進次郎のスタートアップ税制改革:売却益非課税で日本の起業家精神に火をつける?
小泉進次郎総理候補者が、「スタートアップを売却・上場するときに課税の免除」でスタートアップの活性化に努めたい旨を記者に話しました。
以下、このNoteでは進次郎の提唱する「スタートアップの売却・上場時に課税免除」日本のスタートアップ活性化につながるのか検証していきたいと思います。
スタートアップ売却・上場時の課税免除とは?
進次郎氏が言っている「スタートアップの売却・上場時に課税免除を検討する」という発言は、おそらく、株式上場に伴う株の売却時に発生する譲渡益に対する課税を免除することを指していると思われます。
具体的には、スタートアップが成功して上場し、投資家や創業者が保有している株式を売却した際に、その売却によって得られる利益(譲渡益)に対して課税が通常は発生しますが、その税金を免除するという提案です。現状、日本ではこの譲渡益に対して約20%のキャピタルゲイン課税が課されているため、これを免除することにより、スタートアップの成長を促し、投資をさらに活発にする狙いがあると考えられます。
ただ、これが実現されれば投資家にとっては大きなインセンティブとなりますが、政府としては税収の減少をどう補うかが課題になるでしょう。
課税免除で税収減少する補填対策は?
進次郎氏の提案が実現した場合、政府の税収が減少する可能性が高いので、その補填がどう行われるかは重要な問題ですね。菅元首相がバックにいるとすれば、政策はよく練られている可能性が高く、いくつかの補填策が考えられます。
他の税制強化:金融所得課税や法人税の改訂など、他の分野で税制を見直す可能性があります。特に、資産の多い富裕層や大企業に対する税率を調整することで、減収分を補填することが検討されるかもしれません。
消費税の増税:消費税は比較的安定した税収源であり、これを小幅に増税することで譲渡益課税の免除による財源不足を補う可能性もあります。ただし、消費者への負担が増すため、慎重な判断が必要です。
投資の増加による経済成長:譲渡益の非課税が投資を促進しスタートアップの成功率が上がると、経済成長が加速する可能性があります。これにより、最終的には所得税や消費税の増加によって税収が回復する効果を期待できるかもしれません。経済の成長による自然増収を狙うのは、菅氏のような経済政策を重視する政治家が好む手法です。
特定の産業への補助金削減:スタートアップ支援が増えることで、既存の企業や産業への補助金や支援策を見直すことでバランスを取る可能性もあります。これにより、予算を移動させて税収減少の影響を最小限に抑えることができます。
これらの補填策を組み合わせることで、進次郎氏の提案による税収減少に対処する戦略が立てられるかもしれません。
アメリカのスタートアップの株式譲渡益の課税について
アメリカでは、スタートアップの株式売却や上場時の譲渡益についても課税されますが、特定の条件下では税制上の優遇措置が存在します。
主に関わってくるのが Qualified Small Business Stock (QSBS) という制度です。これは、一定の条件を満たす小規模企業の株式を5年以上保有していた場合、その売却益に対して最大で10百万ドル(約11億円)まで、または譲渡益の10倍までが 連邦所得税から免除 されるというものです。この規定は特にスタートアップや中小企業への投資を促進するために設けられており、投資家にとっては大きなインセンティブとなっています。
ただし、これが適用されるためには、以下のような条件があります:
株式は C法人 であること
企業の純資産が5000万ドル以下であること
企業の事業が特定のセクター(金融や不動産など除く)で行われていること
株式を少なくとも5年間保有していること
このQSBS制度はアメリカのスタートアップにとって非常に重要な税優遇措置であり、特に長期的な投資を促す効果があります。進次郎氏が提案しているようなスタートアップ株式売却時の課税免除については、アメリカのQSBS制度が参考になるかもしれません。
日本でスタートアップが育たない原因
日本でスタートアップが少ない理由は、株式上場や売却時の課税が一因ではあるものの、それ以外にも複数の要因が絡んでいます。
リスク回避の文化と失敗へのスティグマ:日本では、起業やスタートアップへの参加が長い間、魅力的なキャリアパスと見なされていませんでした。リスクを取ることが奨励されず、失敗は厳しく批判される文化が根強く存在しています。このため、若者や才能のある人材が安定した大企業に就職することを選びがちです。
投資家の層の薄さ:シリコンバレーのような、スタートアップのための自己強化的なエコシステムが日本にはまだ十分に存在していません。これには、起業家と投資家のつながりや支援の欠如が大きく影響しています。
銀行や大企業の消極的な姿勢:伝統的に日本の銀行は新しいベンチャーへの融資に消極的であり、大企業も内部での技術革新に重きを置いてきました。その結果、スタートアップは十分な支援を得られないことが多かったのです。
人材不足:スタートアップに必要なデジタルスキルや、グローバルに通用する英語力、異文化間コミュニケーションの経験を持つ人材が不足しています。これも、スタートアップの成長を阻害する大きな要因となっています。
これらの要因が組み合わさり、スタートアップの成長を阻む環境を作り出していると考えられます。ただし、政府は近年スタートアップ支援に力を入れており、いくつかの都市で「スタートアップシティ」としての支援プログラムを展開しています。
課税の問題はその一部に過ぎませんが、譲渡益課税の免除が実現すれば、スタートアップにとっては大きなインセンティブになる可能性はあります。
日本の物作り大国だった時の教育方法が起業を妨げる?
現在の日本の教育システムは、過去の「ものづくり大国」としての成功体験に基づいており、雇用者に従う労働力を育てることが優先されてきました。これが、起業家や創業者としてのメンタリティ、いわゆる「創業者モード」を養う土壌を欠いている一因だと言えるでしょう。
日本の義務教育は、従順で労働市場に適した「歯車」のような人材を育てる傾向があり、創造的思考やリスクを取ることへの奨励が弱いと指摘されています。
一方、アメリカの教育システムや文化では、リスクを取って挑戦すること、失敗から学ぶことが奨励されており、Yコンビネーターのようなプログラムもこうした文化の延長線上にあります。
今アメリカのX界隈で大バズりしてる創業者モードとは?
Airbnb創業者の一人、ブライアン・チェスキーがシード・アクセラレーターのYコンビネーターで行ったスピーチが「創業者モードとマネジメントモードがあり、スタートアップするには創業者モードを突き進め」とい内容だったため、今アメリカのカリフォルニア界隈では「創業者モード」という言葉がバズワードになっています。その様子は、下記のNoteに詳しく解説しましたので併せてご覧ください。
「創業者モード」は、自分のアイデアを形にして社会にインパクトを与えるという強い意志や姿勢を指しており、これを促進するためには、教育制度だけでなく、社会全体の文化的な価値観の変革も必要だと考えられます。日本でもこのような創造的な精神を育むために、教育の見直しやスタートアップ支援の強化が求められています。
果たして進次郎構文で大バズり中の進次郎でこの改革が進められるのかは謎ですが、コロナ禍のデジタル改革を強引に進めた摂政の菅元首相に期待する事はできるかもしれません。
本人も周りのブレーンが支えてくれるとコメントしています。
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