親王飾り

雛への想い

三月 桃の節句 ひな祭り 華やかで楽しい行事ですね

雛人形には、女の子の幸せを祈ることのほかに、厄災を代わりに引き受けてくれるという意味があります
両親の娘を思う心がこのお人形に込められているのです

子供の頃は確かに嬉しい時間だったはずなのに、少し大きくなると気にも留めないようになるようです
いつの間にか飾らずに奥の方にしまわれたりして・・・

私も御多分に漏れず、すっかり忘れていた時期がありました
でも 母は私の雛人形を欠かさずに飾り続けてくれていたのです
初孫の雛飾りの隣に

時を経て私も女の子の母親になりました
初節句を控えて、嬉しさにとろけそうな夫は喜び勇んで雛人形を買って来ました
上品な美しいお顔のお雛様でした
私は自分の父親のことを思わずにはいられませんでした
それは 遠い昔のこと・・・

昭和16年12月 日本は太平洋戦争に突入しました
私はその翌年に生まれました、初めての女の子でした
戦争の最中、初節句に飾る雛人形を手に入れるため、父は東京中を探して歩きました
そして やっとのことで手に入れたのは
ガラスケースの中に7段の小さなお人形が並んでいるものでした

毎年欠かさず飾ってくれる母も高齢になりました
私は娘のお雛様と一緒に飾ろうと自分の家に引き取りました
さすがに年数が経ちケースもガタガタになって来ました
そっと そっと壊さないように
ある年 もう危ない状態のケースを直そうと紐を外しました
初めて中のお人形に触れました

私の指がそっと触れた瞬間
それは 細かな砂になって流れ落ちたのです
飾られた全ての人形が土に還りました
私は丁度 還暦を迎えておりました

しばらくの間はじっとそれを眺めていました
こんな終わり方があるなんて・・・
何とも言えない感動をおぼえたのです

飾ることのなくなった雛人形は、神社やお寺で人形供養をする
又は必要とする団体に寄付をするのがいいかもしれません
幸せを祈って下さったご両親に感謝しつつ

ちりめん雛

今年 ちりめん雛をつくりました これも可愛いですよ