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「UXデザイナー」は何をしているのか? | 関連職種の業務内容を整理してみる

UXデザイナーに関心があり、転職を考えています。
未経験からUXデザイナーになったアキエさんのお話を聞かせていただけませんか?

ありがたいことに、過去に出ている記事や社内でのつながりをきっかけにお声がけいただき、転職相談を受けることがちらほら出てくるようになりました。

そこで毎回悩むのが自分の職種(UI/UXディレクター)の説明と、「そもそもUXデザイナーとは?」についてです。

なぜなら一言に「UXデザイン」といっても、会社によって定義する業務内容は異なると実感しているためです。

本記事では、UXデザイナー関連の職種を2社経験してきたわたしが、「UXデザイナーの業務内容ってなんなのか」「似たような職種(この記事ではUI/UXディレクター)との違い」を自分なりに整理してみました。
UXデザイナーやディレクターに興味のある方にとって、職種の解像度が上がると嬉しいです。

そもそもお前誰?
新卒で入社した外資系IT企業を1年で辞め、未経験でデザインコンサル系スタートアップにUXデザイナー兼ディレクターとして入社。
その1年後、外資系コンサル会社にUI/UXディレクターとして転職しました。
自己紹介noteはこちら:
https://note.com/akienakai/n/n39f1a9aeac9a?sub_rt=share_sb
最近、X(Twitter)も再開しました!:
https://x.com/__aknaka__


曖昧な「UXデザイナー」の業務内容

noteで最近見つけたこの記事。

figma等のツールは一応触れるけどそこまでゴリゴリには作らずコンセプトのワイヤーフレーム程度で止めて「あとはデザイナーさん・フロントエンドエンジニアさんよろしくお願いします!」という感じの、かつてのWebディレクターみたいな感じのUXデザイナーがまた増えてきてるような感触を得ています。

記事で説明されているとおり、「ワイヤーフレーム作成」まで行っているUXデザイナーはかなり少ないのではないのでしょうか。

もう少しUXデザイナーの職種内容について、自分なりに深ぼってみます。

一般にUXデザイナーを一言でいうと「デジタルプロダクトのユーザ体験を設計する専門職」です。
ネットで見聞きする職種内容は以下の通り。

・カスタマージャーニーマップ作成
・ペルソナ作成
・A/Bテストの実施、分析
・ユーザーリサーチ実施
・ワイヤーフレーム作成
・プロトタイプ作成
・ユーザビリティーリサーチ実施
・プロダクト改善ポイントの抽出

参考:https://blog.btrax.com/jp/ux-designer/ より

しかしながら、先ほどの記事でも触れたように、これら全てを担当するUXデザイナーはほぼいないのではないでしょうか。

UXデザイナーの業務範囲は企業によって異なりますが、わたし自身はこれまでの経験から大きく2つのタイプに分けられると考えています。

(1)サービスデザイナー・コンサルタイプ:
デザインコンサルティング会社に属するUXデザイナーがこちらに該当。わたしが2社目で転職したスタートアップのUXデザイナーがこのパターンでした。

デザインコンサルティング会社は、「UXデザイン」という考え方でクライアントの課題解決を行います。
なのでその際のUXデザイン業務では、「ユーザ目線(UX)でのコンサル的問題解決能力」が主に求められます。

メイン業務:カスタマージャーニーマップ作成、ペルソナ作成、ソリューション提案等

(2)UXリサーチャータイプ:
自社サービス提供企業(事業会社)に属するUXデザイナーがこちらに該当。
自社サービスやプロダクトの改善施策を検討し、プロダクトマネージャー(PdM)と共に課題整理や潜在ニーズの言語化・整理を担当する役割を果たします。

▼参考となりそうな記事がこちら:https://koho.mediba.jp/n/n645afff07e73

メイン業務:ユーザーリサーチ、A/Bテストの実施・分析、ユーザビリティリサーチ実施、プロダクト改善施策提案等

UXデザイナーの中にも二つのパターンがありそう

UXデザイナーを大きく2つのタイプに分けてみましたが、
企業によって定義する「UXデザイナー」の中身は多種多様です。

UXデザイナーではなく、「サービスデザイナー」「UXコンサルタント」と言った呼び方もあったりします。

あるいは、UXデザインの中で複数の部門が分かれることも。

もし UX デザイナーを志望する場合には、自分がどのような業務をやりたいのかというwhatを明確にして、企業の定義するさまざまな「UXデザイナー関連職種」の業務内容を一つ一つ見ていくしかないと思っています。

なお、わたしは某大手外資系コンサル企業にて、「UI/UXディレクター」として働いています。
UXデザイナーと同じ業務もありますが、いくつか異なる点もあります。

「ディレクター」もまた多様な定義があるので、あくまでひとつの会社における職種の事例としてご参考ください。

関連職種:UI/UXディレクターとは?

