【50歳のつぶやき】 電話だって「編集力」がものを言う
いまの仕事では、あちこちに電話をかける。もともと電話が苦手。10年ぶりくらいに決まった「出勤する仕事」に、ワクワクドキドキしていたが、「そうだった…働くって、電話をかけることだった…」と、我に帰ったのだった。
少し前に「お世話になっています」について書いたが、電話というのは簡単なようでテクニックが必要だとつくづく思う。
そのテクニックというのが「編集力」だ。
編集力=「編集」する力、「誰かに魅力的に伝えるために何かをコンテンツ化する技術」のこと、と誰かが書いていた。
ターゲットを決めて、ターゲットが満足いくであろう情報を集めて取捨選択し、その情報を的確な言葉とデザインでまとめて魅せる技術、と言った感じだろうか。
その技術は、電話をかける場面でも必要とされるのではないかと、日々考えている。
・相手と自分がいま置かれている現状を分析する
例えば、こちらからお願いしたことに対して丁寧な返事をいただいているのか、まだ何も反応がないのか。過去にも会社としてお付き合いがあったのか、どの程度か、など。「丁寧なお返事をいただきまして、ありがとうございました」「その節はお世話になり、ありがとうございました」の一言を添えるだけでも、会話が少し柔和になる。
・電話をかける意図を明確にし、パワーワードを準備する
いちばん伝えたいこと、電話をかける意味は何かを、自分としっかり確認する。なるべく会話の冒頭で的確に伝えるようにする。
中でも、相手をグッと惹きつける「パワーワード」を意識するといい。本でいうところの「見出し」的な存在だ。毎回、該当する言葉があるわけではないが、たまに使うとかなり効果的だなと感じる。
・文字数は短く、簡潔にする
これが難しい。ゆっくり丁寧に、言葉を紡いで伝えた方がいいのか、端的に用件だけを伝えればいいのか、毎回迷う。
話したい相手が不在の場合、電話に出た方に伝言を残すことが多いが、その時の説明が我ながらまどろっこしい。
「ではご伝言をお願いしたいのですが、今回○○の件でお世話になっていまして、そのものが出来上がりましたので、確認をお願いしたいと思っております。これからメールでお送りしますので、ご確認いただきますよう、お伝えいただけますか?」である。
話している本人すら、頭がこんがらがってくるほどだ。
先日、社員の人が同様の電話をかけている、その会話が耳に入ってきた。
「では、以前にご連絡さしあげた件でメールをお送りしますので、ご確認くださいとお伝えください」
わお、スマート! 口語だから、「ください」が2回続いても気にならないし、滑舌が悪い私でもスラスラと話しやすい言葉の組み合わせだ。相手に時間を取らせないし、「編集」された言い回しだなあと仕事をしながら感心してしまった。
スムーズな電話対応にも、「編集力」は生きてくるようだ。
ところで、「させていただく」という言葉があるが、これだけは極力使わないように意識している。まず、言いにくい。「さ」「せ」と「さ行」が連続する口の動きがとても苦手で、めちゃくちゃ嚙むのである。それに、「させていただく」という言葉を多用すると、相手を馬鹿にしているようにも感じるし、自分まで馬鹿になったような気分になる。
果たして、私だけだろうか?