名トの子達 その4

最強の名前トーナメントにエントリーしたりしなかったりした名前達の覚書その4です。おおむね開催日(公開日)順に並んでいます


最強の名前トーナメントの概要については下記のサイトや他の方のnote記事などに詳しく載っているので割愛します

成り代わりの唇 坂東菊助

成り代わりの唇 坂東菊助
出場杯:映画モチーフ杯
能力の名前:累 -かさね-
モチーフにした映画:累 -かさね-
登場時セリフ:
「菊助かい、あいつぁ新進気鋭の女形俳優だよ」
「往年の名物役者達を彷彿とさせる堂に入った演技が魅力の奴さね」
「顔つきも隈取だけとは思えないほど毎度そっくりなんだよ。まるで生き写しだな」

No.6894

 歌舞伎女形のカメレオン俳優、坂東菊助さんです。

 映画モチーフ杯は実在の映画をモチーフにした能力者を作るバトル杯で、必殺技にはモチーフとなった映画のタイトルを含むというレギュレーションの下で行われました。

 モチーフに選んだ映画は『累 -かさね-』。それを塗ってキスをするとキスした相手の顔になれるという不思議な口紅を巡る、二人の女優のお話です。原作は同名タイトルの漫画で、映画化にあたりストーリーが再編されています。
 『累 -かさね-』のモチーフの1つに『累ヶ淵』という怪談があります。『累ヶ淵』が『薫樹累物語』として歌舞伎や文楽で上演されていることから、『累 -かさね-』の舞台女優を歌舞伎俳優に置き換えてキャラを作っていきました。
 『累ヶ淵』ではじめに産まれてくる娘の名が助、最後に産まれてくる娘の名が菊であることから、下の名前を菊助にしました。
 問題は名字の方です。なんかすぐ久本になる。菊が名前に入る女形の名字は全て尾上なので、始めは尾上菊助にしようとしていました。ところがほぼ同姓同名の歌舞伎俳優さんが実在していたので変更することに。助を佑に変えて「きくすけ」とは読める形にしてもう一度チェック、なんと日本舞踊に同姓同名の方がおられました。という流れで尾上姓は諦め、最終的に往年の名女形、坂東玉三郎から坂東姓を拝借し、坂東菊助が出来上がりました。久本チェックって大事。
 二つ名の方はモチーフそのまんま。必殺技名を映画タイトルから全く足したりしなかったので、説明的な二つ名にしています。説明し過ぎたかもしれない。
 能力はモチーフと同様に、口紅を塗ってキスした対象の顔になれるというもの。身体能力までは口紅で引き継げないので、演技力などの身体能力は本人の素の力です。

 戦績:一回戦敗退
 出た瞬間に「エロ!?」と言われまくっていました。戦い方のイメージがつきづらかったのも敗因の一つかなと思います。

【あれが死体!これも死体!ところで君は何死体?】死体マニアの近藤さん

【あれが死体!これも死体!ところで君は何死体?】死体マニアの近藤さん
出場杯:クラシック杯2

No.7252

 死体マニアの方です。死体マニアって何?
 お風呂入ってるときに思いついた二つ名をストックで練り練りして出来上がったお名前です。「あれがしたい!」「これがしたい!」の「したい」が死体だったら面白いかなーというコンセプト。
 死体を見てテンションが上がっている人なので死体マニア。名前はなんとなく丁度良さそうな一般苗字を、ということで近藤になりました。はじめは斎藤でしたが創作物における斎藤さんって多すぎるなと思ったので変更しています。
 多分いろんな死体を見るのが好きで、それが高じて死体づくりまで始めてしまった感じの方なんだと思う。音だけなら「あれがしたい!これもしたい!ところで君は何したい?」なので、こっちのことも気に掛けてくれているような気がします。実際は死体を増やしたいだけですが。
 必殺技があれば、定期購読で毎号届く付録を集めてなんやかんやする某雑誌の死体版を持ってくる感じの技にしようとしていました。色んな種類の死体にしようとしてくる。

