初めて前撮りを頼まれた日に読む話
結婚式の前撮りについて、依頼を受けてから撮影するまでの流れをまとめてみました。
依頼を受けたカメラマンはもちろん、撮影を頼んでみたいと思っている方にも参考になるかもしれません。
僕はプロカメラマンではないので、あくまでもアマチュア目線での話です。
※プロカメラマンひしめくブライダル分野の話なので、防衛線を張らせてください笑
1.はじめに
前撮りは人生の大切な1ページを記録する責任あるお仕事です。
依頼を受ける場合は、きちんと有償で受けましょう。
無償での撮影が悪いとは言いませんが、クオリティが求められる依頼の場合は、カメラマンとクライアントがお互いに責任をもって撮影に取り組むために適正価格で依頼を受ける方が良いと僕は考えています。
どんな分野でも言えることですが、無料や低価格が正義ではありません。
無償撮影のデメリットを少しだけ書くと、
・カメラマンもクライアントも甘さが出て、作品のクオリティにムラが生じる。
・結果としてクライアントの満足度、カメラマンのブランディングに悪影響。
価格設定ですが、
枚数換算、時給換算、金額固定など色々な考え方があり正解があるわけではないので、それは自身のクオリティやニーズに応じて設定してください。
ただし、価格が安いからレタッチのクオリティを下げるとかそういった設定の仕方をしてしまうと双方にデメリットしかないので、あくまでも自分の写真の価値を下げないスタイルは忘れないでください。
僕は前撮りの場合は、1日単位の固定金額(納品70枚以上)で依頼を受けています。
少し話が逸れましたが、次項目からは結婚式の前撮りについて、より具体的に話していきます。
2. 前撮りまでの流れ
カメラマンが撮影当日までにやっておくべきとは以下4つです。
①ご夫婦と作品イメージを共有する
これが一番大切です!
まず、どんな写真を撮って欲しいかイメージを教えてもらいましょう。
どんな写真が良いのか言葉だけで共有するのは難しいので、事前にインスタやPinterest、雑誌の切り抜きなどで作品のイメージを集めておいてもらいましょう。10枚は欲しいところ。それくらいの枚数があると、ご夫婦の好きな写真の系統が見えてきます。
その写真をもとに以下の4つを中心に撮影内容を詰めていきましょう!
1.ロケーション
例えば海外の大自然がバックの写真などを見せてくれる方もいますが、現実的にいける範囲だとこのくらいイメージが変わるということを事前に伝えましょう(時間と予算が許せば海外ロケ行けたら最高ですが!)
2.画角や機材
カメラマンが使用可能な機材の域を超えている写真が混ざっていたら、潔く“これは撮れない”と伝えましょう。例えば僕は35mmより広角を持っていないし、借りても24mmまでしか作品の質を担保できないので、超広角で撮ってほしい場合は要相談となります。
3.メイク、ヘアセットについて
作品の印象に大きな影響を与える大切な部分です。特に屋外撮影ではヘアスタイルも乱れがちなので、可能ならヘアメイクさんにもチームに入ってもらいましょう。(実際にいるとめちゃくちゃ心強いし、できれば入ってもらった方が良い)
カメラマンとして、そういう繋がりは日々大切にしていきたいものです。
4.レタッチの系統
これも事前に聞いておいた方がいいです。依頼を受けるからには、カメラマンの自己満の肌色が破綻しているようなレタッチは論外です。SNSの写真と前撮りの写真を混同しない方がいいです。
海外風、フィルム風、スタンダードなど好みを確認し、自分がどこまでできるのかきちんと伝えましょう。
②信頼関係の構築
普通は、初対面のカメラマンに対して、撮影時にナチュラルな笑顔を見せることは難しいです。
僕は①のイメージの共有はなるべくご夫婦2人に直接会って進めるようにしています。お互いの空気感を知っておくことで、撮影当日の入りがかなりスムーズになるからです。
直接会うのが難しい場合でも、zoomなど使って撮影に関する疑問点を解消しやすい環境づくりを工夫しましょう。
こういう細かいところまでできるのが個人カメラマンの強みだと思いますので、頑張ってください!
そして、何より一緒に作品作りができていることを楽しみましょう!
