カーボンオフセット価格、2029年までに3000%上昇の可能性も
こんにちは、佐藤です。
この記事を書いた26日は、東京の都心では最高気温が6月としては観測を始めてから最も高い記録に並ぶ36.2度に達しました。
記事を書いた日では、過去に6月に2日連続で猛暑日となったのは初めてとのことだったんですね。
おそらく原因はラニーニャ現象。今年は厳しい夏になりそうですね。
「ラニーニャ現象が起きた夏は、日本付近で高温になりやすい。8月の平均気温が北・東・西日本で統計開始以降1位(当時)を記録した2010年も夏にラニーニャ現象が発生し、日本など北半球中緯度域の気温が非常に高くなった。」
普通に過ごすのも大変な感じですね。
屋外もそうですが、屋内で冷房が効いている部屋でも乾燥していると体から水分は出ているそうです。
かくれ脱水症や熱中症にならないよう、こまめな水分補給でこれからの猛暑を乗り切りましょう!
今回の猛暑がどのくらい人由来の影響による事象なのか?はわかりませんが、世界は確実に温暖化阻止の方向性を強めてきています。
しかし、現在のスケジュールでも目標の突破は厳しいのではないか?との声があるのも事実。
温室効果ガス削減量が不足した場合、カーボンクレジットを購入してオフセットするしか無いのが実情です。
カーボンオフセット価格、2029年までに3000%上昇の可能性も
ブルームバーグ ESG & サステナブル・ファイナンス 市場担当のJagteshwar SinghとTiffanie Tan 執筆
タイトルにある「カーボンオフセット価格、2029年までに3000%上昇の可能性も」というのはこのような背景により後押しされているのかもしれません。
課題はカーボンクレジットを取引する市場は、気候変動に対して各国に責任を負わせる世界的な規制の取り組みに大きく左右されること。
ボランタリークレジットの供給過剰になるため、カーボンクレジットの価格は上昇するが、時間がかかるといっています。裏を返せば間違いなく価格は上昇するということ。
また、カーボンリムーバルはネガティブエミッション技術が肝になります。
・植林・再生林・バイオ炭・土壌炭素貯留・BECCS・ダイレクト・エア・キャプチャ(DAC/DACCS)・風化促進(鉱物による固定)・海洋肥沃(海藻・海草類等による固定化)・海洋アルカリ化等があります。
赤枠で囲った土壌炭素貯留。
4/1000(フォーパーミル)イニシアティブ「不耕起栽培は世界を救うか」でも紹介させて頂いた記事でも書かせて頂きましたが、土壌の炭素ストックをいかにためることが出来るか?が鍵となっていきます。
土壌炭素貯留の項目に認証されることもとても重要です。土壌再生がネガティブエミッション技術として項目化されることで、大きなチャンスと地球再生の可能性が広がります。課題・問題をビジネスで解決するソーシャルビジネスとして、期待できる事業となりますし、SDGsの達成への追い風にもなるでしょう。
土壌は本来であれば自然に循環し大気と水分のバランスをとってくれるものなのですが、人間が活動する上で抱えないのが食糧です。人間はいつしか畑を耕すことを覚えます。
食糧が豊富になれば人は集まります。集まると必要な食糧が増え続けます。増えるということは耕すために耕起、つまり土を掘り起こしてしまいます。
堀りおこされた土は乾燥しやすくなるので、水を与えなくてはなりません。
水源から水を引き、対応します。
水源の枯渇は食糧を作る事が出来なくなります。
そのような土地から人はより良い土壌を求めて移動します。
そして、掘り起こされた土は乾燥しやすく、雨が降っても流れてしまうだけで水を含むことも難しいものになっています。
水の保水には団粒構造が必要ですが、掘り起こした土壌は簡単には復活しません。
このような生活を人類は何千年もの間、続けてきた結果、砂漠ができて広がっています。
古代の高度文明のあとには砂漠が広がっています。
メソポタミアは、麦などを収穫しており、生産高を増やすために灌漑農業などに影響。
中国は製鉄技術の発達といわれており、製鉄の際、森林伐採し、木材を燃焼させて今したが行き過ぎた結果。
エジプトも元々は緑あふれるオアシスでしたが、人口の増大に対応するべく農地も拡大した結果。
砂漠化が進むことで、水を求めて大河に集まざるを得ない状況もあったのかも知れません。
農業の他に動物の家畜化なども大きな要因があります。
近代では、第一次世界大戦時、毒ガスの研究から生まれたアンモニアや窒素を空気中の窒素分子から精製するハーバー・ボッシュ法によって化学肥料が生産された。これにより大規模農場運営が世界で広まりました。
未だ人類は大規模農業なしに生きてはいけないサイクルで生かされていますが、ハーバー・ボッシュ法の影響は川や海、空気中、水中へと大きな負荷がかかっています。相当な量の工業的窒素固定により生産されるアンモニアや窒素酸化物が微生物や環境へ与える悪影響についてはよく分かっていないそうです。
古代から人類は生きるために知らずとは言え、地球をじわじわと破壊しているという事実ですが、最近ようやく土壌の研究が盛んになってきており、どうしたらバランスが崩れた土壌が回復するのか?という解決策も見えてきています。
その解決策は微生物にあるというのです。
人間の体は微生物が支配している…そんな話を聞いたことがないでしょうか?