 戦績:1回戦敗退
 近藤被った!まじで!?なんと出場試合のすぐ次の試合で別の近藤が出てました。面白過ぎる。ワンチャン同一人物だろと言われてて更に面白かった。別人です。
 試合では対戦相手の両方から死人メタを取られて負けてました。戦い方のイメージがつきにくかったのも敗因の一つかも。癖(ヘキ)っぽいキャラだった。

ハクタクと呼ばれた少年 葛西 史(カサイ フミト)

ハクタクと呼ばれた少年 葛西 史(カサイ フミト)
出場杯:ダークファンタジー杯
必殺技①:-CALL!!-《黒の書》 刹那に彷徨う獣
   ②:-CALL!!-《赤の書》 未来閉ざせし禽
フレテキ:消えた悪魔の子供たち 救世主はもういない

No.7481

 デビルチルドレンの少年。

作っている当時のメモ
・必殺技①:償喚-CALL!!-《黒》き獣
    ②:償喚-CALL!!-《赤》き禽
・デビチル(漫画版)モチーフで作りたい
・刹那、永久、未来 →過去のもじり名にする?
・COMPはどうする?何で召喚する?
・もうこれ刹那モチーフかもしれん
・史(ふひと)と読めるらしい 白沢じゃね?
・黒・赤の書から必殺技取ってもいいかもしれない

 ダークファンタジー杯に出した子です。モチーフというか元ネタは「真・女神転生デビルチルドレン 黒の書・赤の書」とそのコミカライズ版。コミカライズの方は、原作の可愛らしい雰囲気とは対照的に「児童誌のベルセルク」の異名を取ったほどのハードな展開が繰り広げられている作品となっています。
 デビチル黒の書・赤の書でそれぞれの主人公達が失敗してしまった世界線の、誰にも知られることが無いはずだったデビルチルドレン、という設定で作った子です。小学5年生ぐらいの年齢の子という想定。
 フレテキの文言はこの設定に基づいて書いています。悪魔の子供たち=デビルチルドレン=黒・赤の書の主人公達=救世主という対応になっています。
 デビチル黒・赤の書に登場する人間のキャラクターの名前は「刹那セツナ」「未来ミライ」「永久ナガヒサ」と、時間にまつわる言葉が当てがわれています。しかし過去を表す言葉は使われていません。そこで過去を表す名前にする方針に決定。探し始めたはいいものの、人名に過去を想起させる名前は滅多に入っていません。色々と探した結果、古代に朝廷で記録を司った役を表す「ふびと」の字を使うことになりました。読みは訛り元の「ふみひと」から取って「ふひと」とし、創作物上の小学生らしい感じにしています。この辺りで、かつて敗れていったデビルチルドレン達の記録を残し後世に伝えていく語り部、というイメージが形成されてきました。
 デビルチルドレンはパートナーの悪魔を連れています(ex.)黒の書ではケルベロス、赤の書ではグリフォン)。先述の語り部イメージと、誰にも知られることが無いはずだったデビルチルドレンという要素を表せそうな悪魔として、白沢に白羽の矢を立てました。白沢は中国に伝わる瑞獣の一種で、人語を解し万物の知識に精通するとされています。原作のデビチル黒・赤の書には登場しません。この点からも最適だと判断して、パートナー悪魔を白沢(ハクタク)に決定しました(今にしてみると白沢のイメージが上白沢慧音さんに引っ張られ過ぎている気がする…)。この要素は二つ名に入っています。実は本人を悪魔(ハクタク)にするかデビルチルドレンにするか決めかねていたので、どちらとも取れそうな書き方にしています。「呼ぶ」と「喚ぶ」が掛かっていたりもする。
 必殺技は黒の書・赤の書それぞれの主人公たち及び彼らのパートナー悪魔をモチーフにしています。というか彼らそのものです。デビルチルドレン達は、悪魔を召喚する(撃ち出す?)ための銃型の召喚器を持っています。葛西 史は黒の書主人公:甲斐刹那と赤の書主人公:要未来の持っていた召喚銃を携帯しており、この2丁の召喚銃には、それぞれのパートナーだった悪魔達が装填されています。遺品ですね。必殺技ではこれらの銃から悪魔を召喚しています。
 最後は苗字。苗字が一番難航したかもしれない。「海地カイチ」「彼方カナタ」「数異カズイ」「上総カズサ 」「嘉陽カヨウ」「カノウ」「葛西カサイ」の7つで迷って最終的に「葛西」になりました。まず頭音が「か」縛りなのは、黒・赤の書主人公の苗字が「甲斐カイ」「カナメ」と「か」で始まっているためです。これに倣って頭音を「か」にし、程よく居そうでかっこいい苗字にしようという方針で考えていました。初期案は海地。広くてかっこいいかな~と思っていましたが、カイチ(獬豸)という瑞獣と同じ読みであることが懸念事項となりました。瑞獣要素は補強されるけどメガテン的に人名に悪魔の名前が入っているのは違くない?ということから没に。彼方は格好良過ぎて逆に陳腐、数異は出自を示唆できそうだけど人名の漢字として気持ち悪い、叶はなんとなく違うなぁということで没。地名苗字で攻めることにして、上総、嘉陽、葛西を候補に出し、一番しっくりきた葛西に決定しました。

