竹取物語をベースに、新たな歴史ドラマが誕生。舞台「輝夜姫」の世界観
久しぶりに舞台の演出をします。10年続いたハイブリッドエンタテイメントショー「魔界」シリーズが今年の3月に行われて以来、本格的な舞台演出としては2006年の「SASUKE」以来になります。
公演日は11月1日。野方区民ホールで行います。
ありがたいことにすでにチケットは完売しております。
■「輝夜姫」のモチーフ「竹取物語」
タイトルの「輝夜姫」から分かる通り、この作品は「竹取物語」をベースに作られています。
平安時代前期に成立した物語で、竹取の翁によって光り輝く竹の中から見出された少女が、美しいかぐや姫となり、やがて帝に求婚されるも、月に帰ってしまうという物語です。
日本最古のファンタジー作品と言われています。
作者もよくわかっておらず、内容に反体制的要素があることから、上流貴族で、当時の権力者であった藤原氏と対立関係にあった人間だと思われますが、諸説があります。
その説の中には、菅原道真や紀貫之など興味深い人物もいます。
■「かぐや姫」のモデルは?
これも諸説ありますが、おもしろいものとして、垂仁天皇の後宮に入るべく丹波から召し出された5人の姫のひとり、「竹野媛」がモデルになったというものがあります。日本書紀にこの記述があり、この「竹野媛」だけが、国に帰されたと記されており、この点が、「月に帰ったかぐや姫」という点と合致するのではないかという説です。
なかなか説得力のあるものです。
■竹取物語の時代設定は?
この物語に出てくる5人の貴公子のうちの、阿部御主人、大伴御行、石上麻呂は実在の人物であり、彼らはいずれも壬申の乱の功臣で、天武・持統天皇に仕えた人物であること、さらに物語の最後に表現されている富士山の噴火が、ちょうどこの時代であったことが科学的に証明されており、奈良時代初期、天武・持統期であるとの説が有力です。
■舞台「輝夜姫」の世界観
上記、ご紹介した竹取物語がベースにはなっていますが、舞台「輝夜姫」は、そのまま竹取物語をトレースしているわけではなく、竹取物語のストーリー展開の上に、乙巳の変、聖武天皇、孝謙天皇、藤原仲麻呂の変などを加えて、独自の世界を描き出します。
古代史は、権力と人間の愛憎が濃密に絡み合い、そこに宗教観が加わったドラマチックな時代です。
戦国時代や幕末とは違った、人間の物語に神話が加わった耽美な世界は、現代に生きる我々に新たな視座を与えてくれます。
■たった1日の公演
「輝夜姫」は1日1回だけの公演です。私が現在、拠点を京都においていることもあり、稽古も5日間×5時間。全員が揃うのはわずか3時間という強行軍です。ただ、8年間、月1回の新作公演を行っていたハイブリッドエンタテインメントショー「魔界」の経験もあり、稽古期間の短さとは反比例する強烈な仕上がりになっていると自負しています。今回は、すでに完売していますが、今後、再演も視野にいれています。まずは今回の公演に全力を尽くしたいと思います。
■眞邊明人のホームページができました。
私のホームページができました。インタビュー動画など、オリジナルコンテンツもありますので、ぜひ覗いてくださいませ。
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