どのような職種かというと、「画面設計から画面制作進行管理を担うディレクター」です。もう少し詳しくいうと以下です。

WEBサイト(サービス/コーポレート/メディア)や業務システム制作において、UI/UX観点でサイト全体の構成や画面の詳細設計を担うと同時に、デザイナー・エンジニアと連携しながら画面制作進行管理を行うディレクター

画面の詳細設計、ここではワイヤーフレームが主要な成果物となります。

わたしの場合、保守系案件ではなくWebサイトやWebシステムの新規構築またはリニューアル案件を中心に担当しています。

この肩書きはわたしが便宜上使っているだけで、会社内で正式に用いられているわけではないです。

では会社の同じ職種メンバーの先輩方は皆どう自称しているのか、プロジェクトでの自己紹介など注意深く聞いてみると、
「ディレクター」「Webディレクター」「UIUX Architect」(情報設計を主眼に置いてる表現)など様々でした。

ややこしいのですが、参画するプロジェクトによって求められる職務内容も、各ディレクターのスキルセットも異なるので明確な肩書きをつけるのが難しいのです。

社外で自分の職種を説明するときは「ディレクター」が最も近いと思うのですが、職種内容が曖昧なので使うのを避けたいところ…。

かといって、「Webディレクター」と評すると、たしかにプランナーやプロジェクトマネージャー的要素もあるのですが「画面設計」という業務が見えません。

Webディレクターって何?っていうZ世代のみなさんにご説明しますと、Webサイト(※Webサービスではないただの静的なサイト)に、どういうコンテンツを載せるか?を企画して提案したり、実装までのスケジュールを管理する、いわゆるプランナーやプロジェクトマネージャー的な職能の人たちですね。
2024年現在、もう多分絶滅危惧種な職種であり、今から新規でWebディレクターを目指します!って人はあんまり居ないと思われます。

https://note.com/ori_io/n/n97b7f3e364de より

ということで、わたしはnoteのようなパブリックの場では自分の職種を「UI/UXディレクター」と評しています。

業務内容を具体的にまとめると下記の通りです。

【業務内容】(一例)

  • 要件定義

    • 各種現行サイト調査および実査(ユーザインタビュー等)→ 後者はUXデザイナーがメインで担当することが多い

    • サイト設計方針定義

    • プロジェクト計画、WBS策定

  • 基本設計

    • サイト構造設計(ハイレベルサイトマップ)

    • コンポーネント、モジュール設計

  • 詳細設計

    • ワイヤーフレーム作成 → これがUI/UXディレクターの主要なアウトプット

    • コンテンツ制作、ライティング

    • プロトタイプ作成

  • 制作進行管理

    • デザイン制作進行管理

    • HTML制作進行管理

これだけ見ると幅広いですが、もちろんディレクター全員がこれら全てを対応するわけではありません。

チーム率いるリードディレクターが主に上流の基本設計からWBS策定を担当し、それをもとにメンバーディレクターが割り振られた画面の詳細設計(ワイヤーフレーム作成)を行います。

そして、ディレクターが作成したワイヤーフレームを元に、デザイナーがビジュアルコンセプト、画面デザイン、デザインシステムを作成し、エンジニアが実装を行うという流れです。

弊社の場合自社にデザイナーとエンジニアを擁しているため、ディレクターがデザイナー・エンジニアの画面制作の進行管理と品質管理も行っています。

ここまでをまとめると、

- メインのタスクは、(提案された)ユーザ体験やソリューションを元に、実際の画面に落とし込むワイヤーフレーム作成(UI/UX設計)
- 実際には、クライアントと画面仕様やコンテンツのすり合わせを行ったり、画面制作進行管理はデザイナーやエンジニアとコミュニケーション行いながら方針を取りまとめる業務も多い(ディレクター)

上記二つを合わせた職種を「UI/UXディレクター」と定義している

UXデザイナーとの違い

UXデザイナーが、ユーザ視点でのサービス体験設計やソリューション検討、いわゆる「戦略検討」に主眼を置いているのに対し、
UI/UXディレクターは、戦略を実際のプロダクトに落とし込むフェーズ(画面制作フェーズ)に責任を持つ点が大きな違いです。


UXデザイナー、UI/UXディレクター、デザイナーの役割範囲の違い

ここまで分業している理由

理由は単純で、「クライアントワークの規模が大きい」からです。

具体は控えますが、弊社の場合、受注する案件の規模はかなり大きく(億単位)、クライアントも日本やグローバルを代表する大企業がメインです。
規模が大きい分、案件内容も複雑で難易度が高いことが多いです。

その状況では、一人の人材が戦略提案から画面設計まで、あるいは画面設計からデザインまで担うことは難しいです。
多様な分野のプロフェッショナルそれぞれが力を合わせることで、高い価値を提供することができるわけです。

一方で、小規模な組織やプロジェクトでは、1人が複数の役割を兼ねる「越境型」人材が在籍することもあるでしょう。

まとめ

  • UXデザイナーの業務内容は会社によって異なるものの、大まかに「サービスデザイナー・コンサル型」と「UXリサーチャー型」の二種類あるのではないか

  • 昨今のUXデザイナーはワイヤーフレーム作成まで担うことは少なそう

  • 一方で、UXデザイナーよりも下流の業務を担当し、ワイヤーフレーム作成までを担う「UI/UXディレクター」という職種もある

  • UI/UXディレクターは、扱っているプロジェクトの規模が大きく複雑な会社に存在していそう

UXデザイナーやディレクターとして働いている方、「こんなことをしているよ」というのがあればぜひコメントください!
情報交換したいです。

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