気にならない程度でずれていって取り返しがつかなくなるってのもあり得ると思う

お昼過ぎ、小さな子供の声がうちのドライブウェイから聞こえてくる。二軒隣に住んでいる二歳半になるM君が、お父さんと散歩の途中にうちの息子ちゃんを訪ねてやってきた、という感じ。

ずっと弟が欲しくてたまらない息子ちゃんはその声を聞きつけると、嬉々として外に出ていく。お隣のM君はラジコンカーをもらったらしく、それを持って息子ちゃんと遊びに来たんだって。しばらくうちの裏庭で遊んだ後、ハイキングに行ってた私の主人が帰宅し、庭の片隅に車を止めて遊び場所が狭くなってしまったのと、M君の犬までうちの裏庭に来ちゃったんで、みんなでM君のお家に戻りましょう～　とM君、彼のお父さん、犬、私と息子ちゃんでM君の家へと向かう。

M君ちの前庭で立ち話をしていると、彼のお母さんも出てきて、私の主人もやってきて、そのうちおむかえの人も挨拶に出てきてと、大人5人、子供2人、犬1匹で、ソーシャルディスタンスを守りながら他愛のない話をしていた。

あいにくの曇り空で、ちょっと肌寒いけど、よくある土曜日の昼下がり、という感じ。だったのが、上空をヘリコプターが旋回し始めた。最近はよくヘリコプターが飛んでいて、主人曰く、閉まっているお店が増えたし、治安を守るために巡回してるんじゃない、とのことで、そんなもんか、と思っていた。けど、なんか今回はいつもより低空飛行しているのだ。ヘリコプターのバタバタいう音が大きくってお互いの話してる声が聴きにくいほど。飛び去ったか、と思ったら、方向転換してまた上空を旋回しに来る。それが4度ほど続いて、や、これは私らのこと監視してるよね、となった。それで、M君のお母さんと私が玄関の屋根の下に入り（真上からは見えないから）、お向かいさんと私の主人はそれぞれの家に戻り、M君、彼のお父さんと息子ちゃんだけが空から見えるような形になって、ヘリコプターは飛び去って行った。それからほどなくパトカーがうちの通りを走り去っていった。

パーティーというほどの人も集まっていないし、ソーシャルディスタンスも保っていたのに、近所の住人が庭先で話をするのもダメなの？！

別に誰かが逮捕されたわけでもないんだけど、少しずつ今までの日常が変わりつつあるよね、それも物々しい感じに、という話になった。M君のお母さんはテレビシリーズのHandmaids Tale を観ていて、あれの初めのシーズンにさ、少しずつ世の中が物騒というか、変わっていく様子が描写されるエピソードがあるじゃない。今までの生活とあんまり変わらないんだけど、少しづつ街の中が物々しくなって、武装した兵士が街角に立っていたりとか、政治の方針が極端になってきたりとか。それでも大半の人は、これも一時的なこと、そのうち以前のように戻るから、っていつも通りの生活を続けるのよね。例えば行きつけのコーヒーショップに行って、いつものコーヒーとマフィンを注文して、とか。それが、いや、これやばすぎ、アメリカから脱出しなきゃ。って気が付いた時にはもう遅くて、という話の展開の仕方。なんか私たちも今まさにそんな状況なんじゃないかって思っちゃうよね、と。そしてもしそうだったとしてさ、パンデミックって世界規模での話だから、アメリカから脱出なんてできないじゃない。どこの国に行っても同じ状況になるでしょ。そう思うと怖い。早くこの状況が解除されるのが待ち遠しいわ。

今までにない非常事態だから、と言われると、納得してしまう。だって私の人生の中で、こんなパンデミックを体験することって初めてだし、国レベルでロックダウンだったり外出自粛とかいうのも生まれて初めての経験。そして毎日ネットのニュースで世界中、アメリカ国内、カリフォルニアでの感染者数や、死亡者数が増えるのを見たり、ホワイトハウスと州知事との間に今回のパンデミックの対処につて、様々な点で意見と方針の食い違いがあり、大きな亀裂が入り、アメリカの連邦制度の真髄が問われている、とか読むと、いや、まさに今、Handmaids Taleの初めのシーズンそのままじゃない？と思ってしまう。　

それと同時に、このニュースで流れてることってホントに起こってることなの？とも思ってしまう。ありえない話だけど、それこそ仕組まれた社会実験（ソーシャルエクスペリメント）とかだったりしないの？とか。メディアに流す情報を操作することで、いかに一般大衆を操作できることができるか、というエクスペリメントとかね。　　　ハイ、その昔、X-filesシリーズにはまっていました。　でも、マジで怖い。鬱な気分になる。