自転車の値段と利用者の数に思うこと
人口増加に伴う交通渋滞をどうにかするため、アメリカ都市部では、いかに人々が車の運転をする回数と距離を効果的に減らす政策を実現できるか と日々戦っている人々がいます。そういう仕事場でもう10年以上も仕事をしていますが、それでは車の台数は減った? 走行距離は減った? 回数も減ったの?と聞かれると、全く減っていない! それより増加しています! というのが現実。
第一、交通計画や政策って、このままでいけば20年後、30年後には人口はこんなもんで、人々はこの辺りに住むと予想され、人々の仕事場はこの辺りになると予想され、今なにも計画しないでこのまま進むと、交通渋滞はこれほど最悪になるが、こういう政策を行うおかげで、最悪の度合いが少し低くなると予想されます。という、必ず今現在の状態よりは渋滞ひどくなるけど、何もしないよりはまし、という想定に基づいたもの。 今より良くなる、とはだれも約束していないのだ。
この発言をプロローグとしてですね、何を言いたいかっちゅうと、交通量削減・渋滞解消政策として、自転車の利用を勧める、というのがあるのですわ。例えば、車で通勤より自転車通勤、スーパーにお買い物に行くのも自転車、子供の送り迎えも自転車、というように。自転車に乗ること自体、運動になるので、アメリカの社会病でもある肥満の解消につながる、生活習慣病の予防になるなど。走ってる車が減ることで渋滞も減り、大気汚染の改善にもつながる、と人々が自転車で行動してくれるといいことづくめ!なのです。
というわけで、街の都市計画部だの、公共事業部だのがこぞって自転車のためのバイクレーンやら自転車を止めておくバイクラック、レンタルバイクプログラムに投資をしています。それはいいんだけど、アメリカで売ってる自転車、なんでこんなに値段が高い?!?! 自転車1台が平気で$300~$500とかするのだ。日本円だと3万円から5万5千円(おおざっぱだけど)になるよね。そんな値段じゃぁ、平均所得の家庭で、家族の数だけ自転車買おう、って気にならんよね?
自動車の使用から自転車へと転換するのを勧めるためにインフラを整備するってのは大切だと思う。 しかし! インフラ整備したって、自転車が値段が高すぎて普通に手がでなかったら、せっかくのバイクレーンもバイクラックも使う人が少なくって当然じゃ。 それこそ$50ぐらいで買えないんなら、自転車だってラグジュリー・アイテムだし、乗る人なんて必然的に限られて、使用する目的だって、通勤やお買い物、というよりはエクササイズや趣味、という方向になるよ。
街の自転車店だって、趣味の店、というか値段の高い自転車ばっかり置いてあるし、その他になるとアウトドア系のREIとかになる。なんで安いママチャリないのかね? そうそう、あっても日本から輸入されたやたらおしゃれなママチャリでお値段も高いのだ。 インフラ整備しつつも、安い自転車売りますってビジネスも始めたほうが相乗効果があるのではないか、街の都市計画部。インフラ作っただけじゃぁ、人は来ないのよ。(これが言いたかったこと)
そんなことをに思い及んだのは、最近息子ちゃんと自転車乗り回すことが増えたから。運動不足解消のために。私が乗るのは息子ちゃんのお下がりのちびっこ自転車。この手前に映ってるオレンジとブルーの自転車。
シートは一番上まで上げてあって、それでも長く乗ってると膝と太ももがだるくなってくる、というもの。最近乗る回数が増えてるから、私のサイズの自転車を買おうかな、とチラッと考えたこともあったけど、$400も払ってられっかい、と却下。自転車はもっと手の届きやすい、消耗品的なお値段にならない限り、街全体に自転車の利用が浸透なんてことはきっとありえないよ。