自社米、醪になりまして 1
なんだか風が冷たくなった気がして、冬の気配をちらりと感じる11月末日。ようやく自社栽培した米を使ったお酒を仕込むまでに至りました。通常のお酒は2〜3週間で仕込みまで持っていけるのですが、今回は手間暇かけて(意図せずかかってしまった部分も多少あったりなんだり)50日弱。やれやれ。
昨年は試作ということで皆さんに味わっていただくことができませんでしたが、今回はいつかは分かりませんが、販売予定です。やったね。
さて、今年はどんなふうに造っているのか、昨年の反省やらを踏まえて書いていこうかなと思います。
昨年のお酒の出来について
昨年のお酒造りについては以下の記事に詳しく書いてあります。
その後も貯蔵して味の変化を確認していたのですが、どうも白ワインのような立ち香は感じなくなりました(試験的に加温熟成させたのがたまたまそう感じただけなのかなんなのか)。また目的としていた芯のある酒にはなりましたが、低精米のお米の割合が増えると下に残る重さが徐々に気になって、良い香りの余韻が楽しみ辛くなっていきました。香りや味わいは多面的で面白いのですが、もう少し呑みやすく、弊社特有の綺麗で柔らかい面も感じられたらいいのかなと思いました。
米の出来
今年は倒伏も虫害もなく昨年よりも良い出来だろうと思っていたのですが、もう少しタンパク質減っていてくれたらなぁという出来でした(昨年は7.9)。慣行栽培では5台になるものもあるので、それくらいを目標に今後作っていければなぁと思っています。
ただアミロースは圧倒的に高く(昨年は18.2)、田植えを遅らせたことで登熟期の平均気温を抑えることができたことと登熟期に夜間の掛け流しをおこなったことが要因ではと思っています。
あと未熟粒が多いですね。これは何故か遅れて出てくる穂が多かったためかと思います。
ということで今年の自社米は『キレイにはなりにくいけど、とっても溶けやすくボリュームのあるお酒になりやすい』お米になりました。
仕込み設計
昨年の試験醸造の結果と自社米の出来を踏まえて、以下のような設計でお酒を造ることにしました。
精米歩合: 基本50%(慣行)、一部80%(自社米、
添・仲仕込みの掛米で使用)
麹 : 酛のみ2日製麹、残りは3日製麹
酛 : 生酛
酵母 : 7号
醪 : 低温長期発酵(予定)
昨年の試験醸造酒で1番面白いと思った設計をベースにしています。大きく変わったのが精米歩合で、自社米の箇所を90%から80%にしました。今年の米の出来を考えると、米に含まれるミネラルは減ってしまいますが、やはり少しは削った方が良いという結論です(悔しい…いつか90%でお酒を造れるクオリティにもっていきたい…)。
実際の酒造りの様子は
次回へつづく。