<第14回> コーチング例 ①ダッシュ→前屈み(まえかがみ)


ラグビーコーチとして、現場でコーチングをしていたときに工夫していたいくつかの例を紹介したいと思います。(大した工夫や経験ではありませんが💦)



私は高校生の頃に「走るスピードを速くしたい」「プレーの反応スピードを上げたい」と願い、当時は練習前後に自主練習として坂ダッシュをやっていました。

全体練習はとにかく監督が提示するメニューをこなす。そんな日々だったと思います。



指導者としてコーチングを開始したチームの練習時間は、平日(月〜金)は火曜日木曜日の週2日、1日最大90分(冬は60分)というなかなかの環境でした。


就任当初はいわゆる常識的な練習メニューしか考えつかなかったため、ウォーミングアップと1つのメニューを実施して練習終了なんてこともありました。

また、冬時間ではアップで体が温まった頃に練習終了なんてことも多々ありました。


「これはなかなか厳しいぞ、、、」


人はこういうときに「環境のせいにする→ルールのせいにする→カルチャーのせいにする」などなど考えてしまうと思います。

かくいう私も当初は思いっきりそうでした。


しかし、天気同様に雨が降っていることを嘆き、晴れることをただただ望み立ち止まっていてもしょうがない。

雨が降っている中で何ができるか、そもそも雨だからこそできることがあるとポジティブに捉える。

自分がコントロールできないものをいつまでも嘆いていてもしょうがないので捉え方を変えようと自分に言い聞かせました。


まず、最初にやったことはグラウンドにある倉庫の上にカメラを固定してコーチである私の動きを90分間録画しました。


職員室で見返してみると、私が笛を吹いて選手を集合させて水分補給をする回数が90分間のうち7〜8回あることがわかりました。


当初は90分の練習時間でグラウンド練習60分、坂ダッシュ20分というメニューを組むことが多くありました。


ここで思い切って、水分補給の機会をダッシュ練習に置き換えることにしました。


やり方はシンプルです。


そろそろ水分補給の時間だなと思うと、水分が入っているボトルを持ちながら、そろりそろりと選手から離れていきます。


そして、選手から30m以上離れたところで、「ピッ!」と笛を吹いて集合の合図です。


その瞬間、選手はクルッと私の方にターンして30m以上を全速力ダッシュ!


私の直前でストップ!


こんな具合です。


プレーをして、方向転換してからのダッシュ、そして選手がボール争奪をする地点(ラックやモール、ブレイクダウンといいます)から次の争奪地点までダッシュで移動という実際のゲームシチュエーションと同様のイメージです。



その後、「切り返し→ダッシュ」のままだと最後の「フィニッシュ姿勢」が走る姿勢で終わることに気づきました。


陸上競技ならそれでゴールなので問題ありませんが、ラグビーの場合は次の地点に到着した直後にタックルやラックに突入したり、いつでもタックルできる姿勢でオフサイドラインに並ばなくてはなりません。



そのため、選手と相談してコーチの私がいる直前まで行ったら最後は強い姿勢で屈む(かがむ)というルールに進化させました。



これで練習時間の隙間時間で「切り返し」「ダッシュ」「フィニッシュの強い姿勢」の3つを同時に7〜8回鍛えることができました。



最後に笑話ですが、

要領の良い生徒は「そろそろ先生が笛吹くな、、、」とわかると小人数ドリルの練習メニューをこなしながら徐々に私に近づいてきました。3人1組の集団がメニューをこなしながら徐々に近づいてくるのです。(笑)


また、ダッシュして最後に屈むことが習慣化されてきたので、県選抜チームの練習会などでも他校のコーチが笛を吹いて集合するときに私のチームの選手だけは猛ダッシュで屈むため、相当不気味だったようです。

当時は土のグラウンドがほとんどでしたので、「星野先生、先生のチームの生徒のせいで集合するごとに砂埃が立って、私の顔が砂まみれになるよ(笑)」なんてことも尊敬する他校の指導者の方に言っていただきました。


ここから数回は「コーチング例」シリーズを続けたいと思います。

いつも見ていただきありがとうございます。




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