 戦績:1回戦敗退
 現代日本っぽい名前が思ったより少なくて驚きました。ちゃんとファンタジーしてる名前が多かった。
 議論では神獣であるハクタクと悪魔とのイメージのギャップが引っ掛かってました。全体的に分かりにくい名付けをしてしまった気がする。
 対戦相手が悪魔狩りで完全にメタを取られましたね。でも戦えてよかった。めちゃくちゃ格好良い方だった。
 あと、議論の中で「ハクタクは伝説が残ってるけどプレイヤーと邂逅する時には既に病んでたり老いてたり変異してたりする」というコメントがあって嬉しかったです。

"O'zapft is!" 酔いどれ死体 ヴァイスビア=ライヒェン

"O'zapft is!" 酔いどれ死体 ヴァイスビア=ライヒェン
出場杯:第三回 個人協賛杯
必殺技1:麦酒の湧き出るおいしい屍肉
必殺技2:たのしいリバース・リバースコースター
好きな食べ物:ビール!ビール!美味いねえ!!
10億円の使い道:ビールだビール!……他の酒も呑みたいなァ!
酒たらふく持ってこーい!

意気込み:呑むよォ!樽ごとォ!

No.7629

 酒カスのゾンビです。もともとは最強の秋モチーフ杯に出していたもう一人のキャラ。
 ビールを飲み過ぎて目が覚めたらゾンビになっていたついでに全身の体液やら水分やら全てがビールに置換されていたという感じのおじさんです。
 "O'zapft is!"はオクトーバーフェストが始まる時の掛け声で、「お酒が出たよ!」という意味だそうです。

 秋杯でのモチーフは食欲の秋:ドイツビールでした。オクトーバーフェスト呑んだくれおじさん。名前も必殺技もそのときのまま、ストックに居たのをほぼそのまま出した感じです。

 名前の説明。"O'zapft is!"はドイツ語で「お酒が出たよ!」という意味で、オクトーバーフェスト開始の合図です。ここではヴァイスビア=ライヒェンさんが「お酒が出たよ!」と言いながらビールを撒き散らかしているという想定をしています。酔いどれ死体はそのまんま、酒呑みのゾンビだからです。ビアライヒェン(Bierleichen)はドイツ語で「ビール死体」という意味で、オクトーバーフェストで毎年出るアルコール過多で気絶した人々の渾名だそう。ヴァイスビアはドイツで醸造されている白ビール(小麦ビール)です。というわけで、ヴァイスビア=ライヒェンは「ドイツビール死体」という意味の名前になります。特徴的な個体のゾンビに名前が付けられたときの名前という感じがする。本名だと思って作ったけどこれが本名だったら嫌ですね。
 必殺技。①の方はヴァイスビアさんの性質の説明です。必殺技なのかこれは。全身の体液(というか水分)がビールになっているので美味しいですよ~という意味合い。焼いたら柔らかめに仕上がりそう。ゾンビに喰われたらゾンビになるけどゾンビ肉を食べてもゾンビになれるのかな?
 ②はヴァイスビアさんが体内の酒(ビール)を一気に吐き出して辺り一面ビール洪水にするという技の想定です。最悪すぎる。これは本場のオクトーバーフェストに来る移動式遊園地から着想を得ています。遊園地→ジェットコースター→ウォータースライダーという流れです。水が酒になってる。リバースの方は、リバース(嘔吐)とリバース(rebirth)を掛けています。ゾンビに生まれ変わってもなお酒を呑み吐きまくっている。
 好きな食べ物、10億円の使い道、意気込みは個人協賛杯エントリー時に書いたものです。酒呑みの解像度の低さからエミュに失敗している。飲酒エアプの文。本当はもっと話が通じないというか聞き取りや表記すら危ういレベルの呂律をしていると思います。きっと酒癖が悪い。

