日本マイクロソフトを1年で辞めた自分が就活からこれまでを振り返る
はじめまして。中井 彬恵(アキエ)と言います。
2021年に大学院を卒業し、日本マイクロソフトに技術職(サポートエンジニア)として入社していましたが、今年5月からセブンデックスというスタートアップにて UX デザイナーになります。
これまで定期的にブログを更新してきましたが、まさか去年4月に書いたブログの次が、退職エントリになるとはさすがに思っていませんでした。
なんで私が新卒で入社した日本マイクロソフトを一年でやめることになったのか。その経験を踏まえて私がもう一度就活をするとしたら何を大事にするか。まとめてみようと思います。
長くなってしまったのですがエッセンスは「もう一度就職活動するなら」の項目に詰まってます!!
キャリアに悩む方、就活生の方に何か一つでも刺さる部分があったら嬉しく思います。
(今回は転職活動については触れていません。長くなってしまったので、また今度にしようと思います。)
これまでの自分史
これまでの自分史をみてみるとこんな感じになりました。
し、シンプル…。
留学経験も、起業経験も、長期インターン経験もありません。
私の背景を少し話すと、私は大学院で、専門を化学系から情報系に変えています。
学部では、3年次から研究室に所属し、高分子を合成して生体材料(≒薬) として活用する、化学系の研究をこなっていました。
しかし、1年間の研究を通して、自分は研究所で黙々と研究と向き合い、いつ社会の日の目を見るかもわからないイノベーションを生み出すことにパッションを持てないと実感。
2018年当時は、「データ分析・AI」というワードがバズっていた時期です。
いろいろ調べた結果、世の最先端技術を学ぶにはまずはコンピュータサイエンスに強くならないといけない!と認識。
ただアルゴリズムを学びたいわけではなかった私は、データを元にビジネス課題を発見し、施策に活かすデータ分析という分野に関心を持ちました。
そして、4年の5月には、生体材料という医療化学系の分野から、よりよいサービスを創るためのデータ分析手法や問題解決手法を学ぶ研究科へ専門を変えることを決意しました。
日本マイクロソフトに新卒入社するまでの就活日記
まず、私の就活(2021年入社)では、 修士 1 年 11 月の段階で日本マイクロソフトの選考が終了し、他は 2社しか受けていないです。
(注: 今年から選考時期変わってるようで、 24 卒は、本エントリーが22年10月になってます。サマーインターンは22年5月23日が締め切りです。)
なので私の就活スケジュールはあまり参考にならないかもしれないですが、進め方やマインドなど、少し参考がてら、共有してみようと思います。
私は大学院入学するより前(春休みくらい)から、この人生を左右する就活というゲームの戦い方を考えていました。
そもそも私の場合、大学院から分野を変え、周囲より圧倒的に専門性取得のスタートラインが遅いです。
だからより深く、早い段階で自分の将来と向き合い、大学院の過ごし方を戦略的に考える必要がありました。
就職活動にあたり、まず自分が大事にしたい価値観を明確にする必要があります。つまり自己分析です。
(自己分析にあたっては「絶対内定」を利用しました。良い本ではありますが、ボリュームと質ともにこちらが圧倒的おすすめです。詳しくは後述します。)
私は以下の2軸の観点で、行きたい企業を考えました。
その上で、その企業の風土や環境などを加味し、優先順位を定めます。(人によっては、環境や働きやすさを重視することもあるかと思います)
まず「職能」ですが、私の場合「自分の専門スキルをもとに価値を生み出す」ことに拘っていたので、ビジネス職ではなく、「エンジニア」になろうと心に決めていました。
この職能が最も悩ましいところだと思います。入ってみないと、実際の仕事内容なんてわからない。
最終的に行きたいところを決める決め手がない。
それについて、1年間の転職を通じ見えてきたので最後にまとめます。
データ分析をもとにビジネス施策を提案するデータアナリストと迷いましたが、
Facebook やマーク・ザッカーバーグや Microsoft のサティア・ナデラのように、エンジニアリングという武器を持ったのち、上流で 0→1 の戦略作りに携わりたいと考え(プロダクト マネージャー的な)、ファーストキャリアとしてのキャリアの選択肢はエンジニアに振り切りました。
エンジニアとして採用されるためには、
前提として客観的な根拠としての実績を持つ必要があると思います。
実績は以下が挙げられます。
私は開発経験もなかったし、せっかく大学院に来たからには専門分野を覚悟を決めて学ぶという選択肢しかありませんでした。
なので大学院では、インターンは行わず、授業や研究を通じてスキルを身につけ、結果を出すことに決めました。
「分野」としては、私はゲームやエンターテイメントに関心がなかったので、自社サービスを持ち社会の課題解決に貢献している企業
という軸で探しました。
また自分は英語が好きだったので、英語力も活かせ(あわよくば海外とか行けたり) 風通しが良いフラットな環境がいいな、と考えていました。
この時点でかなり会社は絞られます。
外資 IT 企業に目が行くのは当時の私にとって自然な流れでした。
