青帯

「集合写真を撮って、空港で送迎した後帰宅やな。」そう考えていた矢先、名前を呼ばれた。なんだろうか、思い当たることはない。そう不審に思いながら前へ出た。すると、青帯の写った写真を手に掲げながら何かを語り始めた。すぐに今の状況を察した。そんな妄想をしたことがあったような、なかったような…。曖昧な記憶が僕の理解を早めてくれた。

帯の正当性や流派等について語っておられる。必死にうなづいてはいたが、内容はあまり頭には入ってこなかった。そして、語り終わると手を広げられた。ハグ?と、疑問に思いながら対応すると、そのまま大外刈りをされた。すべてが予想だにしないことだったため、背中にあったナップサックごと芝生に叩きつけられた。

最後に僕のガードがそこそこうまいこと、攻撃面が未熟なことなど伝えられた。この短時間でそこまで見破られるとは、さすが黒帯である。また、妃様は婆ちゃんのこと言っておられる。うちの婆、韓国でなかなか暴れているようだ。団長からは青帯は修羅の道であると伝えられた。すでに修羅の道など通りまくっているから今更何とも感じない。あの地獄の日々、それによって自信もプライドも、モチベーションまでもが壊されているのだから。

それにしても、ここまで盛大にしてもらったからにはなんとかして柔術を再開せねばならない。できれば、ノーギで。正直格闘技にモチベーションは湧かないが、これは僕のプライドの問題だ。


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