来年にも脳を模倣したチップが誕生。OpenAIも購入契約済
2023年12月12日にJames Woodfor Dが執筆したNew Scientistの記事によると、DeepSouthと呼ばれるニューモーフィック(神経形態)スーパーコンピューターが、人間の脳のシナプスを完全にシミュレートする能力を持ち、2024年にオーストラリアで稼働を開始する予定です。このスーパーコンピューターは、228兆回のシナプス操作を1秒間に実行でき、これは人間の脳の推定操作数に匹敵するとされています。
AIに最適化されたコンピューター
ニューモーフィックコンピューターは、人間の脳を模倣するように設計されており、特に脳のような情報処理や学習機能に優れています。これは、大量のデータを効率的に処理し、パターン認識や複雑な判断を行うのに適しています。AIアプリケーション、特にニューラルネットワークのトレーニングやディープラーニングにおいて非常に有用です。
量子コンピューターとの違い
量子コンピューターは、量子ビット(キュービット)を使用して情報を処理します。これにより、従来のコンピュータでは扱いにくい特定の種類の計算問題(例えば、大きな数の素因数分解、複雑な最適化問題、量子シミュレーションなど)を非常に高速に解くことができます。量子コンピューターは、特定の問題に対しては現在のスーパーコンピュータよりもはるかに高速になる可能性がありますが、全ての種類の計算において優れているわけではありません。
したがって、DeepSouthが量子コンピューターよりも「優れている」と一概に言うことはできません。それぞれのシステムは、異なるタイプの問題に対して最適化されています。AIアプリケーションに関して言えば、DeepSouthのようなニューモーフィックシステムは、特にニューラルネットワークのトレーニングやディープラーニングの分野で非常に有用である可能性がありますが、量子コンピューターも将来的にはAI研究に重要な役割を果たすことが期待されています。
OpenAIはニューモーフィックプロセッシングユニット購入予定
OpenAIは、ニューモーフィックプロセッシングユニット(NPU)を開発しているRain Neuromorphicsとの間で、脳に似たチップを51百万ドルで購入する契約を結んでいます。これらのチップは、人間の脳の機能を模倣するように設計されており、AIトレーニングにおける計算能力を100倍、エネルギー効率を10,000倍向上させることが期待されています。
NPU導入でOpenAIのAGI開発は加速する?
NPUは、人間の脳のように柔軟かつ効率的な計算を可能にすることで、AIモデルのトレーニングをより迅速かつ効率的に行うことができます。これにより、AIシステムが複雑な問題を解決し、より高度な学習と推論を行う能力が向上することが期待されます。
AGIは、特定のタスクに特化したAI(人工狭義知能)とは異なり、人間のように幅広い知能を持ち、様々なタスクを柔軟に処理できることが特徴です。このため、AGIの開発には膨大な計算能力と高度な学習アルゴリズムが必要です。Rain NeuromorphicsのNPUのような技術がAGI開発の加速に貢献する可能性は高く、特に脳のような学習メカニズムを実現するための重要なステップとなるでしょう。
一方MicrosoftはChatGPTのために専用スパコンを開発済
一方、MicrosoftはOpenAI用のスーパーコンピューターを開発し、このスーパーコンピューターはMicrosoft Azureで稼働しています。このスーパーコンピューターは、OpenAIがより強力なAIモデルのトレーニングに使用し、OpenAIの技術開発を加速するために設計されました。