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アリスを真面目に聴け!

アリスは谷村新司、堀内孝雄、矢沢透からなるバンドである。先日谷村さんが亡くなられた際にフォークグループとして紹介されていた事である違和感を思い出した。

アリスはフォークだけで語られるグループではない

確かにフォーク調の曲もある。しかし、それらでさえ私にはフォーク・ロックにしか聴こえない。ドラムの矢沢さんの存在が大きいのかも知れない。

アリス・セカンド・ライブで聴ける「ルイジアンナ」はキャロルのカバーで本家のリリースからそれほど日は経っていないのだが矢沢さんのドラムソロや谷村さんの熱い歌唱が本家に負けず劣らずの出来で驚いた。

その後ファーストから聴いていくとアリスって普通にロックバンドじゃんという結論に至るのだ。

ルイジアンナのカバーもそうだが流行を察する能力が高く。それも高度に仕上げてくる。初期はビートルズライクな「ティンカーベル」中期のブレイク時はフォーク・ロックな「今はもう誰も(これカバー)」絶頂期はニューミュージックな歌謡ロック「冬の稲妻」80年代に入ると「I.C.WORLD」でプログレやテクノにも接近する。

彼らをフォーク一辺倒では語れない。そう思い込んでいると貴重な音楽体験をまた一つ逃すだろう。

日本ではこういうアーティストが多い。そもそも邦楽だから聴かないという捻くれた人間がいるのが悲しい。吉田拓郎、オフコース、甲斐バンド辺りがフォークの暗い音楽と誤解されている代表ではないかと感じている。別にフォーク=暗い訳ではないのだが四畳半のイメージが付き纏う。

彼らを論ずるのはまた別の機会にする。要は聴かず嫌いは損するぜという事だ。音楽好きなら苦手なものも耳に入れておこう。耳を肥やさせるのだ。私はそれを続けて1920年代のヴォードビルブルースに辿り着けた。それに辿り着くまでにジャンプブルースや、ウエスタンスウィングを知れた事は幸運だった。それらの知識を持ってして今の音楽の細部に耳を傾けるとその音が聴こえてくる。

私は良く次のような表現をする。現代の音楽はブルースが生み、ジャズと共に育てた子供達だと。

ブルースはアフリカからアメリカ南部に連れてこられた黒人間で歌われていたワークソングが元であり、それが都会に持ち込まれ西洋の音楽理論と融合したものがジャズだと私は解釈している。実際、初期のブルースとジャズのスタンダードは共通しているものも多い。

1920年代にはヴォードビルで活躍していた女優にブルースを歌わせるというのが流行る。ただし演奏はジャズだ。メイミー・スミス、ベッシー・スミス、マ・レイニーなどが代表的な歌手で、彼女らの歌はクラシカル・フィメール・ブルースとも呼ばれた。トリクシー・スミスの1922年の楽曲「My Man Rocks Me (One Steady Roll)はRockとRollを卑猥な表現として使用したとされている。

この楽曲は古くから著名だったのではなく、ロックンロール成立以後に飽くなき探究心を持つ者がその欲求にまかせ歴史を掘り進めた結果に発掘されたのだ。

少々話が飛躍したがアリスの問題に戻そう。彼らに限らず美空ひばりを演歌・歌謡に括り付けたり、はっぴいえんどを日本語ロックの創始だと決めつけるのは危険だという事だ。

ほんの少し前まではビル・ヘイリー、或いはプレスリーこそがロックンロールの創始者だった。しかし、黒人音楽の歴史が正当に整理された現代では20年代後半に登場したブギウギに祖を見出す動きが活発だ。

アリスはどうだろうどうせ四畳半フォークの〜という頭のままで聴くと新発見が多く感じられるだろう。ここにそのリストとプレイリストを示そう。

アリス・イン・ザ・フォーク・ロック・ワールド〜Alice in the Folk Rock World

Disc1
1・・・ティンカベル
2・・・何も言わずに
3・・・移り行く時の流れに
4・・・散りゆく花
5・・・愛の光 (Single ver.)
6・・・涙化粧
7・・・愛は二人で
8・・・青春の影
9・・・ルイジアンナ (Live)
10・・・さよなら昨日までの悲しい思い出 (Live)
11・・・レンガ通り
12・・・ポイント・アフターの夜
13・・・人生の道
14・・・今はもうだれも
15・・・明日への讃歌 (1975 ver.)
16・・・遠くで汽笛を聞きながら
17・・・僕の想うこと
18・・・もう二度と・・・
19・・・最後のアンコール
20・・・冬の稲妻


Disc2
1 ・・・涙の誓い
2 ・・・つむじ風
3 ・・・センチメンタル・ブルース
4 ・・・ジョニーの子守唄
5 ・・・チャンピオン
8 ・・・逃亡者
6 ・・・ゴールは見えない
7 ・・・ルート・サンシャイン
9 ・・・狂った果実
10 ・・・エスピオナージ
11 ・・・荒ぶる魂-Soul on Burning Ice-
12 ・・・マリー・ダーリン
13 ・・・ I.C.WORLD
14 ・・・ BURAI
15 ・・・アガサ
16 ・・・さよなら D.J
17 ・・・四月の魚
18 ・・・ 19の時

裏ジャケット
表ジャケット

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