"The King Is Always Above the People" Daniel Alarcon (Riverhead)
『いかなるときも王は民の上に』 ダニエル・アラルコン(リヴァーヘッド社)
本書に収められた各篇には相互に密接なつながりがあり、「混乱の感覚」によってひとつになっている。
主に男性である主人公たちはさまざまな主要都市を移動しながら、そこから逃げ出すことやその場所を受けいれることを強く望んでいる。
最も短い篇では、ある月のないたった一晩のうちに何千もの人々が急ごしらえの町をつくる。最も長い篇は、都市で育った父子がかつて暮らした故郷の町の友人たちの前で横柄にふるまう話だ。「地形というのは偶然なんだ」ある登場人物は言う。「生まれた場所というのは一番最初に逃げ出すところにすぎない」
馴染みのない地域、都市、国へ移り住む際に伴う自惚れと喪失の感覚をアラルコンは痛ましく描く。
The NewYorker [January.22. 2018]