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亜熱帯林の中の劇場 胃袋@沖縄・玉城

今回の沖縄滞在で最も楽しみにしていたのは、この「胃袋」を訪れることでした。宿からナビを頼りに歩くこと3kmほど。

全行程のうち、かなりの部分が上り坂。

景色が良いのはいいことだ。だが、私がここまで来るのにどれほど苦労したことか。GoogleMapは良いよなあ。そこを行けと言うだけだもの。

下り坂は下り坂でまた憂鬱。帰りは上りになりますからね。街灯は皆無で、来た道をそのまま帰るのは無理だと理解できました。

わりと時間に余裕をもって宿を出たつもりでしたが、開始時刻の1730の3分ほど前にようやく到着。この日は3組限定で、私以外にはご夫婦と、女性2人連れが既にご着席。

私のハロウィンの始まり。

店主である関根麻子さんに、この店をどのように知ったのか聞かれましたが、憶えていません。憶えているのは、2年前、お店に予約の電話を入れたときに、関根さんから、非常に申し訳無さそうに、その日はお店が夏休みであることを告げられたことです。

現在は予約の仕方が変わり、お店のInstagramでの告知に合わせてメールで予約する形式に。私は東京からの一人客なので、断られても仕方がないかなと思っていたのですが、意外にも来店OKの返信が来て小躍り。11月は多くの予約が入っていたそうで、幸運でしたね。

鶏とカシューナッツのペースト。シイタケとクレソンとゴーヤとヨーグルトも。

藤澤農園「待てば甘露」という白ワイン。

芋と牛乳のスープ。胡椒の葉。かなり温めでひたすら優しい。今回のコースの中では私にとっては最も印象的。

シチューマチという魚の身とミョウガ、シャインマスカット、バルサミコ。

豚肩ロース・腕肉をごく少量のワインで3時間ほど蒸し焼きにしたものとか。リンゴすりおろしソース。

パン付き。このパンはこの記事の中の宗像堂のパンだったのかな。味も歯触りも1週間経った今でも口が覚えているほど美味しかった。

ここまででけっこうなボリュームだったので、パンは持ち帰りできますよと関根さんが他の女性のみなさんにはお聞きになっていました。巨躯の私は聞かれませんでしたけどね。形式より実質重視の関根さんらしい。私はむしろ聞かれないことを期待しておりました(笑)。

料理については提供する度に関根さんが簡単に説明してくださいます。それを聞いていると、彼女が如何に食材を信頼し、それを活かそうとしているかがわかります。自分はほんの少し手を添えているだけだという意味のことを、何度も仰っていました。食材は沖縄地場のもの。器もすばらしい。

カウンター席に一人座ったのですが、正面は全面ガラスで、亜熱帯林が広がっています。この日の玉城の日の入りは1748でしたから、時間の変化を楽しめました。

パイナップルと青紫蘇のジェラート、ホーリーバジルのお茶をいただいて私のハロウィンはお終い。

いや期待した以上。本当にすばらしかった。

ああ、俺の人生にこの店での体験が加わったことを、俺は後々まで忘れないだろう。そしてまた必ず訪れねばならない。

完全な満足を反芻しながら、3kmの夜道を宿へ。次に来るときも徒歩でしょうね。私は懲りるということを知らないからな。

胃袋

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