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9.ヘブンズ


2023.07.28

Happypillsというアーティストに衝撃を受けて作ったイントロのフレーズに、簡単なベースとドラムを当てはめて作ったループを、スタジオに持ちこんだことが「ヘブンズ」の制作の始まりでした。一番最初のセッションでは、明確な方向性もなく10分近く適当にセッションをしております。2:06あたりでボーカルラインを探っていますが、音源のものとは全然違いますね。ちなみに、この時点での仮タイトルは「ビショップ」でした。

後々デモを作る際に、このボイスメモをけっこう聴き返したのですが、加藤さんの終始歪んでいるギターを聴きすぎて食傷気味になったせいか、あえてそっちには進みたくないなと思うようになっていきました。「Spin」で、ファンクっぽい方向に進みたくないと思った時に近いです。ただライブのアレンジに一番近いのは、この取り留めのなくて、粗っぽいセッションだったりします。

2023.11.16

構成をある程度組み、歌詞を書いて、デモを作成。イントロと間奏が今よりも長かったり、サビのボーカルラインが違ったりと、音源化の過程で変わった要素があります。前者に関していえば、間奏をギターソロにする想定で作っていたため、だいぶ長くなっています。

また、このとき仮で録ったギターリフのループを音源化の際も使用しています。最後まで弾ききっていないこのテイクを、音源として使用していいのか悩みましたが、結局このテイク以上にしっくりくるニュアンスが出せませんでした。仮のテイクの力の抜け具合が、この曲には合っていたのでしょう。

2024.01.06

年始のセッションで、リードのフレーズをデモに組みこみます。この日はアルバムに入れる予定の曲を全部通したのですが、「ヘブンズ」に手をつけたのが一番最後で、かなりヘトヘトの状態でした。あんまり作業進められないかなと思っていましたが、加藤さんが突然イントロのフレーズを弾き出して、天才だなと思ったのを覚えています。こういう、自分では思いつかないフレーズを、バチッと当てはめてくれる瞬間が、他人と音楽を作る醍醐味だなとたびたび思います。ただ、イントロのフレーズができて気が緩んだため、この日は1番しか作れませんでした。

ただ、イントロのフレーズは決まったものの、それ以降のフレーズがなかなか決まらず難航しました。それに加え、他の曲の制作を優先してしまい、「ヘブンズ」は後回しになってしまいます。

2024.05.23

数日前に2人でスタジオに入り、その時出たアイデアをまとめてデモに起こしました。そのため、このデモのリードのフレーズはすべて私が弾いています。

2番からブリッジミュートを入れたり、アウトロでイーボウや、アルペジオのフレーズを入れたりするなど、いろいろ試したいんだなというのが伝わります。この時入れたイーボウは音源でも使用されています。「ヘブンズ」は、その時その時のアイデアをコラージュした曲で、アルバムのなかでは最もバンドアンサンブルに重きを置いてないです。

上記のデモをもとに、なんとかギターのフレーズを作り、スタジオでマイク録音を試みます。

2024.07.20

しかし、マイク録音したものがまったくしっくり来ませんでした。悪い意味で輪郭がぼやけてて、全然パンチがないです。この時はラインよりもマイクで録った方がいいと、どこかで思いこんでいましたが、結局はどの録音方法がふさわしいかは曲によるのだなと痛感させられました。

2024.07.28

翌週、急遽ライン録りでギターを録り直すことに。加藤さんが新しく買った、ZOOMのMS-70CDR+というエフェクターを使って、音作りを一からやり直しました。マイク録音の時はシンプルなクリーントーンだったのですが、コーラスとリバーブを深くかけた音に変更しました。1週間前に録音したものよりも、圧倒的に楽器同士が馴染んでいるので、録り直して正解だったなと思います。

感想

2023年7月のセッションの段階で、この曲はアルバムの最後の方に入れることになるだろうなと、なんとなく思ってました。実際にアルバムの後半に「ヘブンズ」が入っていることで、アルバムとして締まりがあるなと思っています。

歌詞については一点だけこだわりがあり、タイトルが「ヘブンズ」に決まった時点で、”地獄”という言葉は入れようと思っていました。曲調が明るめなので、歌詞はできるだけ暗くしたいという、天邪鬼な性格が反映されています。

あと、本当にどうでもこといいですが、この曲は”金色のガッシュという漫画で、デュフォーが朝焼けを見て号泣するコマで流れている曲”を想定して作りました。

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