登録していた外資就活というサービスで、日本マイクロソフトの会社説明会が流れてきたのは4月中旬のこと。
GAFAM に対しては、破壊的イノベーションで既存のエコシステムを淘汰しているという勝手なイメージwがあったので、「へー新卒を募集してるんだ」という軽い気持ちで説明会に行ってみました。
しかし会社説明会に行き現在のマイクロソフトのミッションや事業内容を聞いて、イメージが一変。
クラウドサービス Azure のプラットフォームを用いて企業を支援することを通じ、その先のユーザにも恩恵をもたらしていることを知り、とても興味が湧きました。
またクラウドサービスが急速に普及する中、
Microsoft の Azure が急速にシェアを伸ばしていることも初めて知りました。(以下図の黒実線参照)
日本マイクロソフトの採用募集は当時異常に早く、修士 1 年の 5 月には選考に直結するサマーインターンのエントリーが始まり、
最終エントリーはなんと修士 1 年の 9 月。11月には最終選考があります。
夏には他の外資 IT 企業や、データ分析を行う事業会社でのインターンに参加しつつ、日本マイクロソフトの選考を主軸に学会への投稿、プロジェクト ベースの授業をこなしていました。
最終的に 2019 年 11月には、技術職(サポートエンジニア)として内定をいただくことができました。
サポートエンジニアとして入社を決めた理由
「あれ、ナカイさん、エンジニアになりたかったんじゃないの?サポートエンジニアってなんじゃ?」
その通り。エンジニア志望でした。
サポートエンジニアは、Azure プロフェッショナルサポートを契約いただいている法人様からいただく、製品に関するお問合せや問題を日々解決に導く技術部門です。
平たく言ってしまうと「お問合せ対応」です。
サポートエンジニアの仕事内容については、私が在籍していたチームとは別ですが、以下のチーム ブログがわかりやすいです。
日本マイクロソフトのサポートエンジニアとして入社を決めた理由は、
以下があります。
結論としては、上の予想は間違っていなかったし、日本マイクロソフトに入社したことは後悔していません。
多くの優秀な同期や先輩に囲まれ、社会人としての基礎的な仕事能力を身につけることができました。
じゃあなんで辞めたのか
理由はただ一つで、
やりたいことが少し変化し、それができる環境でなかった
ためです。
やりたいことが、何に関心が傾いたかというと
サービスデザイン / UX デザイン
です。
えっこれまで一言も出てきてないワード…
そうです。
だって大学院での授業や研究を通じて知った概念だったもの。
サービス工学学位プログラムでは、グループ ワークを通じて、実サービスやビジネスにおける課題設定から、サービス施策提案まで行います。
そこで得た学びは
これって、広義のデザインである、ということを知りました。
デザイン = アートではなく、デザイン = 問題解決 なんだと。
私たちが日々用いているアプリやサービス、Web サイトでさえ、
ユーザーがどんな情報やニーズを持っていて、そのニーズに応えるための最適で心地よい情報や動線を設計 (デザイン) しているのだと。
いや、面白い。 0→1 の戦略作りってデザインに含まれるのか。
授業や研究プロジェクト、また研究科のオンライン発表のウェブサイト デザイン/実装 の経験を通じて、
自分はデータ分析やプログラミングも嫌いじゃないけど、
使ってもらうユーザーのことを考えながらサービス内容を考えること
必要な情報設計を形に落とし込むデザインプロセス
これが好きなんだなと気づきました。
入口はエンジニアとしての専門性をつけたいけれど、
将来的には技術力をもとに、サービス作りのための戦略に携われる、UX デザイナーになりたい。
そう思ったのは、もう修士 2 年に突入する頃です。
UX デザイナーとしてのキャリアも考えましたが、圧倒的にそれを目標にした行動や対策が取れていなかったので、無理だなと思いました。
また、UX デザイナーは戦略フェーズを考えるポジションですが、最初はやはり自分で手を動かす経験が必要なのではないかと思い、
エンジニアから転身したいな、と思うようになりました。
もしかしたら、入社してから会社のことや自分の仕事が大好きになって、
サポートエンジニアとしてのキャリアから技術営業側へ社内転職する道もありだな、となるかもしれないし。
…
結論、サポート エンジニアは私がやりたいことではなく、マイクロソフトにてキャリアを歩む気も全く起こりませんでした。😂
人は素晴らしいしフラットだし、裁量権があるし、待遇も良いし福利厚生も充実しているし、社内転職はできる環境。
けれど根本的に、Azure というプラットフォームを超えて、純粋に 0 から 1 のサービス作りに携わりたい。という想いは全く変わりませんでした。
結果、入社同年のうちに、転職に向け自分のポートフォリオ作成に動き出しました。
(ここでは転職活動の内容は省きますが、最終的に作ったポートフォリオがこちらです。良かったら供養してください💁♀️ )
「もったいなくない?」
よく周りから、1年で辞める決心がついてすごいね、と言われます。
中途の先輩からは、もったいない気がする、とも言われます。
もったいないってなんだろう?
