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ロズタリア大陸2作目『その6』

『聖戦後の末裔』

「つーか、レイフや元王太子さんは賢者がどんな存在なのか?知らねぇだろうから説明するわ」
長くなるけど……と、前置いてアーシュが説明し始める。
「始まりはいまからニ千年以上前の聖戦までさかのぼる。
今までは女神アイラと共に夫婦仲良く平和に大陸を統治していた男神が、ある日突然『人間ばかり繁栄させるのはダメだ』と言って破壊神となって大勢の魔物を生み出し、大陸に住む人々を襲わせた。
当時、レジタンスとして細々と戦っていたのがレイフのご先祖様と王太子さんとこの勇者ウィルヘルム。
んで、ウィルヘルム達と行動を共にして、どうすれば戦闘を有利に行えるか?
被害を抑えられるのか??
知略の限りを尽くしたのが学術都市と魔道都市を作った賢者シェヘラウィード」
そこまで話して、アーシュは一旦、飲み物を一口飲み、話を続ける。
「ホルステッドやウィルヘルムは一代限り!の英雄、女神アイラから授かった神器は代々、その土地の守護精霊達と【盟約】という形で存続、受け継いでいくことになった。
レイフ、ここまではいいな?」
「うん。
実際、女神の盾ガレス・スィード が保管、現存されていたのを目撃、体験してるからね」
毎年、夏の建国記念日に公国守護すべく志半ばで亡くなられた兵士を弔う行事を執り行っている施設の近くの村に秘蔵されていた。
レイフは数年前、ひょんな事からうわさ話を聞き、自身が溺愛して止まない公妃と共に自ら発掘しにいった。
そして守護精霊から、いくつか受け継ぐに相応しいか?試練を出題され、見事【合格】判定を貰っているのだった。

シャールヴィは思わず、過去の経験から率直に尋ねた。
「なぁ……盾見つけたあと、変な夢みたり、翌日ものすご~く、ぐったりしなかったか??」
現在は腰に差して元の長さに戻っているが、商業都市で偶然、入手したへにょへにょのおもちゃ?
成れの果てをシェドの言う通りに枕元に置いて就寝したら【エライ目】に遭った!
気持ち悪いから、その日以降、今はこの場にいないローザという不思議な少女の故郷に預けて修理してもらった。打ち明けたのだった。
どこか意外そうにシャールヴィを見つめながら、レイフはそういう目には遭っていないと答える。
「発掘の時はアーシュやフィン、その他うちに駐屯中の魔道師数人同行して貰っていたからね。
アーシュ曰く【すごく魔力使ってる】
だから自分達で補給しとく!って言ってくれたから、そのまま預けたんだよ」
全然、金属らしさを感じない!
魚の干物みたいにペランペランで軽かった。
当時のやり取りをかいつまんで伝えた。
「その代わり、ここ最近やたらとシュテール山が噴火したり、大きな地震が起きて住民達が逃げ惑う夢を何度も視続けているかな??」
アーシュに相談したら、予知や警告夢の類いだと教えられた。
公国として現在、備えている最中だとも教える。
若干、残念そうにシャールヴィが反応する
「そうか……
俺の場合、いきなり言う通りにするんじゃなくて、最初から範疇外だと言って、ローザに預けちまえば良かったんだな……」
末裔同士の軽い感覚に後ろで話を聞いている魔道師のフィンがなんともいえず困惑気味に瞳を瞬かせる。

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