クランクアップ後のオフショット
(左から新郎.新婦.カメアシ.ヘアメイクさん)
③ロケハン
撮影当日に効率的に動くために、なるべくロケハンにいきましょう。
当日は、撮れ高、ご夫婦の体調、ヘアスタイル、タイムスケジュール、気にすることが盛りだくさんなので、事前にできることはしておいた方がいいです。
当日と同じ時間帯(⇦ここ重要)に、エアー前撮りを行って、撮影スポットを絞り込んでおいてください。
とはいえ、遠方の場合はロケハンができないこともあります。そういった場合はGoogleマップを事前に見ておくこと、当日タイムスケジュールに余裕を持つことをおすすめします。
④タイムスケジュールを作成
撮影の優先順位を決めてそれを元にスケジューリングしていきましょう。
メインどころは撮影に慣れた中盤以降に配置しておくと良いです。
実例でお伝えします。
依頼内容:「夫婦の思い出の地である永平寺と千里浜で撮りたい。あと田舎らしい風景でも撮りたい!」
その3スポットの優先順位は
①千里浜
(夕日をバックに車と撮りたい!)
②永平寺
③田舎の風景
永平寺と千里浜は車で1時間半と結構距離があったので、少し余裕を持って千里浜の日の入り2時間前には到着するように以下のようなスケジュールを組みました。
【撮影スケジュール例】
11時
集合場所、当日の流れを確認
12時〜13時半
永平寺での撮影
↓ 移動中に田舎スポット厳選
14時半〜15時半
田舎スポット撮影
↓ 移動 車内で最終打ち合わせ
16時
千里浜到着 小休憩
16時半〜18時
千里浜での撮影
メインの千里浜での撮影時間に余裕を持っておくことで、日の入り前後に良いショットがたくさん撮れて、ご満足いただけたようでした。
3.撮影当日
・出発前に忘れ物がないかチェック
⬜︎カメラ
⬜︎レンズ
⬜︎バッテリー、予備バッテリー
⬜︎SDカード、予備SDカード
⬜︎手鏡
⬜︎レフ板(必要な方は)
⬜︎ストロボ(必要な方は)
いよいよ撮影が始まります!
入念に準備したタイムスケジュールに沿って撮っていきやしょう!!
撮影中はご夫婦の疲れ具合や体調にも気を配ってください。
外で撮られるって想像以上に疲れることですから、ご夫婦のペースに合わせて無理なく撮影を進めましょう。
・撮影のコツ
この記事では、“前撮りまでの流れ”がメインテーマなので、細かい撮影ハウツーは省略しますが、僕が気をつけていることをいくつか紹介させてもらいます。
・構図
慣れないうちは、同じような構図、距離感の写真ばかり撮りがちです。
【寄り、引き、ドン引き】の3つの距離感をベースにして、さらに【正面、上から、下から】撮る高さを変えてみましょう。
これだけで撮れ高が数倍になります!
・バリエーションを増やす
ご夫婦で話しているところ、休憩中のちょっとした一コマなど、オフショットも撮っておきましょう。
(事前にオフショットも撮ることは伝えておきます)
あとは、パーツ撮りも忘れずに。2人の手元、足元、影など、とにかく写真に収めておきましょう。パーツ撮りはトリミング前提で広めに撮っておくことをオススメします。(パーツ撮りに時間をかけてはもったいないので、あくまでもサッと手早く撮りましょう)
・自信を持って撮影する!
撮影中は自分が最高のカメラマンであると思い込んでください!
(この記事のこんな最深部まで読んでくださる勉強熱心な方は実際に最高のカメラマンだと思いますが)
撮影中に決して不安な表情はしないようにしてください。癖で首をかしげたりもダメです。
“バッチリ撮れてます”ということを態度で示して、相手をノリノリにしていきましょう!
僕も撮影中は普段より二段階くらいテンションを上げています笑
・とにかくたくさん撮る
2人を撮ると目つむり写真発生確率も2倍です。
後から選抜すればいいので、全シーンで必ず複数枚ずつ撮っておいてください。
4.撮影後の話
撮影お疲れ様でした!
写真は撮影5割、レタッチ5割です。
撮影が終わってからも勝負は続きます!
膨大な枚数の写真から、良いショットを厳選して、ひたすらにレタッチ、レタッチ、そしてレタッチ、、
人生の大切な1ページを飾る写真なので、気が抜けません。
レタッチが完了したら一晩寝かして、翌朝見ても色や構図に違和感がなければOKです!
(これは僕の自分ルールなのですが)
依頼主側にも知っておいてもらいたいことですが、レタッチはかなり根気のいる作業で、撮影の数倍の時間がかかります!
じっくり待ってあげてください
以上です!
長くなってしまいましたが、
前撮りを頼まれた時に読む話はこれにて終了です。
いかがだったでしょうか?
以前、僕自身が初めて撮影依頼を受けたときに、参考になる情報があまり見当たらなかったので、こんな記事を書いてみました。
少しでもお役に立てれば嬉しいです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。