待遇?
「石の上にも三年」とあるように、やり続ければ好きになるかもしれない?
以下の信条を持っていた私には、辞めることに全く迷いがありませんでした。
好きなことを選んでいても、辛いことやしんどいことが必ず待っているのに、お金のために好きでもない仕事を選んでも成功できるわけがない。
このことを身をもって体感するのに1年間、いや半年間で十分でした。
また、入社してから読んだ日本を代表する森岡剛氏の本で出会ったこれらの言葉は、自分にとってかけがえのないものとなりました。
キャリアを考える際にぜひ一読してみることをお勧めします。
もう一度就職活動するなら
多分、状況が同じだったら、また日本マイクロソフトを選んでたのではないのかなあと、思います(えっ)。
それくらい当時の私の軸(どうなりたいか)は明確だったし、よくも悪くもそれしか見えてませんでした…😇
でもそのおかげで、思い返すと辛い時期はなく、精神的に安定していたように思えます。
準備できることはすべてやってるのだから、あとはやるだけ。
「絶対に志望するところに行くんだ」という強い気持ちで全ての選考に望んでいました。
これで落ちたら本当に合わないか、完璧な実力不足だろう。
そんな思い切りができていました。
あと蛇足ですが 強いポジティブな気持ちを持つ方が、ネガティブな思考を持っているよりも確実に運がついてきます。
周りにも、アイツなんか運よくてなんだかんだ上手くいってるんだよな〜って人、いませんか?
しかし、就活する当時の自分や、会社選びで悩む方に追加でアドバイスできることがあります。
1つ目は、複数の会社の選択肢で悩んでいる場合。
例えば教育業界で身につけた Webマーケティングの知識を、EC 業界における Web マーケティングに活かすことは可能だが、サポート エンジニアからデザイナーとして転身するのはかなり大変です。(実体験🙋♀️)
2つ目は、そもそもやりたいことが見つからない場合。
とにかく競争相手が少ない領域に飛び込んで、自分がその分野に強くなることで、希少な人材になることを目指すのが賢いのではないでしょうか。
当時の自分は (今もかもだけど) 情報収集能力が圧倒的に不足していました。
今でいうと NFT やメタバースでしょうか (勉強したい)。
最新のトレンドにキャッチアップするには英語力も必要ですが、今は「海外 テクノロジー」と検索すれば多くのまとめサイトを知ることができます。
つまり、やるかやらないか。
そのための「好奇心」と「余白の時間」が大事だと思っています (自戒)。
以下の note の通り、20代のうちは、専門性を身につけようと焦るのではなく、専門としたい分野を見つけるためにトレンドに敏感になり
最新技術にチャレンジしているスタートアップに入ってみる、自分でサービスを立ち上げてみるなど、
色々なことにトライできた方が良いです。
けどその際にも、自分なりの「軸」を持つことをお勧めします。
理由は以下です。
精神的にも時間的にも浪費する大きなキャリア転換は防ぐことが可能
軸を持っていることで転職の際に絶対聞かれる「なぜ 〇〇 から xx をやりたいと思ったのですか?」という志望動機にも答えられるようになる
結果的に転職することになっても、軸を持ち自分の心の声に従った判断だから後悔しない
自分の場合、コロコロ変わっているようで、今後のキャリアの中で「 0→1 の戦略作りに携わりたい」という気持ちは一貫して持ち続けていました(一応…)
まぁ人生そんなもん
ここまで駄文を読んでくださり、ありがとうございました…😭
さて初 note どうやって締めようかなと思い、これまでの自分の色々な人生振り返るとこんな言葉が出てきました…
スパイスのある人生の方が、噛み締めてみて味が出てくるかなと思ったり。
どんどん「個」の時代になって生きづらい世の中になり、たまに息苦しさを感じたりもします。
そんな中でも「遊び心」と「余白」を忘れず、「コトに熱中して」生きる努力をしようと思っています。
これからは UX デザイナーとしてのナカイをどうぞよろしくお願いします。