思い出のインディ・ジョーンズ先生

もうすぐ映画「インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル」が公開される。

「インディ・ジョーンズ」というワードを見聞きすると、必ずと言っていいほど思い出す人がいる。私が小学6年生だったときの担任、川上先生だ。

川上先生は、おそらくあの当時30代半ばの男の先生で、子どもたちをぐいぐい引っ張る、人気のある先生だったと思う。

授業の進度が早かったり、天気が良かったりすると、教科書をたたんで「外で遊ぶか!」とみんなを教室から追い出す。
私たちは大喜びで運動場に飛び出して、ドロケイ(泥棒と警察/鬼ごっこみたいなもの?)をしたりしたっけ。

そういう「脱線」を、みんないつも期待していた…と思う。

その「脱線」の一つで、みんなが特に楽しみにしていたのが、「お話会」だった。
先生が、自分の好きな映画の話をするのだ。
身振り手振りを交えて、時には黒板にイラストも描いて、映画の展開を語っていく。
いまこうして大人になって振り返ると、川上先生にはどれだけ「話力」があったんだろうと思う。身ひとつと黒板だけで、映画の起承転結、ドキドキのクライマックス、そして納得のエンディングを表現して、子どもたちを引き込んだんだから。

「チャイムよ、鳴らないでー」なんて教室の時計に向かって懇願したのは、学生時代であの時だけだろうな。

「お話会」のチョイスで私が覚えているのは、「風の谷のナウシカ」、「大脱走」、そして、「インディ・ジョーンズ」シリーズの「レイダース」と「魔宮の伝説」だ。

ナウシカは実はクラスの大半が見たことがあった。というのも、町の映画鑑賞会で上映されたのがナウシカだったから。
それでも、先生の話は面白かったんだよなあ。自分が気付いていなかった、分かっていなかったことが、いっぱい散りばめれていたんだろう。

「大脱走」は、家族で観覧した。
と言うのも、ズバリ私の両親は「大脱走」を青春時代に見た世代。だから、特に父は、「先生がそんな話をしてくれたのか。あの映画は面白いぞ」と嬉しそうで、私もなんだかとても誇らしい気持ちになって、家族揃ってテレビで見た記憶がある。
そして、本当に面白かった。

「インディ・ジョーンズ」は、先生の説明で私なりに場面を想像していたから、実際の映像を目にしたいなと思った。
金曜ロードショーか何かで放映されていたのだろうか。映画で観てみたら、びっくり。めっちゃくちゃ面白い。それから、インディ・ジョーンズが大好きになった。
その後の「最後の聖戦」も「クリスタル・スカルの王国」もリアルタイムに映画館で観た。

* * * * *

大人になって、仕事として映画に関わることがあった。
そうなると、少しとんがった嗜好になるし、賞をとったとらない、監督がどうだこうだ、批評家のレビューはああだこうだと、「自分が好きな映画選び」に雑味が混じり出す。映画人でもないくせに、作品を観る前から身構えたりしていた。

だけど、インディ・ジョーンズを観るときはいつも、丸裸の自分、子どもの頃の自分なのだ。先生の話を聞いてワクワクして、純粋に映画を楽しんだ自分に戻れる。
今でも、テレビ欄で「インディ・ジョーンズ」のタイトルを見るとワクワクするし、ついチャンネルを合わせてしまう。子どもも一緒に巻き込んでキャーキャー叫ぶ。
社会的メッセージに富む映画、芸術性が高い映画、時代を象徴するような映画も好みだけど、大義名分なんてかけらもない、突き抜けたエンタメ作品ってやっぱり好きだな〜。

* * * * *

さて、とうとうシリーズ最後の作品となる「インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル」。
ママ友で映画好きはいないし、1人で見に行くのはなんか寂しいし、、、と思っていたところ、心強い娘どのが「一緒に観に行く」と宣言してくれた。
嬉しい。

その娘は、いま小6。川上先生のお話会を楽しみにしていた、かつての自分も小6だった。

川上先生も、6年5組の友達も、最後のインディ・ジョーンズを観に行くだろうか。
お話会のことを覚えているだろうか。
私のことを覚えているだろうか。
・・・みんな元気かな。

これで最後となるジョーンズ博士の勇姿、いっぱい楽しんでこよう!

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