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臍の温灸と血流


2024年10月10日

臍の温灸と血流

目次

臍の温灸と血流
☆冷えと血流と暖めるということ
血流を・・といった言葉が意味するもの
冷えと血流、実践の中でわかってきたもの。
☆冷え改善方法(温熱の入れ方)
血液凝固系亢進タイプの冷え改善
☆棒灸の力強さ、すごさ
棒灸デメリット
箱灸がデメリットをカバー?
疏通理気に末端を使わないメリット
臍の温灸は中心を温めながら疏通理気を行うことができる??
臍の温灸を効かせるために
箱灸への期待

冷えと血流と暖めるということ


私は、いわゆる妊活困難事例の方を多くサポートしてきました。
その中で、血流ってのが一番ポイントだと痛感しています。

血流を・・といった言葉が意味するもの

血流を出し、子宮血流をつけ、子宮卵巣を温め養う。
血流というと、運動すればいいですか?というお返事を即答でいただくのですが、
”運動”で、手足を動かせば、動かした手足に血流が優先的に出ます。
時系列的に考えれば、手足が養われ、末端まで届き、全身が養われ、体力向上でOKですね。
でも、いま妊活でやりたい方は、この全身を温養していく中で子宮を養うのか(これが必要なタイプの方もいらっしゃります)、とにかく子宮血流をあげ、必要な場を温養補腎していくのか、考える必要があります。

冷えと血流、実践の中でわかってきたもの。


臨床、実践する中で、わかったのが、
1)冷えに対する考え方(a:血液凝固系亢進タイプの冷えvs b:暖める力不足のタイプ)
2)子宮血流に対する考え方。

1)に関して、気がついたきっかけは、4人同時に拝見して、外的要因は違うのに、足(足首から先の冷え)が一歩先取りタイプがいます。お腹は温かいのに、人による足先だけ温度差がすごい。
 
 このタイプを観察して、妊活とのすり合わせ(主に高度生殖医療)をした結果、不育症条件を満たさなくても不育症専門医(自費)を受診して貰うと、血液凝固系亢進の診断がつき、アスピリン、ヘパリンになります。

この流れを数多く経験して、体表観察を通じた、冷えと血液凝固系の(詰まり血栓リスクが高い)問題は私の臨床課題でもあります。

☆冷え改善方法(温熱の入れ方)


血液凝固系亢進タイプの冷え改善


 
血液凝固系亢進タイプの冷え改善には、”動き”を伴った血流改善が必要です。
→冷えた場所を暖めるのではなく、動かして巡って暖かい(生きてる度)になるわけです。

→このためには、動きをつける必要があり、その場を暖めるタイプのやり方(つまりカイロを貼る)なんてのは効かないです。

→このための改善として、一番の道具としてきたのは、お臍を中心とする下腹ポイントへの棒灸です。

(実はもう一点、コレに組み合わせるのがよいのが、足の交代温冷浴です。話しが飛ぶのでここは省略。身体全体から見て血流の動きを出すという発想に合致します)

☆棒灸の力強さ、すごさ

妊活における鍼灸臨床を通じて、一番力強さを感じたのが、臍の棒灸です。

実践の詳細は略しますが、ご自身のセルフケアに組み入れていただき、困難事例を乗り切ったという方の症例を通じて、力強さを感じざる終えません。妊活を終えたあとでも、ここぞという一番に使っていただいているのかなと思います。
私の症例集の方々は、すべて棒灸を指導してあります。
https://bigmama-odawara.jp/category/woman/

棒灸デメリット


臍の棒灸のデメリットは、手間と技術です。
ただ、置けばよいタイプのお灸とは違って、ご自身の手で1点をあたため、押し込むという手間と技術。これはなかなかハードルが高いのですが、身につければ力強い技術です。

箱灸がデメリットをカバー?


そしてこのデメリットをかばーしてくれるのが、箱灸。置いておけばよいわけで、初めはどうなんだろ?と思っていましたが、案外手応えがいい。とくに、お臍をつかって温養することで、疏通理気出来る力がつきます。

まだ試行錯誤ですが、こんな感想がよくでます。

>ここ数週間、ゲップが笑っちゃうほど止まらずでしたが、臍灸のおかげか本日0回。ちょっと驚き。先生、凄いです。
臍灸で気滞が腸からガスになって出ていった感じです。

この、疏通タイプの感想がとてもよく伺う感想です。

当院では、背中からの治療(背部兪穴の温養、補脾補腎)をおこなってから、
このタイプの箱灸をいれています。

疏通理気に末端を使わないメリット



疏通理気(気を巡らせる)は、鍼灸治療で非常に力強い治療効果ですし、期待されるところです。

巡りが良くなるというのは、身体の一部で起こった渋滞、つまり頭が痛いとか、肩がつらい、足先が冷えるなどの訴えを、「疏通」ということでめぐらせるため、
非常に効果的に感じますし、治療目的としてもココがイチオシとなりやすい理由です。

通常、疏通理気を効かせたければ、末端の経穴などをつかいます。
末端を使う方が動かしやすいのです。

柔軟剤や洗剤などを大袋から小袋に入れ替えるときに、反対側に穴を開け空気が通るようにすると、中身が動きやすくすっと出てくると思います。あのイメージです。

ただ、そうやって末端穴を使うと、生命力の漏れ出しにも繋がります。
とくに、全身の器が小さい人の場合は、場の大きさを縮小、縮小としながら
バランスをとっていくということになり、逆に生命力が小さくなり、自力でのバランスがとりにくくなります。
だから、うーーーんと考えてしまうのです。
こうなるのだったら、生命力をあげるというほうに舵を切り、
多少の症状はさておき、全体の力を上げ、自力解決を願う方が、
長期目線ではメリットがあります。

臍の温灸は中心を温めながら疏通理気を行うことができる??


臍の温灸は、中心を温めながらも、疏通理気の力がでるという、一挙両得です。
私自身、まだ臨床では試行錯誤ですが、それなりに身体の力があり、気滞がつよく悪循環をおこすタイプには効果的ではないかと思います。

臍の温灸を効かせるために

臍の温灸を効かせるために、その前のお膳立てがいることは、美容針などをしてもわかることですね。つまり、単独だとどうかなーという感じです。
まあ試してみる価値はありますね。

箱灸への期待

箱灸が期待できるのは身体の力そのものはまああるのですが、とにかくガツッと緊張タイプで気が滞る(血流が滞る、めぐりにくい、身体の中に渋滞が起こりやすい)タイプです。

まあ鍼の理気と灸の温養の組み合わせという感じですね。

妊活においても、身体の力そのものが問題ではなく、
気の滞りで、スムーズに排卵、受精、着床が進まないというタイプはむきそうです。

ご自身に、「何が必要なのか」ということを、今ひとつ考えた上で、
血流というキーワードが出てきた方には、むく治療方法なのかなと期待しています。

結論


・臍の箱灸(棒灸)は、血流を出しながら、目的の部位を温養
・カイロはその場を暖める(冷えの外的要因から守るにはOK)だけど、養いにはならない。

以上、思ったところを書いてみました。
古くからある技術の、意味するところを考えるのって楽しい!


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