夏休み子ども科学電話相談が今年もやってきた

今年もやってきた!!!NHK「夏休み子ども科学電話相談」の季節である。この番組は、こどもたちの科学に対する疑問や興味に有識者の先生方が的確に答えていく生放送。こどもたちは予想もつかない質問をぶつけてくる。それに博識な先生たちが真摯に答える。どんなに小さな質問であっても、先生は手を抜かない。真剣に答える。聞くこどもたちも真剣である。番組はまるで手練たちによる高度なインプロのジャズセッション、もしくはスポーツのようである。

こどもたちは聞く。

・昆虫にはこころはあるんですか?

・世界は朝から始まったの?

・AIは人間に恋をするの?

・シギのくちばしはどうして曲がるの?

・動物も忘れ物をするの?

・毒がある恐竜はいるの?

こどもたちは、本当に動物や恐竜や昆虫が好きだ。大人たちが「ああはいはい象ね」みたいにわかったつもりでやりすごしてしまうことにも、真剣に向き合っている。こどもだってすごく詳しくて、「毒がある哺乳類は知ってる?」なんて質問にもペラペラと答えたりする。

それに対する先生たちがまた素晴らしい。先生たちも、このこどもたちとおんなじで、「恐竜かっこいいなー!!」「カブトムシかっこいいなー!」「鳥って不思議だなー!」って夢中になったこどものまま、すごくすごくたくさん勉強して、そのまま大人になっている。

だから先生たちは、こどもを自分の仲間みたいに扱う。先生は大人だから、こどもとの違いは、経験があるし、知識があるってことだけだ。心はまったくこどもと一緒だ。先生は自分のことを「先生」じゃなくって、「おじさん」と呼ぶ。

「ヘビって、どれくらい大きいものを食べられるんですか?」「どれくらい大きなヘビを見たことがあるの?」「うーん、図鑑でしか見たことがないからわからない」「おじさんね、外国でこんなヘビを見たんだけどね、そのときはこんな大きなものを食べててね...」って話しかける。「ヘビのあごは、上下だけじゃなくて、左右にも自由に動くんだよ!」と教える。そうするとこどもは「へー」って言う。

それが楽しいのだ。知らない世界の詳しいことを聞くのは楽しい。世界にはたくさんのことがあって、それに夢中になっている人がいる。この電話相談室では、新入りのオタクを古参のオタクが待ち構えていて、新入りのオタクの質問に、古参が目を輝かせて「待ってました!」と自分の知識を披露するのだ。なんとも微笑ましい光景である。

学問とは世界に興味を持って、それをとことん追求すること。学問ってスゴいんだなと思う。世界がある、世界に自分がいて、そこにある楽しいこと、面白いことを自分が追いかけていける。そんな喜びを、こどもと先生が教えてくれる。まるで世界に対する祝福のような、そんな番組である。

去年のハイライト、あかりちゃんの書き起こしはこちら


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