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to be continued 鉄彩@北府中

府中市晴見町の「鉄彩」が移転するというニュースを耳にした。

https://ameblo.jp/meetingood/entry-10218851764.html

私がこの店に初めて入ってからもう11年になるのか。店は開店して16年だそうだ。移転するというニュースを11月下旬に聞いて以来、実はたびたび店の前まで来てはいたのだが、なかなかタイミングが合わず営業中の表示を見ることができず。12月某日閉店とのことで、ヤキモキしていた。最初に訪れた時は店に入るのをあれほど躊躇ったのに。


相変わらず一見には開けづらすぎる扉を開け、店主に久闊を叙する。3年ぶりくらいの訪問になった。

府中の店では最後となるであろう注文は思い出の「隠れ家ライス」にした。

オムレツは鉄板の熱を十分に吸ってふわっふわ。牛肉のたっぷり入ったソースも実に贅沢。ううむ、さすがだ。

店は静岡県川根本町に移転する。なぜなのかたずねたら、かつて府中市美好町で和食店をやっていた(私も入ったことがあるが)夫婦が、現在はそこで民宿を営んでいるのだそうだ。それで店主も行ってみて、自分もここに移ろうと決めたという。それ以外に縁は何一つないそうで、ずいぶんと思い切ったものだ。組織人根性の、すっかり身についた私には、とうていできることとは思えない。

田中芳樹『銀河英雄伝説』を読んだことのある人なら、「三月兎亭」のウェイターのあのセリフを、思い出さずにはいられないだろう。

「おかげさまで、こういうご時世ではありますが、レストランやホテルの存在しない社会体制というのは、それこそ存在しませんからね。技倆のいいコックは、どんな社会でも食いはぐれることはありませんし、不謹慎ながら、戦争だの亡国だのを気にしてはおれません」(『銀河英雄伝説5 風雲篇』)

移転後も店名はそのままのつもりだという。そうでなければ見つけられませんからね、と私が言うと、「いや、あなたなら店名なんてわからなくたって見つけ出すでしょうが」と店主に言われて呵々大笑。そう、さすがによくご存知だ。名店の匂いをかぎわけるのは得意中の得意ですからね。たとえ行ったことのない土地であったとしても。

川根本町はあの有名な大井川鐵道の通る町でもある。静岡は普段は通過するだけなのだが、これで降りる理由ができた。喜ばしいことだ。

府中市晴海町では12月20日まで店を開け、移転先での開店は来夏の予定という。

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