バイクの操作は連続している
バイクは「傾けること」で曲がります。
曲がる時に少しでもスピードが出ていれば必ず左右に傾ける必要があります。
警察の講習会に行くと、バイクをまっすぐに立てたままハンドルだけで左右に曲がる「千鳥」という練習科目がありますが、これは歩くような速度でしかできない。
原理は簡単で曲がる時には外側に遠心力がかかるので、遠心力と釣り合うように内側にバイクを傾けなければバランスが取れないからです。
遠心力とのバランスなので速度が上がれば傾ける角度も深くなる。
レースを見ると信じられないぐらい傾けて走ってますが、もし同じサーキットを30km/hで走ればほとんど傾けてる意識なく一周できちゃいます。
ではめちゃめちゃ小さく曲がる(小さなUターンを想像してください)時はどうか。
やっぱり傾ける必要があります。
旋回半径が小さくなれば遠心力は強くなるので、クルッと小さく回りたければ傾けないとバランスが取れない。
ぼくが月例で参加しているパイロン練習では、この小さなターンが連続するようなコースを走ります。次から次へとUターンが続くイメージ。
練習ではちょっとでも速く走りたいので、右へ左へ盛大に傾けて走ります。
大したスピードが出てないのにタイヤの端まで使えるのは旋回半径が小さいからです。
前置きが長くなりました。
パイロンコースの作りは「限られたスペースに多くのターンを作りたい」という事情からどうしても小ターンの連続になります。
一旦走り出したらバイクを直立状態に戻して一息つく暇がなく、コースの終わりまでずっと連続して右か左に切り返しながら走ります。
ターンには大小があるしパイロン間の距離も長短があるので、どれも似ているけど同じターンは2つとありません。
ブレーキのタイミング・傾ける角度・アクセルの開度、みんな違うのです。
この千差万別のターンを繋げて一つのコースとして走るわけです。
ある程度テンポよく走ろうとすると、個々のターンを意識するのではなくターンを繋いだラインを意識します。
そのラインを出来るだけスムーズに走り抜けたい。
つまりバイクを左右に傾けることは一連の連続した操作になるんです。
どこかでミスすると連続の動作が切れるので、通りたいラインで走れない。
2つ3つとミスが重なるともうぐだぐだになります。
こうなるとミスなく走れるように意地になったりして延々走っちゃいます。
ちなみに、ぼくは最初から最後まで理想のラインで走れたことなんてただの一度もありません。
絶対にどこかでミスするし、躍起になって理想のラインに戻そうとすると物理的にムリが出て転倒する。
(もちろん速く走ろうとしなければ転倒なんてしないし、そこそこのスピードでも連続した操作が決まればとても満足感がありますよ、念のため)
この「連続した」と言う部分がミソで、小さなターンは連続してるから走れちゃうってとこあります。
あるターンに入る時、前のターンからの勢い(スピード)がある。
だから曲がれる。
スピードがなければバイクを傾けられないから小さく曲がれないんです。
小さく曲がるのにスピードが要る?
矛盾して聞こえるかもしれないけど事実です。
もちろん速すぎたら曲がれませんよ 笑。でも減速しすぎたらもっとダメダメです。
小さなターンを回るには「ちょうどいい」スピードが要るんです。冒頭に書いたように傾けなければバイクは曲がらないのです。
静止(スピードがゼロに近い)状態からバイクを傾けるのはとても難しい。
だから一旦止まってからやるUターンが厄介なんです。
ぼく自身が大した腕じゃないので上手く説明できてるか不安ですが、上手い人は本当に流れるように走っています。(スポーツはなんでもそうですね、上手い人は流れるように動く)
この右へ左へタイミングを合わせてバイクを傾けて、という操作は峠を走ってもサーキットを走っても同じことをしています。走ってる速度が全然違うだけ。
思い通りに走れれば満足感が大きいのもきっと同じだと思います。
ただパイロンコースでやるとリスクが低いですね。そこが最大の魅力だと思ってます。
たとえ頑張りすぎて転倒しても走れなくなるような状態にはあまりならない。
コースを1周走れば(約1分半)30以上ものターンを曲がれ、1時間も走ればそれこそ何百ものターンをこなします。
どんなに切り返しの多い峠をツーリングしてもこんなに多くのコーナーは走れないし、そもそもこんなにバイクを傾けるなんて公道ではできないですから。
半日やったらめちゃくちゃ疲れますけどね、まさにスポーツしている感じです。
パイロンスラローム、見た目より難しいけどおもしろいですよ。
ぼくはスキーやスノーボードが好きな人はぜったいハマると思ってます。
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