「新世代のリアル」をテーマにしたNetflixの「FOLLOWERS」が化石みたいな価値観まみれな件について
Netflixジャパンオリジナルドラマ「FOLLOWERS」を見た。Netflixジャパンといえばあの「全裸監督」を送り出したチームである。
え〜、日本に来るとなぜかダメになってしまう御三家ってえものがありまして、
・Twitter
・ハフィントンポスト
・ネットフリックス
だなんてインターネットではまことしやかに言われておりますが、この「FOLLOWERS」は全世界190か国に独占配信されるんでありますね。
1話1億円とかかけられているんすよ。
このガラパゴス俳優が棒読みで出てくるしょうもねえドラマに何億円、、はあ、、ハイロー何本つくれるかな、、
ということで、「テラスハウス」は海外で人気だそうですが、すさまじい費用をマーケティングとコンテンツに費やすNetflixが、満を持して送り出すのがこの「FOLLOWERS」なんであります。
Netflixのオリジナルドラマといえば、「ストレンジャー・シングス」に「13の理由」「オレンジ・イズ・ニューブラック(これは正確にはオリジナルではないよな)」などが知られているわけですが、それが日本に来るとどうなるか。まあ全裸監督で察してください。本作のコンセプトはこれです。
本作で描かれるのは、様々なライフスタイルの女性たち。SNS社会において直接的、あるいは間接的に影響し合っている人々を、現在のTOKYOのリアルを交えながら描く。
主演・中谷美紀のコメント
オファーを受け、「誰かが掲げた ”女性の幸せはこうあるべき” という枠にはめられて、幸や不幸をジャッジされてしまいがちな女性にも多様な生き方があること、そして、人が社会と繋がろうとすればするほど、孤独を感じてしまうという残酷な現実がポップに、おしゃれに描かれていて、新たなドラマが生まれる予感がしています」と撮影への期待感を寄せた。まさに世界へ発信する”新しいTOKYOライフ”の主人公そのものと言える。
本作のテーマになっているのは様々なライフスタイルの女性たち。SNS社会において直接的、あるいは間接的に影響し合っている人々&現在のTOKYOのリアル
です。
そんで監督が蜷川実花、脚本は岩井俊二のお弟子さんだそうですが、
ハリウッドで20年前に撤廃された非礼かつ錆びついた価値観がすごいきっついカラコレ&中身ゼロの脚本&棒読み演技で見せられるのでキャッツ以上の悪夢でした
以上を念頭において下記を読んでいただければと思います。
それではここからネタバレアリで本作に感じた違和感を述べて行こうと思います。
とりあえずこれがドラマが始まってのファーストショット。
東京を描くテーマで東京タワーに向かってデジタル一眼のシャッターを切りまくるカメラマン。
もうこの時点で「陳腐」と感じた人を脱落させる、素晴らしいファーストシーンだと思います。わたしもこの時点でもう魂が半分抜けました。
このあとも何かというと東京タワーを見るシーンが出てくる。東京人地方人問わず東京タワー見て元気でる人間とかいるの?それにしては東京スカイツリーが出てこなかったのでこれは差別だと思います。差別だ!
1. 「新しい生き方をする女性」を描くといっておきながら思いっきり昭和ステレオタイプな「女の幸せ」を掲げてくる
うーんこれにはぼくもびっくりです。
冒頭、中谷美紀が表彰されたカメラマンとしてのイベントのスピーチで、
「私は仕事も女の幸せも諦めない人生を歩んできました」
って言うんだよな。
「自分の人生で仕事と生活を50/50にするんじゃなくて、どっちも100/100に増やすことにしたの!」
とドヤ顔で言う中谷美紀。
「女の幸せ」ってド演歌みたいな言葉ですが、それはなんと子どもを生むことだそうです〜〜〜!!!ドンドンドンパフパフ
まじかよ〜〜〜〜!!!!
化石みたいな価値観ですね!!!ジュラ紀かな!!!
じゃあ何かい、あんた、
子どもを持たない人は
女の幸せ
ってやつが手に入らないってえのかい?
