劇場と文脈 台形@国立
国立・富士見通り「台形」ついに訪問。営業日が非常に少なく、1日に入れる客も数人×2回転。季節の初めに3ヶ月分の予約をメールで受け付ける。予約は第5希望日まで書けるが、私は初めて予約しようとした「秋の台形」には第5希望日まで書いて落選。今回「冬の台形」の第3希望日で予約を取ることがかなった。
コース制でワインも予めペアリングしてくれる。日本酒もそうだが、私は店に選んでもらう方が断然良い。
メニューには食材のみが書いてあり、何が出るかはお楽しみという趣向である。
まず大根のスープ。
ホースラディッシュと麦味噌・いしりが乗せてあり、途中で混ぜながら味の変化を楽しむ。ラーメンによくあるヤツだな。そして美味い。温度・粘度ともに実に丁度よい。ウンウンと、何度も頷いてしまった。これは良い。
2品目は帆立・真鯛と蕪・蓮根のサラダ。
金柑とエリンギも加えられ、ミカンのソース付きという念の入った爽やかさ。ペアリングされたワインも白のやや濁りやや炭酸入りで非常に合う。
3品目は海老のグラタン。
海老の殻を砕いて南瓜とナツメグ、ターメリックを混ぜてかけたものという。魚屋の家に生まれ、割烹の子として育った私は齢46にして生まれて初めて海老を頭まで食べた。この店をそれほど信頼したということだ。
メニューを見て気になっていたことがあった。4品目と5品目が「岩手鴨」「黒毛和牛」で肉×肉である。私は全然違構わないというか嬉しいけど、文脈はどうするつもりだろうか。
4品目が出てきて驚いた。
茄子じゃん!茄子に岩手鴨と帆立を包んで蒸したという。「これは不意打ちぢゃ」「しかし嬉しい不意打ちやわ」(テレビアニメ版『美味しんぼ』77話より引用)。ソースは浅利と山椒と聞いたが、なんでこういう緑色になるのかは、私にはわからない。そしてまたこのワイン、岡山のものというが、ベリーの味で心地よい甘やかさだった。
ならば5品目は普通に黒毛和牛が出てくるのかと思ったら、甘かった。
白玉粉で和牛を包んだという。いやあ、見事だ。白玉粉というと、私の故郷新潟県加茂市には渡英商店という白玉粉の名店があるが、さすがに関係ないだろうなあ。ミモレットがかけてある。
最後にデザートとミントティーをいただき、完全な満足のうちに退店した。飲物も含めて税込11000円。これなら安いのではなかろうか。
沖縄・玉城の「胃袋」を思い起こさせる「劇場型」の料理店。必ずまた来ねば。
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