時をかける駄菓子屋さん
高校生のころ、友人とよく行く駄菓子屋さんがありました。お婆さんが一人で経営なさっていて、安くて美味しいもんじゃ焼きが自慢のお店です。
もんじゃ焼きを作りながら駄菓子を食べ、時にお婆さんも巻き込んで恋愛相談や将来への不安を飽くことなく喋り続けました。
お婆さん、口は悪いのですが温かみがあり、人生経験から来る言葉に何度助けられたか、わかりません。お腹も心も満たされるのに、おこづかいで通える漫画のようなお店でした。
テレビで駄菓子の話をしていたので、母にそのお店の話をすると「隣に交番がない?」と聞いてきました。母も、そのお店に通っていたと言うのです。ただ母が通っていた頃にも、お婆さんが経営していたと言うのです。小柄で色白で、ちょっとふっくら。口が悪いけど情に厚い人柄も一緒です。
じゃぁ親子かなと言って気がつきました。駄菓子屋さんのお婆さんの話が本当なら、お店は私が通っていたお婆さんが始めたはずです。子供はいるものの遠くへ行ってしまって帰ってこないとのこと。そして母も、そう聞いたと言うのです。
母が小学生の頃に通っていて(困った小学生!!)高校生の私が通う間に30年以上の時差があるはずです。母が子供だったからお婆さんに見えたのでは?と聞いてみたのですが「しっかりお婆さんで、母のお婆ちゃんより年上に見えた」と言うのです。
何となく気になり、後日行ってみると、店名は同じなのですが若い男の人が焼きそばを焼いていました。
「駄菓子屋さんをご存じですか?」と聞いてみると、居抜きで買ったので、よくわからないとのこと。
とりあえず焼きそばを買って帰ってきたものの、ちょっとだけ消化不良。
記憶違いか、お店が違うか、事実はわかりませんが、もしも叶うなら子供の頃の母と一緒に、もんじゃ焼きを食べてみたかったです。