まあこういう発言はそこかしこにあり、
夏木マリ「大切な人間が自分ともう一人いるのなんて最高じゃない、子どもが産みたい女性にはどんどん産んでほしいわ〜」
安倍政権みたいなこと言ってるな〜
こども生みたい人はたくさんいるよ。でも非正規雇用が多くて育てる費用もままならないとか、一度出産したら正社員に戻れるキャリアが絶望的、みたいな日本の現状があるから諦めてる人がどれだけいることか。そういうとこに問題提起してくれるとよかったですね!あっ、セレブの世界だから関係ないのか。
んで、後々。中谷美紀はなんだかんだで出産。金が唸るほどあるはずなのにベビーシッターを雇わず海外ロケに新生児を連れて行く。
おおおい!!!ベビーシッター雇ってください!!!
その結果、赤子が病気になり、「自分しかついてあげられる人がいない」ということで撮影をとばしてしまう。
忙しいとこごめんね!ベビーシッター雇ってください!
で、撮影とばしちゃったクライアントに中谷美紀が謝罪しにいく。相手は年配の女社長。
「あたしの時代は仕事か子どもかどっちかしかなかった。仕事してたら子どもなんて産めなかったわ。片手間育児じゃ子どもがかわいそうよ。これで一緒にいてあげられるわね」
逆っすよ!社長!逆っす!
昔は家に祖父母がいたんです。だから親も祖父母にこどもの面倒をみてもらって働きにいくことができた。あとは高度成長期はサラリーマンの給料が総じて今よりも高かったので「主婦」になって子供を育てることができた。
今はそうじゃねえんだよ
今は核家族化して
近所の助け合いもなくなって
保育園は入れないし
給料も安くなって
子ども生んでも苦しんでる人がたくさんいるんだよ。
一方ドラマでは、仕事と育児の間で突然苦しみ出し、泣きながら歩いたりしている。
ベビーシッター雇ってください。
お金あるんだから。
あと育児関連で気になったのは
八代亜紀(中谷美紀の母)「粉ミルクの方が栄養価が高いのよ」
中谷美紀「今は母乳の方がいいって言われてるの!できるだけ母乳を飲ませたいのよ、粉ミルクはやめて」
エッ母乳の方が愛があるみたいなやつ?!?!?!?!?!!!??!!?!はるか古代に滅びたやつ??!?!を今もってくる?!!!?!
液体ミルクの時代に、、、すごいですなあ。
これ作ったひと、液体ミルクとか知らないんだな。うむ。
2.「自立した女」が子どもを作る方法
ここがめちゃくちゃ怖かったのだが、、「子どもが授かれば父親は誰でもいい」と考えた中谷美紀。仕事相手(撮影対象)のMIYAVIとおせっせをしたが残念ながら着床せず。
そこで取り巻きが
「ざんねん〜!!MIYAVIの遺伝子が〜〜!!」
って叫ぶんですよ、、怖すぎだろ、、MIYAVIが何も知らされてなかったらほんとに訴訟もんですよ。
その後も
精子バンク使えばいいのに
という全視聴者の思いをよそに、あらゆる友達に「認知しなくていい、一人で育てる、だからおせっせして」と頼む中谷美紀。精子バンクは後々提案されてましたが「えっ!!そんなのやだ!」と拒絶反応を示していた。お前は何がしたいのか、、
その後なんだか知らんけどわたしがよそ見してるあいだにだれかの子を妊娠してたのでよかったです。おめでとうございます。
ハッ!!!!「認知しなくていい、一人で育てる、だからおせっせして」と頼む。これが、、
誰かが掲げた ”女性の幸せはこうあるべき” という枠にはめられて、
これへのカウンター?!??!!?!!?!?!すごいな、、!!!!精子バンクとか、養子とか、いろいろあんだろ、、
やはり
「自分の腹を痛めた子を生んでこそ女のしあわせ」
ってことなのかな?
うーんそうですか!
3.役者が全員大根
おそろしいことに役者が全員棒読みなのだ、、こわいお
そんで、説明的な長台詞をペラペラ喋るんだよな
マネージャー、落ち目で荒れる歌手に向かって「どうしてあなたのことを非難する人の声ばかり聴くの どうしてあなたを愛する人の声を聴かないの あなたの歌声は神様に与えられたギフト 毎日山のように送られてくるデモテープからあなたの声をみつけたとき これだと思ったの」
ここはすごかった。「中学生日記」みたいな演技だった。
あと売れない女優、彼氏に泣き付きながら「やっぱり反抗しないで自分のやりたいこと押し殺して生きる方が楽だよね、みんな傷つきたくないもん」
説明すんな〜!ご親切に!ありがとな!
