背負うんですけど…」と店員さん。
「知ってるわい!」という顔をした瞬間、気がついた。私、がっつりリュックを背負っちゃってたのだ。
店員さんはちょっと微笑みながら、「前に抱えますか…?それとも…」。
彼女は、どっちの絵を思い浮かべたんだろう。
A:リュックを前に抱え、ギターバッグを背負ったおばさん
B:ギターバッグを前に抱え、リュックを背負ったおばさん
どちらにせよ、私が思っていたような「ギタリストの姿」にはなれなかった。(Bにした)
しかも、「ぶつけると壊れるので気をつけてください」なんて言われてしまったので、気を遣うわ緊張するわで、ちっとも楽しくない「ギタリストな帰り道」になってしまった。
それでも、子ども達の希望通りのプレゼントを、ちゃんと工面できたことに、心から安堵した。
あー、よかった。今年も子どもたちの夢を、守ることができそうだ。
しかしですよ、子どもの年齢が上がるにつれ、親がサンタクロースをドロップアウトしてしまうのは、子どもが気付いたという理由が大半だろうけど、リクエストが高額になっていくのも原因じゃないかなあ。
* * * * *
ようやく自宅に着いた時、夫が「おおー!ギタリスト!」と大喜びで迎えてくれた。
「ところで、今ちょっと見つけちゃったんだけど、ギター初心者の9割が、1年以内に辞めるっていうデータがあるんだって」
メリークリスマス!