私たちの体には100兆個を超える微生物が存在します。人体を構成する細胞の数が37兆個ですからそれより多くの微生物と生活を共にしています。
では地球に生きている微生物の数ってどのくらいいるんでしょうか?
正解は「415〜615×10の28乗」
10の28乗とは【穣】のことです。
415〜615穣の微生物が存在し、その種類は1兆種以上いると言われています。
それにしても【穣】…
分かりづらいですね。こちらをご覧下さい。
穣がいかに大きな数字かがわかります。星の数億倍あるとのことで、宇宙より広い世界とも言えます。
重量に例えると人間の1,000倍以上重いそうです。
地球は微生物の惑星といってもいいかもしれません。
土壌に棲む微生物が植物を育て、人はそれを咀嚼し体内に取り込みます。取り込まれた植物は体内の微生物によって分解されて栄養として吸収されていく。人は微生物のための運搬係ということが想像できます。
ちなみに土壌の微生物はまだ1%も解明されていないそうですが、地球上の微生物の一覧をつくるプロジェクト「アース・マイクロバイオーム・プロジェクト(EMP」ではすでに30万7,572個の配列を特定してあるとのこと。
終わりなきプロジェクトといわれているそうです。
これは量子コンピュータで対応できるものなのか分かりませんが、遺伝子も昔は同じような事をいわれていましたので、案外出来てしまうのかもしれないですね。
解析はもう少しかかりそうですが、土壌の可能性が凄そうなのは分かってきました。
しかし、土壌のポテンシャル分析はまだまだこれからのものですが、動きは出てきています。
カーボンニュートラル(炭素中立)」に向けた動きが世界中で加速
CO2排出量を実質的にゼロ(ネット・ゼロ)にする「カーボンニュートラル(炭素中立)」に向けた動きが世界中で加速しています。
日本は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」(以下、グリーン成長戦略)を目指す宣言(2030年度の温室効果ガス排出量46%削減※1)をし、同年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
エネルギーの供給側・需要側の双方の課題を整理するとともに、産業構造の転換や技術革新などによって脱炭素社会を実現するための針路を示しました。
グリーン成長戦略では、これまで経済成長の制約やコストとされてきた温暖化への対応を「経済成長の機会」と捉え、産業構造や社会経済に変革をもたらすという期待も込められています。
カーボンニュートラルによりあらゆる産業活動が変革し、経済と環境の好循環が生み出されていく(イメージ)
グリーン成長戦略では、成長が期待される産業として14の分野が選定されています。
グリーン成長戦略で示した14の重点分野
ロードマップを見てみますと、
カーボンニュートラルを実現するには、電力部門の脱炭素化が大前提で、非電力部門は、電化や水素化などCO2を排出しないエネルギーへの転換が必要です。
2018年の電力・非電力部門あわせて10.6億トン排出していたエネルギー起源CO2を、2050年には実質排出0トンに。
いかにオフセット(相殺)出来るか?が鍵となりますが、企業努力でもどうしても足りない部分はカーボンクレジットの購入でオフセットしなくてはなりません。
カーボンクレジット、2021年は前年比5割増と世界銀行がレポートしています。2022年5月24日、カーボンプライシングの現状と傾向 2022年
では、特に先進国で記録的に上昇したとあります。
先進国は経済活動の拡大と温室効果ガス削減を同時にする必要があります。
しかし、革新的技術が開発されたとしても導入して実績を出すには時間もかかります。足りない量はクレジットを購入するしかありませんが、目標に対する足りない数値と現在、削減され販売されているクレジットとのバランスは需要が拡大している分、価格も上昇して行くことは明白です。
ネガティブエミッション技術、特に土壌に対するポテンシャルはまだまだこれからですが、確実に土中に炭素量を増やしている技術があります。
それが、八百結び農法による土壌再生です。
八百結び農法は育成された収穫物に良い影響を与えるだけでなく、土壌の残留農薬もなぜか除去しているという結果も出ています。きっと数え切れない微生物が喜んでいるのだとおもいます。
土壌の団粒構造がしっかり微生物や生物によって作られると大地にしっかりと水が含まれ保水してくれます。弱った大地の復活は異常な気温も吸収してくれるハズ。
土壌のポテンシャルを高めることこそ、地球を、人類を救う事に直結すると信じています。
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