売れない女優に向かって彼氏「お前の演じる1秒は 誰かの人生の1秒になるんだからな」
えっ?!これ、「名言」ってこと?!
寒くて凍死しました。ありがとうございました。
ちなみに歌手が出てきたけど歌手の歌も下手なのだ。すごいぞこのドラマ。夏木マリと浅野忠信しかまともな演技がない。ちょい役で出てくる中谷美紀の父も大根なんだ。細部に至るまで、徹底して大根演技しか出てこない。そしてあまりに脚本がペラペラすぎて夏木マリまで大根に見えてくる。すごいぞ。
そしてモブはさらに攻撃力が高く、信じられないほどの棒読みで長台詞を叫んで立ち去っていく。
これは多分、監督が出演者を
お友達内閣
で固めてしまったために起こった悲劇なのではないかと思うのですがどうでしょうか。日本にも演技うまいひといっぱいいるでしょ。
4.YouTuberは遊んで動画撮って楽な稼ぎ方してて最悪
すごい、、、!!!!
YouTuberは遊んで動画撮ってるだけ?!?!?!?!
すごい、、!!
一日二本、自分で「面白い」企画を考えて撮影して編集してアップするんだよ?どんなに大変なことか、小学生でもわかるだろ。睡眠時間何時間みたいな世界だぞ。世間でドヤ顔してるクリエイティブ・ディレクターが西麻布で酒飲んで遊んでる時に、YouTuberは企画考えて視聴者に飽きられないようにがんばりまくっているんだ。
そしてどんなに頑張っても、視聴者に見放されたらおわり。何の生活の保証もない。
でもこの世界では
YouTuberは楽な職業
映画監督の方が上
という世界線になっている。
この売れない女優、公園でばったり100万再生のYouTuberと知り合って恋に堕ちるのだが、このYouTuberの発言を見てください、、共感性羞恥で死ぬかと思いました。ていうか日本のドラマでタランティーノを煎じてるやつってあるんですか?
監督はタランティーノ以外ご存知ないので?!そういえば一話にソフィアコッポラの名前が出ていた。
監督、最後に映画見たのいつすか
そんでこのあとなんですが、売れない女優はYouTuberと「自主映画を撮る!」と言いだし、一億くらいかかりそうな映画を撮りだした。タイトルは「ハラキリ女子高生」みたいなやつで、死ぬほどダサい。ダサくて死ぬ。「キル・ビル」オマージュだそうです。
監督、最後に映画見たのいつすか
で、スタッフゼロでどうやって作ったのかわかりませんがこの自主制作映画がネットでバズる。よかったですね。
YouTuber「これでタランティーノ超えだ〜!」
お前はタランティーノ以外知らんのか〜〜〜!!
で、タランティーノ(本人ではなくどっかの俳優)が出てくる。そんで売れない女優が自主制作映画のDVDを渡している。タランティーノは名前貸しただけなんですね。しかしネットで話題になってるならツイッターとかで送ったらいいのでは。
結局、売れない女優は自主映画がタランティーノに見出されてLAで映画を作ることになったそうです。よかったですね。
5.モデルもeスポーツも楽ちんな職業
売れない女優マネージャーに「モデルの仕事ばっかり、、私は女優がやりたいんです!」
ヌオー
モデルは素人がやるとポージングが出来なくて死ぬ プロのモデルはシャッター切るたびにカッコいいポーズが無限に出来る訓練を積んでいるからすごいんだ
エッ監督さん、モデル=楽な職業 と思ってる?