 戦績:1回戦敗退
 なんか思ってたよりも善戦している……!?必殺技1を出せました、やった~!ドイツ語とか入ってるしモチーフ書いてないと分かりにくいかな~と思っていましたが、割と分かりやすいフックがあったらしく、予想以上に言及してもらえてました。必殺技が出た時の反応、かなり思い通りにいっていたのでよかったですね。「発酵」は無い着眼点だったので特に嬉しかった。「食べログの評価低そう」わかる、嬉しい。
 杯後の全開示では結構愛嬌を感じてもらえていた様子でした。本当にありがたい。かわいい酔いつぶれゾンビおじさんだったのかもしれない。
 リアタイできなかったけど対戦相手がみんな面白い面子でログ読んでて楽しかったです。というかこの面子で競りに入れたのすごいな、ありがとうございます。

畜生道一笑

畜生道一笑
出場杯:最強の落語家杯
最強の十八番:犬の目
最強の師匠:有頂天放蕩
意気込み:転生ってな苦しいもんでね、解脱した奴らが羨ましいったらありゃしねぇ

No.7686

 ”バトルルール”の落語家杯、最強の落語家杯に出した落語家です。
 下の名前は三笑亭→一笑に付す→一笑という流れで決定。三笑亭は実在の亭号です。「一笑に付す」から皮肉屋または自嘲的なイメージのキャラ方針になりました。一生とも掛けて厭世的なイメージも持っています。
 十八番は実在する古典落語の演目『犬の目』です。畜生道一笑が演じる『犬の目』を観覧した者は犬になります。相手を畜生道に堕とす技という想定です。あるいは本人の眼が犬の目だったりするのかもしれない。ちなみに犬目というと、涙の出ない目や非人情の人の喩えとなるそうです。
 亭も家も付けない亭号にしようというのは始めから決めていたので、落語家感のある苗字になるように意識していました。十八番を犬の目にしたことから、犬の一生=畜生道という連想で苗字が畜生道になりました。畜生道に亭号感があるかと言われるとかなり厳しい。
 師匠について。畜生道から六道つながりで、六道の最上位である天道の更に最上位にある有頂天から亭号を取っています。有頂天で放蕩していたので解脱できずに畜生道に転生しちゃったという設定。師匠(畜生道一笑の前世)という感じです。実質同一人物かもしれない。
 意気込みで「転生は苦しい」と言っているのは師匠の臨終の際に起こった天人五衰を受けたものです。天人五衰は天界(天道)の天人が死を迎える直前に現れる5つの兆候を表す仏教用語で、このときの苦悩は地獄で受ける苦悩の16倍と言われるほどの苦しさなのだとか。

 戦績:2回戦敗退
 1回戦勝ってる!?2回戦も競りまで行けてて驚いてる。
 1回戦では対戦相手とのかみ合いで下痢を食わされそうになってました。ちゃんと畜生してる。畜生道一笑は畜生なのか畜生を笑っているのかという話もされてました、嬉しいね。競って必殺技が出た時に「実在の演目だ」と言ったのが良い方向に作用した気がします。自選手擁護ってこういう感じなのか。あと『犬の目』が逃げ話なのは議論で初めて知りました。逃げ話なのがうまいこと嚙み合って勝てた。
 2回戦、荒廃した雰囲気の選手が揃ったマッチングでした。競った上に再投票で完競りまで持って行けたのでかなり善戦してた。最後は火に焼かれて負けましたね。嬉しい試合。

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