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天職と適職のあいだ

自分の適性を見極めて、適職と出会いたい。
できれば、天職を。
一度は思うことではないでしょうか。

私はキャリアカウンセラーの資格取得をきっかけに、
たくさんの学生、社会人の方のキャリアに触れる機会がありました。

そこで、適職を見つけている人、
適職がわからず迷っている人、
そして、これぞ天職と日々邁進されてる人を
色んな機会に見てきました。

現代は法律上、定年退職するまで男女平等に働く機会があります。
良くも悪くもそういう社会になったのです。
そして一日の大半の時間を費やす仕事に意義を見つける必要が出てきたのも自然の流れではないでしょうか。
家族のため、生活のためだといえども、毎日毎日自分の人生を注ぎ込む仕事。何か「理由」がなければできません。
その理由が見つからないと適職や天職という言葉に惑わされて
悶々とした社会生活を送るようになります。

私も自分のキャリアで随分悩みました。
そして、仕事やキャリアのことを少し研究するようになったのです。
どうして、現代社会では私も含め社会的な居場所を見つけきれない人が多いのだろうかと。
工業化の流れで人の仕事もだいぶ変わってきました。
江戸時代は今よりも何千という職種があったようです。
機械化されて人間ができる仕事も昔と比べると減っています。
その傾向は今後どんどん加速していくでしょう。

長いアメリカ生活の中で、キャリアで悩んでいるアメリカ人にあまり会ったことがありません。もちろん、給料が安い、税金が高い、労働時間が長い、休みが少ない、というような不満はあります。
ただし、今の仕事が自分にあってない、という表現はしません。
みんな、淡々と自分の仕事をこなしています。好きでも嫌いでも。
できなければやらない。やりたかったらやる。ただ、それだけのこと。
仕事は個人主義であるがゆえ、誰かに与えてもらうのではなく、
自分で掴みにゆくという考えがあります。
日本で「適職」を求めている人を見ると、やはり受動的な考えがある方が多いと感じます。
アメリカ人は誰かに決められることをとても嫌がるので、自分の適職は自分で決めます。あとは自己責任。
日本人は主体性が乏しく、判断が苦手です。これは良い悪いではなく、そういう文化で生きているから、そうなるのは当たり前のことなのです。
空気を読む、阿吽の呼吸なんていう言葉があるくらい同調意識が高い文化を持っています。なので、その反面として自己主張をする考え方がキャリアにおいてもないのです。
昔の終身雇用は日本の文化が作った社会の流れです。それが良いとか悪いとかの議論はさておき、会社のために働き、その会社で一生お金を頂くというシンプルなキャリアです。
そして現代のキャリアは、誰のために働くのか、何のために働くのか、
何をして働くのか、どこで働くのかという色々な要素が混ざって複雑化しています。女性の社会進出もその要素に大きく関わっています。
女性のキャリアについてはまた別の記事に書いていきたいのですが、
多くの人のキャリア形成はその人の環境やその時代背景に大きく起因します。
医者の子供が医者を目指すことが自然なように、育った環境がその人のキャリア形成の基礎を作ります。
自己分析などを深掘りしていくと、幼少期から小学生くらいまでにキャリアのきっかけになるようなことが起こっていることが多いです。

キャリアは仕事だけではなく、その人の育った環境や生き方を反映するものだと考えています。就職、転職、資格取得、転勤などに限らず、家族の在り方や定年退職後も続く未来設計だと思います。

適職と天職の大きな違いは、選択肢の違いだと思っています。
適職が見つからないのは選択肢が多すぎるからです。
世の中にあるたくさんの求人の中から考えて見つけなければいけないからです。
天職(どちらかというと職人のような人)は置かれた場所で与えられた仕事をしているだけだということ。一つ一つの仕事に向き合い、お給料の文句も言わず、できることをできる限り全身全霊でやる。
なので、仕事そのものではなく、その人の仕事における覚悟が
天職を作り出しているのではないかと思います。

自分にはもっと良い環境がある、この仕事は向いてない、
職場の環境が良くない、など言っている間は
天職どころか、適職もありません。

厳しい話になりますが、仕事に運命を見出したい人ほど
自分にはもっと違う使命(仕事)があるはずだと思う。
そして現状がうまくいっていないと疲弊してしまう。
ただ、運命や宿命を信じるのであれば今の置かれた状況こそが
運命であり、使命であると知るべきです。

精神的な話になってしまいますが、
結局、適職と天職のあいだにはその人の覚悟しかないのだと思います。

本当に天職を見つける人生を送りたいと思うのならば、
覚悟とある程度の犠牲を承知の上で体当たりするほかないのです。
それで玉砕しても、それもまた運命。

読んでいただきありがとうございます。





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