そして、夏木マリの若い男は筋トレトレーナーの傍ら片手間でやってる鉄拳世界ランクで1位。なるほど片手間で、、なるほどですね。んなわけねーだろできるかアホが
あと売れない歌手がバーチャルアイドルとして再デビューして見事復活みたいなことやってるんですけど、バーチャルアイドル作るのってすごいお金かかるんですけど首になった歌手がどっからその予算出したんすかね。まあ制作陣はバーチャルアイドルだからタダみたいな値段でできんだろと思ってるんでしょうね
6.ヘテロに都合の良いゲイが出てくる
これはハリウッドにかつてあった風習である。もうすたれて20年ぐらい経っているのでよいこのみんなは真似しないように。
フェアリーテイル・ゲイ
Magical Queer
Gay Best Friend
などと言われ、ヘテロに都合の良いように出てくるゲイの人のことである。このドラマでも主人公などの仕事を手伝ったり、相談に乗ったり、あけすけな性の話をして場を盛り上げたり、登場人物の「背中を押す」ためだけの「無害な存在」としてゲイが出てくる。そんで中谷美紀の取り巻きのゲイの恋人役が金髪白人でいっつも同じスーツ着ててなんでいっつもスーツなのかよくわからない。これは高いスーツで年収高い白人ってこと?はあ?
そんでコムアイがレズビアンの設定で、友人である売れない女優に「あなたのことが好き」と一大決心して告白するのだが、売れない女優は「言ってくれてありがとう」とハグをしてなんか終了。彼氏のもとに戻っていく。別にコムアイの悲しみは描かれない。なんなん...
7.なぜ今さらセックス・アンド・ザ・シティをやらなければならないのか
セックス・アンド・ザ・シティ』(Sex and the City、SATCまたはS&TC)は、アメリカの連続テレビドラマ。1998年から2004年にかけて、ケーブルテレビ局HBOで放送された。
15年前のネタですよ。それを本作ではおもくそパクってるわけですが、アップデートどころかダウングレードしている。
セックス・アンド・ザ・シティには、夏木マリ的な立ち位置として「サマンサ」という女性が出てくるのよね。彼女はバリバリ稼いでる女社長で男性関係も奔放、決まった恋人はつくらず毎日違う相手と寝ている。のだがある日乳がんが発覚。
サマンサ
絶望に陥るサマンサ。抗がん剤で髪の毛が抜けてしまい、カツラを余儀なくさせれる。今まで完全無欠の美を誇っていたサマンサからすると屈辱的な状況。
そこで、若いイケメンモデルの筋肉セフレ(から彼氏に昇格)が、サマンサの隣で、バリカンで自分の髪の毛を剃るんすよ。
すごい感動しませんか。
見た目だけでやってる、若いイケメンモデルがサマンサの悲しみを慰めるためにバリカンで髪の毛を剃っちゃうんです。
感動、、
一方本作の夏木マリのほうは若い彼氏が戻ってくるだけで何もありませんでした。元ネタから15年もあったんだぞ何してたんだ。寝てたのか
あとキャリーのクローゼットをまるまる真似しててゲロ吐くかと思いました。キッモ
8.女だからしなやかに生きろ
最後。中谷美紀の取り巻きの中谷美紀に都合のいい有能なゲイがプロポーズされてニューヨークに行ったが帰ってきた。
で、ここで中谷美紀がなんかのイベントで感動のスピーチ。
「男性に頼る人生にならないようにしてください。女性としてしなやかに強くタフに生きてください。それが自由への扉です」
あのさ、一つきいていいかな?
なんで女だからってしなやかに生きなくちゃいけないの?
てかしなやかってなに?
「女の子なんだから女の子らしくしなさい」
「男のひとを立てなさい」
そんなこと言われてずっとハア?!!ってなってきたんだよ、
新しい生き方ってそれから開放されることなんじゃないの?
逆に男のひとにしたら
「男なんだから泣くんじゃない」
「男なんだからいつもスーツでビシッときめててください」
「年収はこれくらい稼いでください」
みたいなこと言われてるようなもんだよ。
関係ないじゃん、関係ないよ。
その呪いの言葉をいかにも新時代の女性像の理想ですみたいに使ってる #followers が化石みたいな価値観にまみれている これはおかしい
あと許せなかったのは
独身女「嫁が欲しい」
夏木マリ「あたしもー!嫁がいて仕事だけしてればいい生活なんか最高よねー!」
ウオォ
まじか
女にも男にも喧嘩売ってるやつだ。女の苦労も男の苦労もわかってないやつだ。
こんな発言、平気でするドラマっすよ。
「新世代」?
まじで笑わせてくれるんですけど。
もう日本の実写コンテンツはあきらめようと思いました。
アニメとかゲームは質が高いのになんでなんだ。
私からは以上です
※当初、ある年長世代への蔑視表現が含まれていたことをお詫びさせていただきます
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